北野進の活動日記

志賀原発の廃炉に向けた取り組みや珠洲の情報、ときにはうちの庭の様子も紹介。

活断層上の志賀原発 県は行動せよ!

2018-11-28 | 志賀原発


さよなら志賀原発ネットワークとして、今月7日の北陸電力本店申し入れに続く県への申し入れ行動。
有識者会合で原発直下の断層について「活断層の可能性否定できず」とされ、その後の原子力規制委員会での新規制基準適合性審査でも、北電の反証に向けた議論はほとんど進展していない。
停止しているとはいえ、「活断層」上にある燃料プールの中には使用済み燃料や核燃料が保管されており、私たちは志賀原発の大事故の危険にさらされ続ている。
県はこのような事態に対して何もできないのか、傍観しているだけでいいのか。
県民の安全・安心を守る立場からやれることがあるのではないか。
原子力防災訓練もこのような事態に対応できるものでなければならない。
このような観点からの申し入れだ。



以下の要請事項に対して県の原子力安全対策室長らは
・適合性審査の申請は法律に基づいて行っており、権限は規制委員会。県としては意見を言えない。
・世界で最も厳しい基準で審査されるので、県としては審査を見守っていく。
・防災訓練は原子力災害対策指針を踏まえた計画に基づき実施しており、充実に努めている。
・防災計画は複合災害も想定しており、訓練をおこなっている。
・防災訓練の課題については国の原子力災害協議会で協議されており、充実に努めたい。なお今年9月、災害医療機関として3団体の指定を終えた。
などなど、当初は通り一遍の答弁に終始したが、その後のやり取りでは「規制委員会の審査会合をどの様に受け止めているのか」「そんな他人ごとのような立場でいいのか」「危機感がない」「県の主体性を発揮せよ」といった意見が矢継ぎ早に飛ぶ。
これに対して担当者らは「審査会合での北電ははみっともない。きちんと説明してほしい」「より一層厳しく指導していく」「考えられる安全対策は講じている」と苦し気な答弁に。

県は、仮に直下の「活断層」が動き、外部電源が喪失し、原子炉建屋が破損し燃料プールの水が漏れるようなことがあっても、新基準に基づき非常用電源が配備されており、水を補給することもできるという。北電は確かに新規制基準に対応できるよう「1千億円台後半」の資金を投じ対策を立てているという。しかし、それらの対策が果たして十分なのか、不備はないのかといった審査は、活断層を否定した後に行われることになっている。新規制基準自体、穴だらけとの指摘もあるが、仮にその基準を前提にしても、対策の妥当性は全く担保されていないのである。

県や志賀町、周辺自治体は北電と安全協定を結んでいる。
安全協定の目的の一つは周辺住民の安全の確保であり、その第12条(適切な措置の要求等)では「 甲は、地域住民の安全確保及び周辺環境の保全のため、特別な 措置を講ずる必要があると認めたときは、乙と協議のうえ、国を 通じ、又は直接丙に対し適切な措置を講ずることを求めることが できるものとする。」とある。
県や地元自治体の危機感も欠如していると思うが、安全協定に基づき設置された原子力環境安全管理協議会もある。現在のような周辺住民が危険にさらされた状態に対してどのような対策を講じるべきか真剣に議論すべきだ。

県は、適合性審査を見守るという傍観者的立場、せいぜいが北電を厳しく指導するという立場に終始するが、そもそも県がそのような姿勢を計画公表以来この51年間堅持してきていたなら、今日の志賀原発は存在しなかった。
石川県立志賀発電所と揶揄されるほどの県の露骨な介入があったからこそ、激しい反対運動にもかかわらず、北電の原発立地は前へ進んだ。県はあらためてこの経緯を確認し、行動をおこさなければならない。

以下、今日の申入書。
2018年11月28日
申 入 書
石川県知事 谷本正憲 様
 
さよなら!志賀原発ネットワーク
                             共同代表  岩淵 正明
                                   新明  宏      
                                   中垣 たか子

 去る11月11日、志賀原発で過酷事故が発生したという想定で、県の原子力防災訓練が実施されました。この訓練は福島第一原発事故発生後7回目となるものですが、今回もまた原発の再稼働を前提として訓練が行われました。しかもその訓練内容は、相変わらず福島原発事故の教訓が活かされているとは言いがたいものでした。
 しかし2011年3月11日以降、志賀原発は7年8カ月以上2基とも停止したままで再稼働の見通しはまったく立たず、来年度も稼動しないことが確定しています。2号機は原子力規制委員会において新規制基準適合性審査中とはいうものの、2014年8月の審査申請から4年以上経過しても、いまだに北陸電力の見解は次々と否定され続け、直近の審査会合においても北陸電力が提出した資料に説明不足や誤記などの不備の多さが指摘され、委員からは「論外」、「時間の無駄」といった厳しい言葉が飛ぶ有様で、北陸電力の社内でも「“本当に動くのか”と危機感が増している」と地元紙にも報道されているのが現状です。原子炉建屋直下に活断層の存在が指摘されている1号機にいたっては、審査申請の目処さえたっていません。
 一方、志賀原発が停止していても、大雪の冬も猛暑だった今年の夏も電力供給には何ら問題は生じていません。その一方で、原子炉建屋への雨水流入や大雨によるモニタリング・ポスト床上浸水など、原発の安全性に関わる問題が次から次へと起きており、停止中であってもゆるがせにはできないはずの安全管理体制に緩みが生じているのではないかと危惧されます。長期間停止による運転員の志気の低下も気がかりです。
 また、昨年度実施された原子力規制委員会と電力事業者による事故を想定した訓練で、北陸電力は「原子力規制委員会との情報共有」において最低評価でした。理由は「社内の情報共有システムがダウンし発電所の情報が伝わらなかった」という極めてお粗末なもので、こんなことでは過酷事故には到底対応できません。「北陸電力には原発運転の資格なし」と、あらためて言わざるを得ません。 
 さらに、9月6日に発生した北海道電力管内の全域停電では、原発の再稼働を優先して火力発電所の更新が後回しになっていた、いわば「原発依存が招いた“人災”」ではないかという指摘があります。この指摘は、七尾大田火力、敦賀火力で相次いだ事故発生をみれば、「志賀原発の早期再稼働を目指す」とひたすら言い続けている北陸電力も、実は北海道電力と同じような状況ではないかと懸念されます。

 台風による停電でオフサイト・センターが機能停止するなど、昨今多発している自然災害に対する原発の脆弱さも深刻な問題で、原発の存在自体が住民にとっても北陸電力にとっても大きなリスクであることが明らかになっています。

 何よりも確実な原子力防災対策は、敷地内にも敷地周辺にも活断層がある危険な原発は廃炉にすることです。
 また、志賀原発では使用済み核燃料だけでなく、2011年度以降に搬入された新燃料も原子炉から取り出された核燃料も、格納容器の外にある原子炉建屋最上階の使用済み核燃料プールで保管されています。とくに原子炉建屋直下に活断層の存在が指摘されている1号機の燃料プールには672体の使用済み核燃料が保管されているのです。2号機にも200体の使用済み核燃料があります。原子炉が停止中でも、燃料プールの冷却機能喪失、あるいは地震による燃料プールの損傷で重大事故が発生する危険性があります。そのような事態を防ぐには速やかな核燃料の撤去が必要です。核燃料が撤去できるまでの間は、停止中の原発から大量の放射能が漏れる過酷事故を想定した訓練を行うべきです。

 県においては原子力規制委員会の適合性審査の経過をただ見守るだけではなく、電力供給には必要のない、まったく発電せずに電力を消費しているだけの原発のために、住民らがこれ以上危険にさらされることのないように適切な措置をとられるよう、以下、申し入れます。


1.北陸電力に対して、原子力規制委員会において現在、新規制基準の適合性審査が行われている2号機については速やかに審査申請を取り下げ、1号機、2号機ともに廃炉に向けた検討を開始するよう申し入れること。

2.原発に頼らない新たな地域振興策など、廃炉に向けた環境整備に着手し、県として必要な措置の検討作業を始めるとともに、必要に応じ国および志賀町などの地元自治体と協議すること。とくに核燃料の取扱い(使用済み核燃料の撤去、および停止中にもかかわらず何度も
搬入された新燃料の取扱い)に関する協議を早急に開始すること。

3.県の原子力防災訓練は、再稼働を前提とした訓練ではなく、停止中の原発における過酷事故を想定した訓練を実施すること。

4.事故想定においては、地震だけでなく台風、大雨等、各種の自然災害との複合災害を想定して、防災計画の見直しを行うこと。

5.防災訓練を実施した結果あきらかになった検討すべき課題を踏まえて、原子力防災計画の見直しを行なうこと。とくに、要援護者の避難対策、および国の内外からの観光客をはじめとする訪問者の防災および避難対策についても検討すること。さらに、原子力災害拠点病院の整備をすすめる


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