北野進の活動日記

志賀原発の廃炉に向けた取り組みや珠洲の情報、ときにはうちの庭の様子も紹介。

「いしかわ学びの指針12か条」の疑問

2011-01-17 | 教育
 昨日の地元紙に石川県教委が全国学力テスト3年間の結果分析に基づき、県内小中学生の学力向上に向けた「いしかわ学びの指針12か条」なるものを策定したとの報道があった。こちら

 12か条とは以下の通りである。
活用力を高める授業づくり
①根拠や筋道を明確に表現させる
②物事を多様な観点から考察する力の育成に向け、多面的、多角的に思考させる
③習得した知識や技能を活用・応用させる
学力・学習を支える基礎づくり
④「書くこと」「読むこと」を通して、考え方を身に付けさせる
⑤相手を意識して「話す力」「聞く力」を身に付けさせる
⑥学び合い学習を充実させる
⑦よりよい学習習慣・生活習慣を身に付けさせる
⑧読書活動をより促進・充実させる
⑨家族とのコミュニケーションを促進させる
⑩社会への関心や将来への目標を持たせる
指導改善を進める体制づくり
⑪学校研究や授業研究を活性化して、指導力を高める
⑫積極的に保護者や地域に向けて発信する

疑問その1
 「学び」の指針というからには主語は当然子ども(児童・生徒)かと思えば、①から⑩まで文末はすべて「させる」。要するに主語は先生であり、子どもたちは「させられる」対象である。「学び12か条」というよりは「教え12か条」では。
 昨年10月の石川県教研集会記念講演で善元幸夫さんは「教えから学びへ」との観点から話され、多くの参加者の共感を呼んだ。県教委も視点を変えたかと期待をしたが、中身は変わらず。

疑問その2
 「学力向上」というが、全国学力テストの結果分析から出てきた指針であり、「学力テスト」の成績向上対策の域を出ていないのでは。「させる」に典型的に示されているが、子どもたちの主体性を尊重したり、あるいは体験学習を重視するなど、「豊かな学び」を具現化する視点がみられない。

疑問その3
 ①~⑩は子どもたち、⑪⑫は教師を対象にした項目となっているが、ならば教育委員会の役割はなにか。学校現場の多忙化を解消し、教師が子どもたちとしっかり向き合える時間を保障することが何より求められているのではないか。自らの役割をしっかり明示すべきである。

疑問その4
 プロジェクトチームを設置して学力テストの結果分析を進めたそうだが、教育委員会に諮らなくてもいいの?昨年12月までの教育委員会の会議議題にはない。学力テストの結果報告だけである。やはり教育委員会はお飾りか。ちなみに地方教育行政の組織及び運営に関する法律26条2項では、教育長に委任できない事務として「教育に関する事務の管理及び執行の基本的な方針に関すること。」とあるが・・・

疑問その5
 個々の項目について、一部「?」もある一方で、あらためて現場教師に指南するまでもない項目も多くあるのでは。竹中博康教育長は「全員参加方式だった3年間は正確に比較、分析できるデータだった」とコメントしているが、多くの教育専門家が全員参加の必要なしと指摘する中、あえて全員参加方式を賛美するだけの内容とは思えない。

 








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