今年4月14日に福井地裁で出された高浜原発の仮処分決定が今日、同じく福井地裁で取り消された。
福井県知事の再稼働の同意や防災計画の認可など再稼働への動きが加速する中、年明けかとも思われていた異議審の決定通知の日程が今日ということになり、結論は厳しいものになると予想はしていた。
本来あってはならないことだが、官邸と福井県、そして福井地裁が緊密に連絡を取り合っているとしか思えなかった。
そんな結論ありきの異議審だが、その決定内容はあまりにもお粗末なものだった。
報告集会で今回の決定が今後の原発裁判に与える影響について問われた河合弁護団長や井戸弁護士は即座に影響はないと断言した。
樋口裁判長による4月の差止仮処分の決定、あるいは昨年の同じく樋口裁判長による大飯原発運転差止判決などと比べ、内容が低レベルで、関電の主張のコピペで済ませたような安直なものだったからだ。
そもそも昨年大飯判決、そして今春の高浜差止仮処分決定を受け、最高裁はこのような判断が二度とでないようにと裁判官人事をおこなった(と思われた)。今回の決定を出した林裁判長は最高裁肝いりのエリートだそうだ。
悲観的な受けとめ方が漂う中での異議審ではあったが、仮審尋を重ねる中での的確な争点整理や住民側弁護団の主張にもしっかり耳を傾ける姿勢は、「最高裁人事」は偏見だったかと淡い期待を持たせたほどだ。
差止仮処分を維持するならば樋口判決をさらに上回る立派な決定で今後の脱原発裁判に大きな影響を与えるだろう。
仮に差止仮処分を覆すのならば樋口判決の論理を否定する、今後の私たちの裁判闘争にとって極めて高いハードルとなるような決定が出るだろう。
そんな意味で、今日の決定は大いに注目されていた。
ところが、ところが、いざ出てきた決定内容は余りにも軽薄。
国の審査を受けているから過酷事故は起きない、安全は確保されていると、完全に3.11前にタイムスリップし、再稼働にゴーサインを出すものだった。新規制基準で示された多重防護の考え方すら取り入れていない。
国際的な原発推進組織であるIAEAですらさすがにこんなレベルでゴーサインを出されては困るのではないかと思われるような内容である。
安倍政権の再稼働路線に追随し、あるいは関電の経営方針に沿った決定を出すにはこの程度の内容しか書くことができないのか、余りにも情けない
私たち住民側の負けではなく、司法が原子力ムラに負けたのだ。
そんな決定に対して、住民側弁護団は名古屋高裁金沢支部へ可及的速やかに抗告する方針を示した。
舞台はまたもや福井から金沢へと移ることになる。
司法の場でのたたかいは後退することはない。
街頭でも声をあげ、署名も集め、集会やデモもおこない、さらに来年は選挙でも再稼働路線に対する審判を下す機会がある。
報告集会に悲壮感はない。
次なるたたかいへの決意を確認し合い、全国から集まった参加者はそれぞれのたたかいの場へと帰路に着いた。
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