北野進の活動日記

志賀原発の廃炉に向けた取り組みや珠洲の情報、ときにはうちの庭の様子も紹介。

市議会開会、がれき広域処理見直しを求める意見書の提案説明へ

2012-02-29 | 震災がれき
 午後3時から珠洲市議会3月定例会開会。

 冒頭、議会議案として提案した「東日本大震災に伴う震災廃棄物の広域処理の見直しを求める意見書」の提案説明をおこなう予定。

以下、提案理由。

今定例会に提案しました議会議案第1号「東日本大震災に伴う災害廃棄物の広域処理方針の見直しを求める意見書」の提案理由についてご説明します。

東日本大震災に伴い発生した災害廃棄物、いわゆる震災がれきの量は阪神淡路大震災の1.6倍、能登半島地震の約100倍に相当すると言われています。そこで環境省は、震災から約1か月後にこの震災がれきの広域処理、すなわち全国の都道府県で処理してもらおうという方針を打ち出しました。当時はまだ政府自身が福島第一原発事故による放射能汚染の実態を把握できていない時期であり、当初、県内でも奥能登クリーン組合を含め4市4事務組合が名乗りをあげ、全国各地の自治体も被災地支援ということで受け入れの意向を表明しました。
ところがその後、徐々に宮城、岩手方面を含め、放射能の広域的な拡散状況が明らかになり、放射能汚染を懸念する声が住民から強まり、受け入れ方針の撤回や見合わせが相次ぎました。地域の環境や住民の安全、特に子どもたちへの影響を考えれば当然のことです。
しかし、政府は広域処理方針を見直すことはなく、震災がれきの安全性をアピールすると同時に「がれきがあるから復興が進まない」として、全国の自治体への働きかけを強めました。
そうした中、山形県と東京都が受け入れを開始し、大阪府や神奈川県や静岡県島田市、富山市、そしてお隣、輪島市などいくつかの自治体でも受け入れの意向が表明されました。その多くの自治体では安全性への不安を訴える住民との間で大きな混乱が生じています。少しでも被災地を支援したいという思いは皆さん一致しながらも残念と言わざるをえません。

政府の広域処理方針には以下の通り、問題点、疑問点が山積しており、誤りだと言わざるをえません。
阪神淡路大震災や能登半島地震による震災がれきと、今回の震災がれきの大きな違いは放射能に汚染されていること、そして津波による破壊によるものだということです。
焼却灰の放射能汚染について、政府は従来の低レベル放射性廃棄物の基準をはるかに上回る高い基準を設定し安全だとアピールしています。排ガスの安全性は実証データがないことがあきらかになっています。これで住民を説得できるわけがありません。福島第一原発から放出された放射能は、いかに集めて閉じ込めるかが課題であり、政府方針はこれに逆行し、全国に汚染を拡散するものでしかありません。東日本の広域的汚染状況が明らかになった段階で速やかに震災がれきの広域処理の方針は見直されるべきでした。
津波による破壊も注意しなければなません。私たちも大津波の映像を観て、住宅だけでなく油タンクや多くの工場が流されるのを目の当たりにしました。今回の震災廃棄物には油類やアスベスト、農薬、その他さまざまな有害物質が含まれている可能性が指摘されています。さらに塩分を含んだがれきの焼却は焼却炉の寿命にも影響します。
安全対策やコスト面を考えても、高い輸送費をかけて全国で処理するよりは現地で仮設の専用炉を建設し、処理した方が効率的であり、かつ地元での雇用効果、経済効果も生まれます。
そもそも震災がれきの存在が復興の遅れの主要な原因でしょうか。確かに一日も早い撤去が望ましいことは言うまでもありませんが、がれきは津波被害を受けた沿岸部や市街地区域の周辺部に積まれることが多く、復興計画への直接的な影響は少ないと言えます。私ども昨年訪れた南三陸町でもそうでした。
復興の遅れには各自治体それぞれ様々な理由があります。住民の合意形成や用地買収、あるいは国の制度改正などもネックになっています。中でも大きいのは財源問題を含めた国の対応の遅れではないでしょうか。がれきを全国の自治体が受け入れないから復興が進まないという「がれき復興足かせ論」は、復興の遅れを自治体のせいにする政府の責任逃れにしか聞こえません。
以上、政府が掲げる震災がれきの広域処理方針は問題だらけであり、かえって被災地の復興を遅らせるものでしかありません。

一昨日は県議会でもあえて「広域」という表現をはずした「災害廃棄物の処理の推進等に関する意見書」が全会一致で採択されています。国の広域処理方針の見直しを求める声を当事者である自治体からあげていくことは大きな意義があります。議員各位のご理解とご賛同をいただきますようお願い申し上げまして、提案理由の説明とさせていただきます。

 (2/29本会議前、一部修正)
修正箇所
 「当初、県内でも奥能登クリーン組合を含め4市4事務組合が(受け入れに)名乗りをあげ」という箇所を削除

理由
 クリーン組合の副組合長(市長)も、クリーン組合議会の議員(珠洲市議会から6人が参加)もそんな話しらない。間違いだ!と主張したから。

 当初、受け入れを表明していたことは昨年8月23日の北國新聞の記事でも紹介されており、さらに朝日新聞社発行の週刊誌AERA(2011.8.8発行)ではさらに詳しく、環境省が明らかにしたがれき処理(焼却、破砕、埋め立て)を担うと表明した自治体のリストが紹介されている。北國新聞の情報源も国としか記載されていないが同じく環境省だと思われる。
 奥能登クリーン組合はRDF施設なので焼却ではない。破砕作業ということで一日2t、年間480tという数字まで入っている。

 すでに県民の多くが購読している新聞で掲載されており、全国で販売されている週刊誌でも情報源を明らかにしてリストが公表されている(公表しないでほしいという自治体は除いてある)わけである。
 どういう意思決定の下で環境省に報告があがったかは私のあずかり知ることではない。間違っているというなら、環境省にでも新聞社にでも訂正を求めてもらいたい。奥能登クリーン組合が間違って回答したのなら内部問題だ。

 責任ある立場にある自分たちが知らないから受入表明は間違いだ、そんな事実はないというのは変な話で、すでに公表されている情報を、責任ある立場にありながら知らなかったという事実をしっかり受け止めてもらいたい。

 もっとも、この点は今回の意見書の本論ではない。当初は環境省も岩手県、宮城県も震災がれきに放射能が含まれているという認識はなかったことになっている(セシウム牛肉問題の前である)。要請を受けた全国の自治体も、奥能登クリーン組合を含め、特段心配せずに受け入れ可能量を報告していたとしても不思議ではない。当時全国で572もの自治体・一部事務組合が当時、受け入れを表明していたくらいである。
 私を含め原発に深く関心を持ってきた者は東北も決して安全でないとは様々な情報から聞いてはいたが、これをもってクリーン組合を責めるつもりなどさらさらない。国が安易に考えていたという経緯を知ってもらいたいだけである。

 ということで議場での発言からは削除した。

 

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2 コメント

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国の基準以下1,810 Bq/kg以下の飛灰埋め立て後8,000 Bq/kg超で放流水に出る。 (隣の穴水)
2012-03-01 22:19:35
出来れば伊勢市に問い合わせてみてもらえませんか?

ソース>爆発後の日々http://mifumiko.blog.fc2.com/blog-entry-350.html

伊勢崎市の処分場で7月の測定で国の基準8,000 Bq/kgを下回る1,810 Bq/kgのごみ焼却灰(飛灰)を埋め立てた処分場から9月に上回る放射性セシウム濃度が浸出水処理施設の放流水から検出される。(もちろんすぐに放流は停止されました。)

これら三つ、正確には、水に触れさせない機能を手厚くした、表面遮水+コンクリート固形化+土壌層+浸出水処理の四重の機能を設置することは、8月末に環境省から発出された8千 Bq/kg~10万 Bq/kgの廃棄物の埋立に関する通知 http://t.co/gpTrNuVD にあります。


問題は8,000 Bq/kg以下のものはこのような機能を持たせないで埋め立ててよいかということです。このことを深く考えさせる事件が、9月に伊勢崎市の処分場でおこりました。 http://t.co/JIZ2XDO6※伊勢崎市のHPから削除されたのか、リンクが切れています。

転載終わり

美谷の処分場は、どうなんでしょうか?

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追記 (隣の穴水)
2012-03-01 22:24:29
twitterでやりとりしたものをまとめタアモのが上のブログです。

http://togetter.com/li/245289
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