今日届いた「世界」9月号。「消滅する市町村」論批判の見出しが真っ先に目にとまる。
元総務大臣の増田寛也氏が中心となって作成された人口問題を巡る数本のレポートが注目されtている。
特に5月9日に公表された「日本創生会議」(座長・増田寛也氏)の発表した試算では珠洲市など県内全国の896市区町村が将来消滅する可能性がある自治体とされた。
ショックを受けた自治体関係者も多いし、直後の6月議会では全国各地で人口問題が議論された。
将来の人口推計を求めるレポートはこれまでも数多くまとめられている。
日本創生会議のレポートは市町村消滅という刺激的な表現が入っていたため注目を浴びたが、上の新聞記事にあるように基本的には当該自治体でやれる特効薬はなく、やるべきことを地道にやるしかない(朝日5月10日)し、同日の朝日の社説も目新しい対策はない、やるべきは子育て環境の支援策拡充と働き方の改革だとして実行を迫っている。
こうした記事読んでさらりと納得し、原文のレポートにはあたらず、そのままにしていた。
強いて言えば、小泉内閣以降特に顕著になった、地方を切り捨ててでもグローバル化に対応していこうとする経済財政政策の矛盾を覆い隠すため、来春の統一自治体選挙対策を視野に入れ、やや田舎重要視のポーズをとることが狙いかなと思ってきた。
そんな中での今日の「世界」の論文。
あらためて「消滅する市町村」論批判とは何を批判しているのか妙に気になり、さっそく小田切徳美氏と坂本誠氏の論文に目を通す。
私の受けとめかたは完全に間違っていた。
この2本の論文は、消滅可能性の根拠となる数値算出の手法に対する批判も含まれるが、それだけでなく、あえて「市町村消滅」を打ち出した狙いを解明している。
総務省など各省庁の新たな施策展開なども踏まえてその狙いを「地方中枢拠点都市」への投資の選択と集中、さらに従来からあった農村不要論からさらに踏み込んだ農村たたみ論だと警鐘をならす。
「消滅可能性自治体」の宣告は、いずれ消滅するなら「もうあきらめよう」という住民意識の醸成と、いずれ消滅するから「もう撤退しよう」という政策転換を狙った田舎からの撤退路線なのである。
「過疎」なら過疎対策を!となるが、あえて「消滅」を強調した意図もここにある。
珠洲市など名指しされた自治体は推計通りにならないよう頑張るというだけでなく、市町村消滅論を真正面から批判していくことも必要だ。
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