8月30日に輪島市で予定されている北朝鮮ミサイル避難訓練の中止を求める県平和運動センター、輪島・穴水平和運動センター、社民党県連合の申し入れ(申入書は後掲)に私も同行。
輪島市の対応は防災対策課の課長と係長。
これに先立ち、18日には県へも同趣旨の申し入れがおこなわれているが、県の回答は「国からの要請であり、万が一の対応なのでご理解を」の一点張りだったとのこと。
輪島市は、国の要請を受けた県から、さらに要請を受けた孫請けの立場を前面に出してひたすら「ご理解を」ということで終わるかと半ば覚悟しての申し入れだったが、驚きの内容が明らかになった。
訓練に参加する一般の市民(市内河井町の区長さんや防災士さんら)は40~50人。
これだけは格好がつかない(からと輪島市は言わないが)ので、輪島中学校と河井小学校も一部参加させるのかと思ったら、なんと輪島市内全小中学校が参加とのこと。
児童生徒は1,435人、教職員は237人。計1,672人である。
つまり、基本は小中学校を対象としたミサイル避難訓練ということだ。
国や県からの要請なのか確認したところ、輪島市の判断とのこと。
理屈としては、大人は緊急放送を理解できるが、子どもは理解できないので安全教育の一環とのこと。
では、何をどのように理解させるのか。
火災や地震の避難訓練との違いをどう理解させるのか。
仮想敵国を作るための訓練ではないと県は力説していたそうだが、結果として北朝鮮に対する恐怖と憎悪を煽り、敵視政策を浸透させることは明らか。
このような訓練自体、児童生徒の安全確保にとって無意味だと思うが、百歩も万歩も譲って万万が一のリスクの低減だとしても、このような訓練をやらなくてもいいような国際社会の平和、東アジアの平和をどのように構築していけばいいのか、まさに次代を担う子どもたちの平和学習の強化こそがいま大切だ。
それを抜きにしてミサイル防災訓練に走ることは「戦争教育」と批判されても仕方ないのではないか。
輪島市の訓練実施の再考を求めると同時に、保護者の皆さん、輪島市民の皆さんにもぜひ大きな関心を寄せていただきたい。
輪島市教育委員会の見解もぜひ明らかにしてほしいところだ。
以下は今日の申入書。
2017年8月25日
輪島市長 梶 文秋 様
石川県平和運動センター共同代表
柿平哲夫 南弘樹 本田良成 新明宏 森憲一
輪島・穴水地区平和運動センター議長 山下 昇
社会民主党石川県連合代表 盛本 芳久
( 公 印 省 略 )
柿平哲夫 南弘樹 本田良成 新明宏 森憲一
輪島・穴水地区平和運動センター議長 山下 昇
社会民主党石川県連合代表 盛本 芳久
( 公 印 省 略 )
「北朝鮮ミサイル-避難訓練-」の中止申入れ
石川県は、朝鮮民主主義人民共和国(以下、北朝鮮と略す)のミサイル飛来に備えて「避難訓練」を輪島市で実施するとしています。
輪島市長は、北朝鮮のミサイルが日本に飛来するとお考えなのでしょうか。北朝鮮は「自国防衛」のため「核・ミサイル」を開発していますが、照準は米国を向いています。それは、朝鮮戦争が停戦中であり平和協定が結ばれていないからです。5回の核実験と20回以上の弾道ミサイル実験を繰り返した北朝鮮ですが、米国は07年以降、10年間で41回の弾道ミサイル実験を行っており、北朝鮮の比ではありません。米韓合同演習では、戦略爆撃機、空母打撃部隊など圧倒的戦力を投入し、年二回、米特殊部隊1,000人を含む30万人で北朝鮮を威圧しています。
自衛隊もまた、米国の先兵として「核」空母打撃部隊や「核」戦略爆撃機B1を護衛し、北朝鮮を先制攻撃する訓練をやっています。これらに、フセインやカダフィの末路も重ねた金正恩政権は恐怖し、「体制延命には核しかない」と考えたのです。つまり、北朝鮮による「核開発」の主因は米国にあり、「核・ミサイル」を問題にするならば、米国にも抗議すべきなのです。
私たちは、「武力で平和はつくれない」として「核兵器・核開発」に反対しています。ミサイル実験や軍事訓練にも反対し、核実験には北朝鮮であれ米国であれ抗議声明を発しています。
輪島市長が成すべき事は「避難訓練」ではなく、「北朝鮮は核開発を止めよ!」「国家予算を餓死寸前の国民に回せ!」ではないのでしょうか。そして、米軍とともに「戦争挑発」を繰り返す安倍首相に、地方自治の矜持にかけて「戦争行為はやめよ!」と訴えることではないでしょうか。
内閣改造後の世論調査を見ても、安倍首相は「信じられない人」という評価が続いていますが、北朝鮮の「ミサイル」のみを対象とした「避難訓練」は、北朝鮮を丸ごと敵視することであり、かって、日本が「支配し蹂躙してきた」ことへの反省とは真逆の行為となるのではないでしょうか。まさに「ナショナリズムの鼓吹」であり「国民を総動員」する危険な行為と言わなければなりません。控えめに見ても「不安煽りと憲法9条改悪」の地ならしと言うほかありません。
そもそも、弾道ミサイルに対して、「伏せ」「地下へ」という対処が役に立つとお考えでしょうか。戦前、金沢市生まれのジャーナリスト桐生悠々が訴えた「関東防空大演習を嗤ふ」を思い出してしまいます。もし、ミサイル「落下」が危険とお考えならば、それは「隕石」落下に等しい絵空事と言わなければなりません。小松のジェット戦闘機の方がより現実的な危機であり(別紙を見よ!)、志賀原発事故の方が危機的です。これらを踏まえて、以下、4点について要請します。
1 北朝鮮の「核・ミサイル」開発に係る「避難訓練」は無意味なので、即刻、中止すること。
2 「避難訓練」に小・中学校の児童・生徒を動員することは、無用な恐怖心、敵愾心を煽り、差別を助長するだけなので絶対に参加させないこと。
3 日本政府が、北朝鮮を敵視している米国の軍事・政治に同調することは、危機を助長し恐怖心を煽り敵愾心を増幅させ、一触即発の「核」戦争的事態を招くだけなので、貴職は、日本政府に対し毅然とした態度で、米朝双方に「軍事的な行動・威嚇」を止めるよう要請すること。
4 貴職は、北朝鮮に対し、「核・ミサイル」開発は国民を餓死させることにつながり、対外的にも問題を「複雑化」「困難化」させるだけなので、開発を止めるよう直接要請すること。
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