好曲好盤探訪

名曲か、名盤か、というより、個人的好みで好きな曲の好きな演奏との出会いを求めてボチボチと。同じような方の参考になれば

チャイコフスキー 交響曲第5番 ケンペ/バイエルン放送響

2021-05-22 14:46:39 | チャイコフスキー 交響曲第5番
チャイコフスキー 
交響曲第5番

指揮…ケンペ 
演奏…バイエルン放送響 
好み度…4(5点満点)

冒頭は遅めのテンポで重い弦と暗みを帯びた木管で始まり結構雰囲気をつくる。
基本的にはケンペらしい実直でしっかりした音楽。
オケがオケだしアンサンブルも安定感あり透明感と重みが同居するような響きも不足感なく、特に際立ったインパクトがあるかと言われればそういう類ではないかもしれないが、名演とする向きもあるようでそのことに異議はない。
金管はしっかり響きつつも重くなったり威圧的になることなく、しっかりした厚みの中に明るさと透明感のあるバイエルンの響きが、ライブのほのかな熱の中に明るく爽やかな気品を漂わすようでもある。
ただ、個人的にはチャイ5にしてはきれいさっぱりし過ぎているというか、この曲を聴くなら他の盤を聴く気がする。

チャイコフスキー 交響曲第5番 アバド/ベルリンフィル

2021-04-24 12:26:14 | チャイコフスキー 交響曲第5番
チャイコフスキー
交響曲第5番

指揮…アバド 
演奏…ベルリンフィル
好み度…4(5点満点)

名盤の評をよく聞く盤ですね。
アバドだしベルリンフィルだし、安定感は磐石、アンサンブルも音の厚みもソロのうまさも抜群といっていい類かと。厚さの中に随所に音の深みも感じられ、テンポもオーソドックスで安心して聴ける。
タイプとしては何か情に訴えるものがあるとか、大きさや熱みたいなものを感じさせるといった演奏ではないようにも思う。
安定感と、単に上手というだけでない次元の完成度は名盤の評に相応しいと思われ、よくも悪くも、かっちり大変よくできた演奏、といった印象です。

チャイコフスキー 交響曲第5番 ゲルギエフ/マリインスキー管

2021-02-27 13:10:02 | チャイコフスキー 交響曲第5番
チャイコフスキー 
交響曲第5番 

指揮…ゲルギエフ
演奏…マリインスキー管
好み度…4.5(5点満点)

2010年パリライブ、DVDが先行した演奏のCD盤。
かなりゆっくり沈うつな雰囲気の出だしから始まり、ゲルギエフらしい演出たっぷりの濃厚な演奏。ただ、演奏するほうももはや慣れすぎちゃっているのか、昔のゲルギエフに聴かれたような熱さとかわけのわからない力感みたいなものは感じられない。
ゲルギエフはチャイコの後期3交響曲の中ではこの曲とがいちばん相性がいいように思われ、ゆったり情感濃く歌う様はとりようによってはあざといようでもあるが、やっぱりチャイ5らしいしゲルギエフらしいようにも思う。虚飾めいた濃い情とか甘さとか、そういった部分をゆったりたっぷり聴きたいときにはそうそうない盤のように思う。
あまり記憶も定かではないがウィーンフィルとのライブ盤で感じた荒っぽいまでの野生味(ゲルギは「野生味」と語られるのをよく見るが、正規盤で野性味を感じるのはこの盤くらいではなかろうか)とは趣を全く異にしているように思う。

チャイコフスキー 交響曲第5番 佐渡/ベルリン・ドイツ響

2021-02-11 13:32:32 | チャイコフスキー 交響曲第5番
チャイコフスキー 
交響曲第5番

指揮…佐渡 
演奏…ベルリン・ドイツ響 
好み度…5(5点満点)

ベルリンフィルを振ったとか、佐渡という指揮者の名前は聴いていたけど、そんなには期待しないで聴いてみたのだが、どうしてかなりよい。
録音のよさもあると思うが、ベルリン・ドイツ響の響きは機能的で美しく、大きく輝くような、かつ乱れず、懐の深さと艶も感じさせる美しい響きに惹きつけられる。
テンポも決して急がず、大きな響きでありながら勢いに任せることなく、タテの揃った強奏は美しく力強く爽快。歌も結構たっぷり歌い上げる。活力と大きさを持ちつつ美しく爽快なチャイ5。 ※20210221改

チャイコフスキー 交響曲第5番 カヒッゼ/トビリシ響

2020-08-09 09:11:25 | チャイコフスキー 交響曲第5番
チャイコフスキー 
交響曲第5番

指揮…カヒッゼ 
演奏…トビリシ響 
好み度…4.5(5点満点)

冒頭の木管からしてロシア情緒たっぷりの響きである。何を以ってロシア的になるのかはわからないがそうなのであり、ロシアの寒く大きな大地が連想されるようである。
その後の混沌としたまま塊として押し寄せる強奏もチャイコフスキーらしい。
第1楽章は繊細な甘さを強調することもなく、太く情感濃く力強く押し切る感を受け、武骨なまでに太く大きな第1楽章であるが、弦も金管もたっぷり鳴らして(けどうるさくない)謳ってどこか甘美でもある。
第2楽章もホルンのソロはじめ太く音量大きめの響きで強奏部と弱奏部で音量の差はあまりない中での起伏だが、単調な印象はなくむしろこの曲を大きく骨太に聴かせているようである。
第3楽章は少し力を抜いた明るめの響きで前2楽章とはよいコントラストになっているように感じる。
終楽章は大きな音にこちらが慣れてしまったのか、少し迫力に欠け単調な感もないではないが、フィナーレは大きな構えと響きだし、全体としておおらかに力強く鳴らしつつ甘さの漂う、何ともロシア的、チャイコフスキー的な魅力を感じさせるチャイ5のように思う。

チャイコフスキー 交響曲第5番 クーベリック/ウィーンフィル

2019-06-15 11:43:55 | チャイコフスキー 交響曲第5番
チャイコフスキー 
交響曲第5番 

指揮…クーベリック
演奏…ウィーンフィル
好み度…4(5点満点)

クーベリックとチャイコの組み合わせは何かピンとこなかったし、ましてやウィーンフィルとの組み合わせはチャイコの感情的な情や熱には向いていないのではと思いきや、第1楽章なんかはまっとうな展開の中に剛毅な強さや熱、あるいは濃く漂う情なんかも感じられ、木管や弦なんかもチャイコらしい雰囲気を出した響きで、ウィーンフィルならではとチャイコ色がうまいことかみ合ってよい響きを聴かせるし、第2楽章も弦やホルンの厚さ美しさは特筆もののような感を受ける。
第3楽章を少しゆっくりめにやった後の終楽章は、弦による主題提示まではそれまでの流れを受けてよい響きと力感だが、その後ティンパニがせりあがるところでティンパニを不発のように終わらせて以降、フィナーレまでは響きが急に少し力感が減じるかのようにやや控えめになる。フィナーレではまた盛り返すが、第1、第2楽章で聴かせた厚く情と力の漂う響きが終楽章でもあったら…と、それまでがよかっただけにちょっと残念。フィナーレを際立たせたかったのか、賑々しくなるの避けたのか、意図的なのかもしれないが。
アナログ録音の温かみのある録音(1960年にしてはかなり音はよい)も関係するのだろうか、感情的なだけとか騒がしいだけとかにならずに、響きに風格も漂わせたよい演奏とは思う。

チャイコフスキー 交響曲第5番 バーンスタイン/ニューヨークフィル

2019-01-25 21:05:57 | チャイコフスキー 交響曲第5番
チャイコフスキー 
交響曲第5番 

指揮…バーンスタイン
演奏…ニューヨークフィル
好み度…4(5点満点)

この曲の芝居っ気とバーンスタインの濃い演出とがハマって力強くもトロミを感じるくらいに濃厚なチャイ5となって、これはもうこの曲とバーンスタインでしか味わえないものなんだと思う。この曲はこれくらいこってりやってくれたほうがおもしろいんだとも思う。
第1楽章から力強く、ロマン的に、テンポも大きく動かしてたっぷり情感の起伏を表現して、第2楽章もゆっくりと、映画のワンシーンのように、とろけるように甘美にたっぷり聴かせる。
終楽章も冒頭から情感たっぷりに謳い出し、その後は相変わらずの濃い情感に、重量感と熱気を加え、フィナーレはゆったりめに力に満ち、熱く情と力に満ちた終楽章。
大げさな芝居っ気も堂々と演じ切ってしまえば浪漫になるというか、端正に演られてしまうとちょっと味気ないところのあるこの曲を、サービス満点の味付けで堪能させてくれる、最初にも書いたがバーンスタインとチャイ5の組み合わせならではの演奏と思う。
ただ、濃い味付けの味の付け方は好みにも合ってるし、最初に聴いたときにはこりゃすごいな、と思いつつ、その後あまり聴く気が起きないのは何でだろう(ブラ1もそうなんですよね…)。

チャイコフスキー 交響曲第5番 ザンデルリンク/ベルリン響

2018-06-09 15:22:14 | チャイコフスキー 交響曲第5番
チャイコフスキー 
交響曲第5番 

指揮…ザンデルリンク
演奏…ベルリン響
好み度…3.5(5点満点)

どうもザンデルと私にはピンとこないようで。
この演奏も落ち着いた、ちょっと陰を感じる響きと雰囲気を持った、特に第2楽章なんかはときに結構いい響きも聴かせる、それなりの演奏とは思うが、特有の雰囲気には至っていない気がするし、歌うわけでも、甘いわけでも、深いわけでも、華があるわけでも特に力があるわけでも、明にも暗にも情が傾いているわけでもない、とにかく、何か、どうというものを感じない、といった感じかなぁ。
まぁ、相性なんでしょうけど。

チャイコフスキー 交響曲第5番 パッパーノ/聖チェチーリア国立音楽院管

2018-05-12 19:10:28 | チャイコフスキー 交響曲第5番
チャイコフスキー 
交響曲第5番 

指揮…パッパーノ
演奏…聖チェチーリア国立音楽院管
好み度…4(5点満点)

洗練された、その上に若々しい力感を備えた好演と思う。
特に新鮮な処理というものはないが、旋律にはアクの強くない程度に情感も乗せ、重量感とかほの暗いようなロシア色とかとは違う、ヨーロッパ的なむしろ明るい活力で精気も通わせて飽かせずにこの曲のよさを聴かせている。
録音もよく、しっかりしたバランスのよいアンサンブルや力感を帯びた美しい響きも心地よい。
むしろ洗練されすぎて第一印象としてはあまりインパクトを感じない面もあるが、どうしてなかなかの好演と思う。

チャイコフスキー 交響曲第5番 マゼール/ウィーンフィル

2017-12-09 12:07:20 | チャイコフスキー 交響曲第5番
チャイコフスキー 
交響曲第5番 

指揮…マゼール
演奏…ウィーンフィル
好み度…5(5点満点)

この曲から、余分な甘さを取り除いたような、厳しさと強さと、過度の感傷を排して残る美しさを感じるような演奏のように思う。
それでも漂う情感を感じるのはこの曲だからなのか、マゼールがうまいところなのか。オーケストレーションの妙の引き出し方はさすがであり、音のメリハリもしっかりつけられ、センチメンタルは排しつつも堂々と、強く美しい鋼のようなチャイ5との印象が強い。とはいえ第2楽章は弦をはじめ各楽器強く美しく、第3楽章での軽快なリズムの中での楽器間のやりとりも軽妙でさすがの感を受ける。
終楽章もちょっと意表を突く処理なども相まって、厳しい音つくりの中に、力強い覇気と華と底光りのような美しさを感じさせる個性的で魅力あるものになっている。
ウィーンフィルならではの柔らかさとか気品とかというよりは、らしからぬ厳しさをもって美しく強く鳴る管・弦が印象的(デッカの録音の妙だろうか)で堂々たる雰囲気をつくっている。力強さとオーケストレーションの妙が印象的な、甘さを排したこの曲の魅力を新鮮に提示した、1つのタイプの名演と思う。