北野進の活動日記

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再稼働前提の防災訓練反対!

2015-11-11 | 志賀原発
さよなら志賀原発ネットワークとして、今月23日に予定されている原子力防災訓練に対する申し入れを行う。

   

下記申入書に記載通り、4年8か月間、電力は消費すれど発電はしていない志賀原子力「発電所」。
これでは単なる巨大なコンクリートの建物・・・ならいいが、原子炉には核燃料が装荷されたまま、燃料プールには使用済み燃料もある。
しかもその直下には活断層が。
もちろんリスクは地震だけではない。
火山や竜巻、さらには安保法の成立でテロや武力攻撃のリスクも確実に高まっている。
発電しない発電所のために周辺住民は今現在も被ばくの危険に晒され、ふるさとを追われる防災訓練をおこなう。

追われるべきは住民ではなく核燃料ではないか。
といってもどこかへ持って行けと言う訳にもいかない。せめて核燃料を取り出し、活断層の真上は避けて、敷地内で当面は乾式貯蔵で管理するしかないのではないか。
国の指針や県の原子力防災計画に基づいて、ただ訓練を繰り返す石川県や県内の自治体。
本気で災害を防ぐ、文字通りの原子力「防災」を真剣に考えてもらいたい。

残念ながら今日も申し入れでもこの辺りはなかなかかみ合わない。

2000年、原子力災害対策特別措置法ができて、原子力防災は災害対策基本法の例外として国に大きな権限を集中させることになった。この時懸念した問題の一つが自ら原原子力防災を考える自治体職員がいなくなるのではということだった。
国にお任せ、国の指示に従うだけ。
停止中の原発のリスクを国が示さないからと言って(IAEAは示しているが)、活断層の疑いが極めて濃い断層の真上に核燃料があることの危機感が全く感じられないのはやはり異常だ。

今日の申し入れでは、せめて停止中の原発の事故を想定した訓練をやるべきと何人もの方が訴える。
停止中ならリスクは低いとか、事故に至る合理的なシナリオがつくれない、とか言うが、要は自分らの勉強不足を吐露してるだけではないか。
稼働中の原発事故を想定した訓練を繰り返すこと自体、県民世論を再稼働への誘導しようという意図が感じられる。

23日訓練当日は平和運動センター+社民党県連は調査・監視行動をおこない、さよなら志賀原発ネットワークは訓練実施への抗議の意思表示をおこなう予定。

   

 以下、今日の申入書。

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2015年11月11日

石川県知事
谷 本 正 憲 様
さよなら!志賀原発ネットワーク
共同代表 岩淵 正明
南  高広
中垣たか子 
 

申 入 書


 来る11月23日、県は志賀原発の事故を想定した原子力防災訓練を実施する予定と報道されています。県や県内19市町のほか、内閣府や原子力規制委員会、自衛隊など約270機関の1950人が参加するとのこと。参加者は約1割減となりますが、1昨年とほぼ同規模の実施体制かと思われます。 私たちは1992年に実施された第一回訓練以降、住民参加でおこなわれる訓練では毎回調査行動を実施し、訓練内容をチェックし、問題点を指摘してきました。あわせて住民の原発に対する意識を知るため、住民アンケートも実施してきました。この間の調査行動や昨今の原子力政策、志賀原発を取り巻く新たな情勢も踏まえ、原子力防災のあり方について、私たちも一県民として知恵を絞りあいたいと考えています。
 福島第一原発事故前、国や自治体の原子力防災計画の根底には「過酷事故は起きない。周辺住民の被ばくは避けられる」という信仰とも言うべき安全神話があり、原発推進政策と表裏一体をなしてきました。この神話は福島第一原発事故によって完全に瓦解し、甚大、深刻、広範かつ悲惨な被害を目の当たりにした多くの国民はこの「安全神話」が嘘っぱちであったことを知ったのです。脱原発を求める国民世論は一気に拡大し、その傾向は私たちの住民アンケートからも確認することができます。「過酷事故は起こりうる。二度とフクシマの悲劇を繰り返してはならない」、これは多くの国民がフクシマから得た教訓です。
 ところが安倍政権は原発再稼働へ、さらには原発輸出を成長戦略の柱へと大きく舵を切り、原子力産業の復権・強化を図っています。原子力防災については、あろうことか過酷事故は起こるという前提で、住民と防災業務従事者に被ばくを強いる原子力災害対策指針を新たに策定しました。防災対策の強化ではなく、何がなんでも原発を再稼働させるための開き直りとしか言いようがありません。
福島第一原発事故以降の志賀原発の原子力防災訓練もこうした国の政策に呼応して実施されてきました。フクシマ後初めてとなる2012年の訓練は、国の原子力災害対策指針の策定前であり、また県原子力防災計画の改定前でしたが、北陸電力が再稼働への動きを強める中、初めて30キロ圏内の住民を30キロ圏外へ広域避難させる訓練を実施しました。
 翌2013年の訓練は、国の原子力災害対策指針策定を受けて県原子力防災計画が改訂され初めての訓練でした。5キロ圏の緊急時活動レベル(EAL)や5~30キロ圏の運用上の介入レベル(OIL)という新たな避難の判断基準の導入をはじめ、自家用車による避難、スクリーニングポイントの設置、ヨウ素剤の配布方法の見直し、段階的避難の導入など、避難計画の根幹に関わる重要な改定がなされたにもかかわらず、想定される住民の被ばくを隠した欺瞞的な訓練でした。 
 昨年11月には志賀原発としては初めての国主催訓練が2日間にわたって実施されました。私たちがかねてから要求してきた実時間訓練やブラインド訓練が部分的には盛り込まれましたが、残念ながらそこには住民の姿はなく、実態とはかけ離れた非現実的訓練の繰り返しで終わりました。
 これら3回の訓練に共通するのは、再稼働を前提として志賀原発稼働中の過酷事故を想定していること。しかしながら、住民が参加する訓練場面ではフクシマの教訓をほとんど踏まえていないことです。フクシマでは放射線防護やヨウ素剤の服用、放射線モニタリング、スクリーニング体制、除染など、あらゆる場面で防災計画は機能せず、住民は避けることができたはずの被ばくを余儀なくされ、何か所もの避難所を転々としたケースも少なくありません。改訂された原子力防災計画も、結局、過酷事故が起きれば直面することになる原子力災害の特殊性を十分には認識していないということです。これでは、「過酷事故が起きても大丈夫」という新たな安全神話づくり、安全性のPRのための訓練と言わざるをえません。
 福島第一原発事故は、ひとたび過酷事故が起これば、生命や健康、財産、さらには地域コミュニティを破壞し、生業を奪い、地球環境にも取り返しのつかない深刻な影響を及ぼすことを実証しました。一方、この間約2年間、原発ゼロでも日本経済は電力不足も経済破綻も起こさず、むしろ再生可能エネルギーや省エネルギー、蓄電などの技術開発を加速させています。志賀原発に至っては実に4年8か月、停止状態が続いていますが、北陸電力管内に電力不足は起こっていません。むしろ他の電力会社に電力を融通し、コストの低い水力発電の比率の高さを生かして利益を出し続けています。全国的に見ても電力需給に何ら問題は生じていません。原発の必要性神話も崩壊したのです。このような原発のために、なぜ住民が生存権、人格権を根こそぎ奪われるリスクを負わなければならないのでしょうか。
 特に志賀原発敷地内には、原子力規制委員会の有識者会合で4人の専門家が「活断層の可能性は否定できない」との見解で一致した活断層が存在します。活断層の上にある原子炉には今も核燃料が据えられ、使用済み燃料プールにも核燃料が保管されています。万が一、外部電源の喪失や冷却水の漏出等により冷却機能が停止したときのリスクの大きさは、首都圏壊滅すら想定された福島第一原発4号炉によって多くの国民が知るところです。この状態を放置し、原発事故が起こればまさに人災です。今、北陸電力に求められているのは、原子力災害を未然に防止するための発生源対策であり、県は文字通りの原子力「防災」対策に最大限の指導力を発揮すべきです。再稼働前提の訓練など論外と言わなければなりません。
 そこで以下3点、要望いたします。



1.志賀原発の再稼働を前提とした訓練は実施しないこと。

2.停止中の志賀原発で想定されるリスク評価を実施し、リスクをゼロにする、あるいは低減させる
対策を早急にたてるよう北陸電力に求めること。

3.2の対策を実施するための経過期間のリスク、対策後に残るリスクに備える原子力防災計画を策
定し、実効性を確認する防災訓練を実施すること。


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