世界農業遺産(GIAHS)国際会議が七尾市和倉のあえの風で開催された。
私は午前中のハイレベルセッションと午後の記念シンポに参加。
ハイレベルセッションではGIAHS認定に関わるFAOなど国際機関の代表者からの発言や認定地域のある国の代表者による認定後の取り組みの報告などがあった。
これまで能登や佐渡の取り組みはそれなりに理解していたつもりだが、あらためてFAOの事務局長ら関係者からGIAHSとは何か、どういう問題意識のなかで取り組みが進められているのかなどについて直接聞ける貴重な機会となった。
同時通訳なのでがで、聞きづらいところも多々あり、しかもかなり早口となる場面も多かったので、全体を正確に把握できたわけではないが、耳に入ってくるフレーズを並べてみるだけでもなかなか刺激的だった。
「持続可能な農業」や「生物多様性」という言葉は何回となくでてくるが、さらに地球上で飢餓で人が死ぬことはあってはならない、といった飢餓と食糧問題という観点からの発言も多い。
小農の重要性も語られる。日本では小農は兼業で生きていけるし、最悪、農業をやめて転職もありだ。しかし、世界では小農として生きていけなくなること=生存の危機という地域もある。
「貧しい人々は豊かな知識をもった人々でもある。膨大な知識(知恵)が報われる社会を」といった発言も。
能登と佐渡は、いわゆる先進国初のGIAHS認定ということで、これまでの認定は発展途上国のまさに世界の経済成長からとり残された地域の伝統的な農業が中心だ。
多様性も大切なキーワードだ。
「人間の多様性」「文化の多様性」「言語の多様性」「治療の多様性(薬草の活用)」「種の多様性」といった言葉も飛び交う。
これまでの認定地域を国別にみると、中国が6地域(今回さらに2地域が新たに認定)と最も多いが、少数民族の権利や暮らし、伝統を守る取り組みと密接に関連しているのがわかる。
最も刺激的だったのは「GIAHSの認定が大切なのではなく、GIAHSを政策の主流にすることが大切なんだ」という発言だ。GIAHSを政策の主流に!という呼びかけは、現在の日本の課題で言うと、まさにTPPを阻止して能登や佐渡のような生態系を大切にした伝統的な農業を主流にしていこうという呼びかけだ。
これまでのGIAHS国際会議は研究者が中心の会議だったそうだが、今回は自治体や国の関係者も多く参加している。
「政策の主流に」という呼びかけを単なるスローガン的な言葉で終わらせてはいけない。
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