2018年度の原水禁石川県民会議の総会が地場産センターで開催される。
総会記念講演は、原発のコスト研究の第一人者、龍谷大学の大島堅一教授。
原発の発電コストは、水力よりも、石油火力よりも、天然ガス火力よりも、石炭火力よりも、一番安い!というのが政府見解だ。
これは珠洲の皆さんなら昔、国や電力会社からのチラシや講演会などで散々聞かされてきた話だが、いまも政府は言い続けている。
原発を進める理由の一つで、安全神話は福島の事故で完全に崩壊し、いまでは規制委員会の委員長ですら「絶対安全」とは言わないが、価格神話はいまでも結構深く浸透している。
原発再稼働に反対している人からでも、原発の電気は安いが、環境のため、安全のため、再生可能エネルギーを選ぶべきだという話はしばしば聞かれるのではないか。
大島教授は、小難しいコストの話、経済の話を実のわかりやすく解説し、原発のコストは火力や水力より高いことを明らかにしている。
政府のゴマカシのポイントは2つ。
1つは、政府の計算は発電コスト(建設費、燃料費、運転・保守費)だけで計算し、原発の社会的費用(使用済み燃料の処理・処分、廃炉措置の費用、事故リスク対応費用、立地対策費用)を入れていないこと。
廃棄物や廃炉の問題は、超長期で世代をまたぐ問題で、正確な費用はわからない。
また福島の事故費用もわからない。現在、東電は21.5兆円という数字を出しているが、燃料デブリの処分など未確定の事項が多過ぎて、増加することは確実だが、どこまで増えるか誰もわからない。
日本経済研究センターの試算では70兆円と指摘されている。単純計算で従来の原発なら200基程度建設できような額である。
もう一つは、政府のコスト計算の前提が理想の発電所を想定していること。実際に各電力会社が明らかにしている有価証券報告書の数字を積算して計算すればその嘘が暴かれる。
目からうろこの話がたくさんあったが、上記写真のグラフもとても大事。
北陸電力は今春からオール電化の一般住宅を中心に値上げを実施した。
原発停止が長期化し、経営効率化に努めてきたが限界だ、ご理解を!ということである。
裏を返せば、再稼働できれば料金をもとに戻せるという事だ(金井社長は明言していないが)。
実際、関電は高浜3,4号の再稼働で、電気料金の値下げを実施した。
グラフ真ん中が原発停止の状態。もっともコストがかかる。
動かせばグラフ右のように下がる。これは間違いない。
原発停止か、再稼働かの選択では、短期的には(事故なしと想定すれば)再稼働で料金は下げられる。
では原発を廃炉にした場合はどうか。
これがグラフ左。
大島教授の試算では、全原発を廃炉にした場合、全原発を再稼働させるより、発電原価は低くなる。
いま、問われているのは「停止か、再稼働か」ではなく「廃炉か、再稼働か」だということをお忘れなく。
若干話は逸れるが、志賀原発は2011年3月の停止後、再稼働目指し、防潮堤の建設など新規制基準適合の為の工事を続け、その工事費は北電発表では1千億円台後半とのこと。さらに停止中の維持費が年間510億円。
1,2号機揃って7年間停止し、収益に全く貢献していないが、この間の経費は5千億以上。原発1基の建設費をはるかに上回っている。
これでは他の分野でどれだけ経費を切りつめても、経営が苦しいのは当たり前のことだ。昨年度は配当すら無配になった。
いずれ再稼働したらその分は回収できるという算段なのだろうが、停止が長期化したらどうなるのか、そしてもしこのまま動かせず廃炉になったらどうするのか。
7年前に再稼働を断念し、廃炉の決断をしていた方が経営的には絶対にプラスだったはずだ。
100歩譲っても活断層問題をクリアできる見通しが立った段階で工事を行うのならわかるが、あまりにも無謀な投資だったのではないか。
おそらく一般の多くの会社なら考えられない経営判断だろう。
電力会社も電力自由化の下、地域独占会社から普通の会社になろうとしている。
こんなバカな経営していたら倒産するのではないか。
来月は株主総会が開催される。
停止状態の長期化が予測される中、このままコストをかけ続けていいのか、ぜひ株主の皆さんには真剣に議論をしていただきたい。
原水禁石川の共同代表の一人、珠洲の糸矢さんが総会冒頭の代表あいさつ.
朝鮮半島の新たな動き、核兵器禁止条約の採択など踏まえ、今年も核のない社会に向けて奮闘する決意を語り、県内各地で来月予定する反核・平和行進への参加を呼びかける。
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