富山地方は、11月17日は強い風雨にみまわれ、気温は富山9.8℃と12月中旬並みの肌寒さ、霰の降ったところもありました。
翌日の朝は、時々晴れ間がのぞく曇り空だったので、庭に出てみました。
幸いなことに我が家の庭では、今年はイラガに刺されませんでしたが、私がブルーベリーの実を摘んでいる時と、妻がキンモクセイの花を活けている時に、ヒロヘリアオイラガの幼虫に刺され、痛い目にあってしまいました。
株元にヒロヘリアオイラガの繭の羽化済の殻がたくさん着いていたエゴノキの幹などを注意深く探すと、ヒロヘリアオイラガの繭が3個見つかりました。島根県農業技術センターの「病害虫データベース」によると、イラガの卵がウズラの卵を小さくしたような形の目立つ繭なのに対し、ヒロヘリアオイラガの繭は、樹皮のような色の偏平楕円形の繭で、幹に貼り付いているために目立ちません。
繭の中には、白黄緑色の前蛹が入っていました。同じ「病害虫データベース」によると、ヒロヘリアオイラガは年2回、6〜7月と8月中旬〜9月に発生し、越冬は繭のなかで前蛹(蛹になる直前の幼虫)で行われます。なお、イラガは、ふ化幼虫が1頭ずつ葉に寄生して葉裏から葉肉を浅く食べるのに対して、ヒロヘリアオイラガの若令幼虫は集団で葉裏に寄生して葉肉を食べ、成長した幼虫は分散してイラガと同様に葉を食害します。
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《エゴノキの枝に着いていたヒロヘリアオイラガの繭 2023/11/18》
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《エゴノキの枝に着いていたヒロヘリアオイラガの繭 2023/11/18》
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《繭の中のヒロヘリアオイラガの前蛹 2023/11/1》
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《ヒロヘリアオイラガの繭と前蛹(右下) 2023/11/18》
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《エゴノキの枝に着いていたヒロヘリアオイラガの繭 2023/11/18》
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《ヒロヘリアオイラガの繭の中の前蛹(下は古い羽化済の繭殻) 2023/11/18》
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《エゴノキの株元に着いていたヒロヘリアオイラガの古い羽化済の繭殻 2023/11/18》
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《イラガの繭(左)とヒロヘリアオイラガの繭 2023/11/18》
なお、ヒロヘリアオイラガは、1920年ころに樹木に着いて移入してきたとされている南アジア、東南アジア~中国原産の外来昆虫で、「日本の侵略的外来種ワースト100」にも選ばれています。