今年最後となる珠洲市教育委員会(定例会)が開催される。
教育長からの業務報告やH26年度当初予算重点目標の設定、12月補正予算、就学指導委員会審議結果などについて報告され、質疑、意見効果がおこなわれたが、今日の一番の注目は12月議会の一般質問でも取り上げた全国学力・学習状況調査結果の公表問題である。
結果公表の動きがある中、成績公表の是非を問う6月議会の私の質問に対し、教育長は「今後も従来どおりの方針での臨みたい」と答弁。
その後、11月29日に文科省はH26年度の実施要領を発表し公表解禁方針を示す。
先の12月議会であらためて対応方針を確認する私の質問に対し、教育長は教育委員会で検討する方針を示す。
6月議会で教育長が「今後も・・・」答弁しているではないか、あらためて協議とは・・・公表へ方針転換との一抹の不安がないわけではなかったが、教育長の考えではなく教育委員会で議論し総意を諮るというのが確かに筋ではある。
ということで今日の会議を傍聴したが、委員長はじめ全委員が意見を述べ、従来通りの対応を維持することで一致。ただし、珠洲市教育委員会としての結論は、今日の会議の内容を次回の校長会で報告し、現場の意見を踏まえたうえで、次回委員会定例会で確認するということになった。
教育委員会制度を葬り去る内容の答申が中央教育審議会から出されたばかりだが、今日の議論についていえば、教育委員会は機能している。会議を経て、現場の意見(校長会だけでいいわけではないが)を踏まえ、最終結論を出すという姿勢も重要で、これをもってスピード感がないとの批判も当たらない。政治に振り回される文科省の方針転換に対し、教育委員会がしっかり歯止めとなっていることが示された。
以下、私の議会質問から若干の経緯を紹介しておく。
◇2013年6月定例会での一般質問。
教育問題の2点目は全国学力・学習状況調査についてです。この問題については、これまでもしつこいと思われるくらい何度も取り上げ、教育長の答弁とは平行線をたどっています。教育長は調査の意義と必要性を強調されますが、私は点数学力偏重で競争を過度に煽る弊害をしてきました。
今回はこの弊害がますます深刻化しているのではないかという思いから質問をさせていただきます。小学生が夏休みをつぶして過去問を解く事前練習にとどまらず、昨年は冬休み前に県下一斉、授業をつぶしての学力テスト対策がおこなわれました。各学校の自主的な試験対策や教育事務所単位の対策ではなく、県下一斉、組織的な試験対策をしないと全国一位はとれないぞという県教委の方針ですが、これはトップを走る秋田県教委をモデルにしたものです。必死に過去問を解く、あるいは類似問題を解くと聞けば、昔の大学受験の「傾向と対策」を思い出しますが、小学生から傾向と対策漬けの学習を繰り返すことが子どもたちの生きる力を育むことにつながるのでしょうか。私には異常としか思えません。
こうした中で、さらに過度な競争を助長することにつながりかねない自治体による学校別の成績公表の動きが出てきました。
この調査について、文科省は当初から自治体による学校別成績の公表を実施要領で禁止してきました。地域や学校の序列化や偏見を助長したり、競争のさらなる過熱化を招きかねませんから教育的な観点から当然だと思いますし、調査の本来の目的に照らしても公開の必要はないと私は考えます。
しかし、順位争いが激化する中、多くの都道府県で大なり小なり様々な試験対策が繰り広げられ、それなりの教育予算も投入されはじめました。こうなりますと、事は教育委員会のメンツ争いにとどまらず、市長の責務として税金を投入の成果を市民に公表しなければならないという、ある意味では正論ですが、このような考えも登場してきました。予想されたとはいえ、ますます危惧する事態をむかえました。
下村文科大臣はこうした一部の自治体からの公表を求める声を受け、待ってましたとばかりに市町村長らに意見を聴く方針を示しました。そこで市長および教育長は、学校別の成績公表の是非についてどのような認識をもっておられるのかお聞きしたと思います。
<教育長>
全国学力・学習調査についてでありますが、文部科学省が示している実施要領では、「市町村教育委員会が、保護者や地域住民に対して説明責任を果たすため、当該市町村における公立学校全体の結果を公表することについては、それぞれの判断に委ねること」また、「学校が、保護者や地域住民に対して説明責任を果たすため、自校の結果を公表することについては、それぞれの判断に委ねること」とあります。
本市では、この趣旨に基づき、第1回目の平成19年度調査から市内の学校ごとの結果の公表は行っておりません。しかし、学校自らは、自校の児童生徒及び保護者に学校の説明責任を果たすため、自校の結果と併せて学力を保障する学校の取り組み状況や取り組み方針を伝えるよう、それぞれの学校長の判断で公表をしております。
また、市全体の結果につきましては、校長会等を通して公表しており、各学校では自校の説明と併せて示すこともあります。本市といたしましては、今後もこの方針で臨みたいと考えております。
◇11月29日 文科省、学校別成績の公表解禁を発表。
◇北陸中日新聞(11月30日)県内市町教委アンケート 珠洲市の回答「公表する場合は丁寧な対応が必要」
◇2013年12月定例会での一般質問。
教育問題でもう一点、全国学力テスト成績公表問題です。
この問題については文科省が公表解禁に向けて、全国の教育長らにアンケートを実施するという方針が示された中、今年の6月議会で質問させていただきました。教育長からは従来から実施要領に沿って市教委は市全体の結果については公表するが各学校の結果は公表しておらず、今後もこの方針で臨みたいとの答弁でした。
多くの市町村教委が反対や慎重意見を表明する中、文科省は先月29日、実施要領を変更し、市町村教育委員会による学校別の成績公表を解禁する方針を示しました。各都道府県教育委員会が音頭をとっての競争が年々過熱している中、さらに学校の序列化や過度の点数競争をもたらすものであり、公表すべきでないと考えます。6月議会の答弁がありましたから、今回あらためて聞くまでもなく、聞くつもりもなかったのですが、地元紙のアンケートで市教委は「公表する場合は丁寧な対応が必要」と回答しています。方針を転換し、学校ごとの公表も考えておられるということでしょうか。いま一度、対応方針を確認させていただきたいと思います。
<教育長>
最後に全国学力学習状況調査の結果の公表についてでありますが、先般、学校名を明らかにした公表が認められました。結果の公表にあたりましては、内容や方法等については教育上の効果や影響を考慮して、適切なものとなるよう判断することとありますので、この点を踏まえたうえで、今後、教育委員会で検討してまいりたいと考えております。
教育長からの業務報告やH26年度当初予算重点目標の設定、12月補正予算、就学指導委員会審議結果などについて報告され、質疑、意見効果がおこなわれたが、今日の一番の注目は12月議会の一般質問でも取り上げた全国学力・学習状況調査結果の公表問題である。
結果公表の動きがある中、成績公表の是非を問う6月議会の私の質問に対し、教育長は「今後も従来どおりの方針での臨みたい」と答弁。
その後、11月29日に文科省はH26年度の実施要領を発表し公表解禁方針を示す。
先の12月議会であらためて対応方針を確認する私の質問に対し、教育長は教育委員会で検討する方針を示す。
6月議会で教育長が「今後も・・・」答弁しているではないか、あらためて協議とは・・・公表へ方針転換との一抹の不安がないわけではなかったが、教育長の考えではなく教育委員会で議論し総意を諮るというのが確かに筋ではある。
ということで今日の会議を傍聴したが、委員長はじめ全委員が意見を述べ、従来通りの対応を維持することで一致。ただし、珠洲市教育委員会としての結論は、今日の会議の内容を次回の校長会で報告し、現場の意見を踏まえたうえで、次回委員会定例会で確認するということになった。
教育委員会制度を葬り去る内容の答申が中央教育審議会から出されたばかりだが、今日の議論についていえば、教育委員会は機能している。会議を経て、現場の意見(校長会だけでいいわけではないが)を踏まえ、最終結論を出すという姿勢も重要で、これをもってスピード感がないとの批判も当たらない。政治に振り回される文科省の方針転換に対し、教育委員会がしっかり歯止めとなっていることが示された。
以下、私の議会質問から若干の経緯を紹介しておく。
◇2013年6月定例会での一般質問。
教育問題の2点目は全国学力・学習状況調査についてです。この問題については、これまでもしつこいと思われるくらい何度も取り上げ、教育長の答弁とは平行線をたどっています。教育長は調査の意義と必要性を強調されますが、私は点数学力偏重で競争を過度に煽る弊害をしてきました。
今回はこの弊害がますます深刻化しているのではないかという思いから質問をさせていただきます。小学生が夏休みをつぶして過去問を解く事前練習にとどまらず、昨年は冬休み前に県下一斉、授業をつぶしての学力テスト対策がおこなわれました。各学校の自主的な試験対策や教育事務所単位の対策ではなく、県下一斉、組織的な試験対策をしないと全国一位はとれないぞという県教委の方針ですが、これはトップを走る秋田県教委をモデルにしたものです。必死に過去問を解く、あるいは類似問題を解くと聞けば、昔の大学受験の「傾向と対策」を思い出しますが、小学生から傾向と対策漬けの学習を繰り返すことが子どもたちの生きる力を育むことにつながるのでしょうか。私には異常としか思えません。
こうした中で、さらに過度な競争を助長することにつながりかねない自治体による学校別の成績公表の動きが出てきました。
この調査について、文科省は当初から自治体による学校別成績の公表を実施要領で禁止してきました。地域や学校の序列化や偏見を助長したり、競争のさらなる過熱化を招きかねませんから教育的な観点から当然だと思いますし、調査の本来の目的に照らしても公開の必要はないと私は考えます。
しかし、順位争いが激化する中、多くの都道府県で大なり小なり様々な試験対策が繰り広げられ、それなりの教育予算も投入されはじめました。こうなりますと、事は教育委員会のメンツ争いにとどまらず、市長の責務として税金を投入の成果を市民に公表しなければならないという、ある意味では正論ですが、このような考えも登場してきました。予想されたとはいえ、ますます危惧する事態をむかえました。
下村文科大臣はこうした一部の自治体からの公表を求める声を受け、待ってましたとばかりに市町村長らに意見を聴く方針を示しました。そこで市長および教育長は、学校別の成績公表の是非についてどのような認識をもっておられるのかお聞きしたと思います。
<教育長>
全国学力・学習調査についてでありますが、文部科学省が示している実施要領では、「市町村教育委員会が、保護者や地域住民に対して説明責任を果たすため、当該市町村における公立学校全体の結果を公表することについては、それぞれの判断に委ねること」また、「学校が、保護者や地域住民に対して説明責任を果たすため、自校の結果を公表することについては、それぞれの判断に委ねること」とあります。
本市では、この趣旨に基づき、第1回目の平成19年度調査から市内の学校ごとの結果の公表は行っておりません。しかし、学校自らは、自校の児童生徒及び保護者に学校の説明責任を果たすため、自校の結果と併せて学力を保障する学校の取り組み状況や取り組み方針を伝えるよう、それぞれの学校長の判断で公表をしております。
また、市全体の結果につきましては、校長会等を通して公表しており、各学校では自校の説明と併せて示すこともあります。本市といたしましては、今後もこの方針で臨みたいと考えております。
◇11月29日 文科省、学校別成績の公表解禁を発表。
◇北陸中日新聞(11月30日)県内市町教委アンケート 珠洲市の回答「公表する場合は丁寧な対応が必要」
◇2013年12月定例会での一般質問。
教育問題でもう一点、全国学力テスト成績公表問題です。
この問題については文科省が公表解禁に向けて、全国の教育長らにアンケートを実施するという方針が示された中、今年の6月議会で質問させていただきました。教育長からは従来から実施要領に沿って市教委は市全体の結果については公表するが各学校の結果は公表しておらず、今後もこの方針で臨みたいとの答弁でした。
多くの市町村教委が反対や慎重意見を表明する中、文科省は先月29日、実施要領を変更し、市町村教育委員会による学校別の成績公表を解禁する方針を示しました。各都道府県教育委員会が音頭をとっての競争が年々過熱している中、さらに学校の序列化や過度の点数競争をもたらすものであり、公表すべきでないと考えます。6月議会の答弁がありましたから、今回あらためて聞くまでもなく、聞くつもりもなかったのですが、地元紙のアンケートで市教委は「公表する場合は丁寧な対応が必要」と回答しています。方針を転換し、学校ごとの公表も考えておられるということでしょうか。いま一度、対応方針を確認させていただきたいと思います。
<教育長>
最後に全国学力学習状況調査の結果の公表についてでありますが、先般、学校名を明らかにした公表が認められました。結果の公表にあたりましては、内容や方法等については教育上の効果や影響を考慮して、適切なものとなるよう判断することとありますので、この点を踏まえたうえで、今後、教育委員会で検討してまいりたいと考えております。
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