マスコミも各政党も韓国の主要メディアも概ね評価、ということらしい。
確かに安倍首相も朴槿恵大統領も譲歩はしたようだ。
一日も早い「慰安婦問題」の解決が待ち望まれたことは間違いないが、それは日韓国交正常化50年の節目だからとか、両国の外交事情、経済事情からという意味ではなく、まさに生存する当事者が46人、平均年齢が90歳近いという意味で時間がなかったのだ。
和田春樹氏は世界2014年9月号で「解決」について、「両首脳が話し合って、何かトップダウンで解決策が出されるというようなことを期待する人はいないだろう」、「解決案はなによりも被害者ハルモニのこころに響くものでなければならない。また艇対協(韓国挺身隊問題対策協議会)など韓国の運動団体が受け入れうるものでなければならず、韓国の政府と国民中核部分に受け入れてもらえるものでなければならない」と指摘している。
当事者抜きの「解決」が本当の「解決」につながるのか、疑問を感じざるをえない。
加えて今後の課題もたくさんある。
お詫びの内容と方法。内容については安倍首相がかなり従来の自説を引っ込めたようだが、お詫びの方法も重要だ。テレビカメラの前でペーパー読み上げたから良しというものではないのは当然だろう。
謝罪の証としての賠償。これは金額だけの問題ではない。
さらに艇対協が指摘していた課題として「真相究明」と「再発防止措置」がある。
安倍首相は「子孫に謝罪し続ける宿命を負わせるわけにはいかない」と強調する。
もうこれでこの問題は終わったんだ。忘れていいんだとなっては大変なことになる。
資料の全面公開やさらなる調査による「真相究明」、学校教育や社会教育、追悼事業、そして誤った公人の発言禁止など「再発防止措置」抜きの「解決」はありえないし、あってはならないのではないか。
最終解決したんだからもう口を挟むな、という世論形成に向かうのが怖い。
和田さん、故・島崎譲が肩入れしていたあの国です。