北野進の活動日記

志賀原発の廃炉に向けた取り組みや珠洲の情報、ときにはうちの庭の様子も紹介。

原発問題で珠洲市平和センター市長申し入れ

2011-11-16 | 脱原発

 珠洲市平和運動センター(糸矢敏夫議長)は11月16日、泉谷市長に福島原発震災を踏まえた志賀原発への対応や新エネルギーの普及の取り組みについて申し入れをおこなった。

 福島第一原発の事故を受けての志賀原発への対応については、七尾市、羽咋市、中能登町の2市1町に加え、奥能登でも梶文秋輪島市長、さらに口能登でも八十出泰成内灘町長が安全協定への参加を表明している。ところが半島先端、まさに陸の孤島ともなりかねない珠洲市の泉谷市長は防災計画の策定、安全協定への参加を巡ってこの間、慎重発言に終始してきた。
 今日の平和センターの申し入れは、市長に対し、市民の安全、安心を守る立場から、より積極的な対応を求めてのものである。

 申入書はは下記の通りである。
 市長の回答は、概ねこの間の議会答弁の域を出ず、慎重な言い回しに終始するものだった。

 原子力防災計画については、国や県の計画の整合性が大切であり、国の指針を踏まえて対応したいとのこと。谷本知事と同じスタンスである。
 現行の国主導の原子力防災計画が福島の事故で全く機能しなかったどころか、国による情報統制の下で多くの住民、特に子どもたちが無用な被曝をさせられたという教訓を踏まえ、全国の原発現地では自治体主導、あるいは地域の実情にあった防災計画の見直しに向け、積極的な提言が行なわれている。
 谷本知事のように国の指針待ちのような受身の知事は少数派である。珠洲市もどういう防災計画を求めるのか、自ら積極的に発言しないと一律30キロの計画で切り捨てられていく。残念ながらこれまでの議会答弁同様、今日も自ら声を上げていこうという姿勢は見られなかった。
 奥能登広域圏での連携については、9月議会では北陸電力が住民説明会がおこなわれるときには連携したいというはぐらかし答弁であったが、今日は同一歩調をとるかどうかはともかく、連絡は取り合っているし、被災者の受入れなどで連携はしなければならないと、かすかに前に踏み出したかのような回答であった。

 安全協定を巡っては、協定とは別に情報を得られるようにしたいとのこと。
 確かに、現行の安全協定でも協定違反で情報は入らないこともある。国が情報統制をして情報の隠蔽もある。現在の安全協定は、情報提供の分野にとどまらず多くの面で問題があり、行政と電力会社の馴れ合い体質を助長するものになっているのは事実である。
 現在の安全協定は欠陥商品だが、実はその中で事故時の通報基準は過去のトラブルを巡る対応に抗議の声を上げるなかで少しずつ改善されてきた歴史を持つ。当初はもっともっとひどかったのである。抗議し、これでは住民の安心はおろか安全も守れないという怒りの交渉の中で、改定が繰り返されているのである。
 現在の協定はともかく、別の形でも情報提供を、という姿勢ではこれまで獲得してきた成果さえ受け止めることは難しい。
 県を通じて情報提供されるようしたいという腰の引けた対応では、いざというときに相手にはされないだろう。

 この協定に単純にそのまま入ればいいというものではない。参加しさらに協定内容変更も迫るくらいの意気込みがほしいものである。

 以下、申入書である。
 

2011年11月16日

珠洲市長
泉谷 満寿裕 様
珠洲市平和運動センター
議長 糸矢 敏夫

志賀原発への対応を求める申入書

 日頃、市政の発展、市民福祉の向上に向け、ご尽力いただいておりますことに心より敬意を表します。
 さて、3月11日に発生した東日本大震災によって引き起こされた福島第一原子力発電所の過酷事故から約8ヶ月が経過しました。放射性物質の環境中への放出は依然として続いており、いまだ事故収束への確たる見通しも立っていません。
大地も海も大気も広く放射能で汚染され、10万人を超える発電所周辺住民が避難を余儀なくされ、避難区域外に暮らす住民も含め、外部被曝や内部被曝による健康被害が懸念されています。農林水産業を中心に地域の経済活動も壊滅的被害を受け、食品の安全に対する国民的不安も高まっています。
 チェルノブイリと匹敵する人類史上最悪の事故でありながら、事故原因の徹底究明がなされないまま政府は停止中の原発の再稼動を目指す方針であり、全国各地の原発周辺住民はもとより、多くの国民は大きな不安と戸惑いの中にあります。
北陸電力も志賀原発の早期再稼動に向けた準備を着々と進めており、立地町の志賀町だけでなく県内、さらには富山県も含め、志賀原発の危険性を懸念する声が高まっています。
こうした中、10月20日、政府の原子力安全委員会事務局は緊急防護措置区域(UPZ)を30キロメートルとするなどの原子力防災指針の見直し案を示しました。
 能登半島の大半が志賀原発の現地となり、しかも奥能登が「陸の孤島」ともなりかねない現実が政府の計画によってあらためて明らかになりました。果たして住民の安全を守ることができるのか、今後、県内各自治体で原子力防災計画の見直しや新たな計画策定、北陸電力との安全協定の締結についての議論がより真剣に、かつ活発におこなわれるものと思います。
 私たち珠洲市民にとっても志賀原発とどのように向き合うかは決して他人事ではありません。珠洲市としても市民の命と暮らしを守るため、防災計画の策定は当然のこと1次産業の振興と再生可能エネルギーへの転換が重要です。
 そこで、志賀原発についての諸課題に適切に対応していただきたく、以下3点申し入れます。


1.半島先端という地理的特性、さらに福島県内では60キロメートル離れた地域でも高濃度の汚染区域があることも踏まえ、県の原子力防災計画(緊急防護措置区域)に奥能登全体を含ませるよう要望すること。さらに珠洲市としても原子力防災計画を策定すること。

2.迅速な情報提供、再稼動にあたっての事前了解を明記した安全協定を北陸電力と結び、市民の安全確保に万全を期すこと。

3.世界農業遺産に認定された里山里海の保全・活用と原発は相容れません。再生可能エネルギーの普及拡大、地域資源を活用した産業の振興を充実させること。


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