好曲好盤探訪

名曲か、名盤か、というより、個人的好みで好きな曲の好きな演奏との出会いを求めてボチボチと。同じような方の参考になれば

チャイコフスキー 交響曲第5番 アシュケナージ/フィルハーモニア管

2015-12-19 22:53:23 | チャイコフスキー 交響曲第5番
チャイコフスキー
交響曲第5番

指揮…アシュケナージ
演奏…フィルハーモニア管
好み度…3.5(5点満点)

オーソドックスに、美しく、低い弦も含めほどよく謳わせながらよくまとめられている演奏だと思う。
「ここではこの弦に響いてもらいたいな」と思っているところでちゃんと響いてくれる、という心地よさなんかも感じる。
ただ、この曲はそれだけではちょっと退屈するところがあって、もっと重さ、強さ、あるいは熱さ、またはその演奏にしかない音の響かせ方、とか、何かもう一味ほしいところであり、上質な演奏で良盤だとは思うが、他と比べて特に魅力を感じるというわけでもない、といったところ。

チャイコフスキー 交響曲第5番 バルビローリ/ハレ管

2015-08-12 21:19:23 | チャイコフスキー 交響曲第5番
チャイコフスキー
交響曲第5番

指揮…バルビローリ
演奏…ハレ管
好み度…4.5(5点満点)

ネットでは録音の悪さを残念がる記載が見られたが、少なくともバルビローリ協会盤を聴く限り、録音は少々古めかしくはあるが特に悪くない。
第1楽章はどちらかといえば速めのテンポで叙情性や潤いとかはお構いなしに弦も金管も豪快に鳴らして押していくタイプの印象。
アンサンブルもそれなりに揃っていて、野性味を感じる豪快な雰囲気の印象を受ける。
一転、第2楽章は冒頭の弦も結構深い響きで、続くホルンの独奏部分から弦による主題の提示等、落ち着いた音色と叙情性を出していて、終盤近くの弦楽器による高揚部も高らかに美しく、全体的に特にテンポを落としたり叙情性を強調しようというところは見られないが古風で落ち着いたよい雰囲気を聴かせているように思う。
終楽章はむしろ落ち着いた響きとテンポ設定で展開、フィナーレは結構おおらかに勇壮に謳いあげて〆ている。
バルビとハレのチャイコ後期3交響曲の中ではまず1番のできと思うし、特に第2楽章や終楽章など、そのよさを素直に聴かせてくれていると思う。

※20210211 好み度4から4.5に変更 久しぶりにバルビ協会盤でなく通常盤を聴いて。こちらの盤でも録音の悪さは感じないし、かつては何を期待して聴いたのか定かでないが、改めて聴くとバルビローリらしい歌と豪快さがあってこりゃいいではないか、と。

チャイコフスキー 交響曲第5番 シノーポリ/フィルハーモニア管

2015-08-10 21:44:59 | チャイコフスキー 交響曲第5番
チャイコフスキー
交響曲第5番

指揮…シノーポリ
演奏…フィルハーモニア管弦
好み度…4.5(5点満点)

その響きは、厚く弾力にあふれしなやかな、そんな印象の演奏である。
旋律はよく謳われ、厚いが重くなく開放的なオケの響きが、どこかふくよかで少しロマンチックな感を伴って、ロシア的というよりはヨーロッパ的な響きである。
第1楽章冒頭はスタイリッシュかつたたみかける迫力があってかなりかっこよいし、その後もしなやかな弾力を感じさせる強さで、それでいて明るい気品も漂わせながら、内声も豊かに活力あるチャイ5が展開されていく。
第2楽章も厚くどこか甘美な弦の歌が印象的、高揚部は輝くばかりですらある。終楽章も厚く華やかに締めくくられ、この曲を退屈させることなく聴かせてくれている。
弾力があってしなやかで明るく、どこかロマンチックという、この曲への1つのアプローチとして新鮮な感を受ける、全編この演奏にしかない雰囲気を持った、名演の1つではないかと思う。

チャイコフスキー 交響曲第5番 ロジェストヴェンスキー/BBC響

2015-08-01 21:21:19 | チャイコフスキー 交響曲第5番
チャイコフスキー
交響曲第5番

指揮…ロジェストヴェンスキー
演奏…BBC響
好み度…4.5(5点満点)

全編、弦も管も難しいこと抜きによく鳴った、内声も一体となった勢いと厚みと活力ある演奏。
第1楽章では飾らずときにたたみかけるような、粗削りながら活き活きした響きが心地よい。
第2楽章もストレートで厚い弦の響きでなかなかに聴かせるし、
終楽章も躍動感も感じさせフィナーレも弦楽器を中心に力強く爽快。活力あるこの演奏を最後にさらにエネルギー感を感じさせて〆ている。
この人は活きた大きな音を作るのがうまいなぁ、と思う。全体的にはテンポや処理は特に変わったことはしていないが、普通の演奏とはエネルギーが違うような印象を受ける。
録音がときに少し不安定なところが少々残念といえば残念ではあるが、
BBC響の荒削りで活力のある響きもあって、完成度とか大曲感とかとはちがったベクトルの、厚く爽快で活力に満ちた名演といえると思う。

チャイコフスキー 交響曲第5番 ゲルギエフ/ウィーンフィル

2015-06-21 23:38:47 | チャイコフスキー 交響曲第5番
チャイコフスキー
交響曲第5番

指揮…ゲルギエフ
演奏…ウィーンフィル
好み度…4(5点満点)

1998年ザルツブルグ音楽祭でのライブ演奏。
演奏後には聴衆がスタンディングオベーションで称えたと伝えられ、チャイ5の名盤とされることの多い盤。
ただ、私にはそれほどよいかなぁ、というところ。
緊張感を感じ気合の入った程よい重みと張りのある響きだとは思うが、
管弦一体となっての響きに感じられなかったり、金管が何かいっぱいいっぱいに聴こえてしまったり、
特に活力だとか深みだとか奥行きだとか、あるいは格好よさとか特別な雰囲気や響きだとか、何かを感じるかというと、特にそうでもなくて、
フィナーレ前のティンパニの乱れ打ちも結構話題になったのかもしれないが、それは個人的には特に印象へのウエイトは高くなくて、
全体的にはあまりに「名盤」との評を見ると、それほどかなぁ、というところ。
第2楽章の高揚部の弦の輝きとか、終楽章フィナーレの凱歌の躍動感などはさすがのものはあるけれど、
チャイ5を聴こうと思ったときにあえてこの盤をとることもないかなぁ、という印象でした。

チャイコフスキー 交響曲第5番 ロストロポーヴィチ/ロンドンフィル

2015-05-29 23:30:38 | チャイコフスキー 交響曲第5番
チャイコフスキー
交響曲第5番

指揮…ロストロポーヴィチ
演奏…ロンドンフィル
好み度…4.5(5点満点)

事実としては、とにかくゆっくりとしたテンポである。
躍動感に欠けた冗長な演奏と捉えるか、堂々と、かつ叙情性を湛えた名演と捉えるか、
人によって印象は異なるかもしれない。
私は、この曲が賑やかなだけではなく深い叙情性を湛えた曲であることを表現した、この曲の名盤であると思っている。
演奏時間は約52分と長いが、常に響きに艶と緊張感を保った密度の濃い52分であり、
一音一音への意識が、失礼だがほんとにロンドンフィルかと思うばかりの美しさと緊張感を伴った完成度で表現されている。
他の演奏で聴き慣れた強奏部で、艶と美しさを伴った雰囲気を感じたり、この曲の力強さの中の美しさを表現するためにこのテンポが必要なのだと説得力がある演奏であり、楽章あるいは曲全体を見通しての雄大な起伏も印象的。
2楽章の冒頭も絶品であるし、フィナーレの堂々とした様も爽快である。
こういう重みと叙情性を感じさせるチャイ5は是非あっていいと思うし、
しかし、この曲はアプローチのしかたでいろんな面を見せる曲だな、と改めて思う。

チャイコフスキー 交響曲第5番 シルヴェストリ/フィルハーモニア管弦楽団 

2015-02-07 01:27:03 | チャイコフスキー 交響曲第5番
チャイコフスキー
交響曲第5番

指揮…シルヴェストリ 
演奏…フィルハーモニア管弦楽団

好み度…4(5点満点)

ずしりとした重量感を伴う推進力、にごらないフィルハーモニア管。
ずしりと骨太だけど、明るくロマンチックな雰囲気香るチャイ5である。
厚いけれど透明感あるフィルハーモニアの響きも一役二役買っているのだと思う。
どちらかというと少しゆっくりめのテンポでよく謳っていき、終楽章途中で急にテンポを速めるが、これも終盤に更なる推進力を与えて効果的のように感じる。
4番は全く解せなかったが、この5番は、独特の解釈も表現の範囲内で、また結構効果的であり、表現力豊かな、骨太でロマンの雰囲気香るチャイ5に仕上がっていると思う。

チャイコフスキー 交響曲第5番 シャイー/ウィーンフィル

2014-10-20 23:43:02 | チャイコフスキー 交響曲第5番
チャイコフスキー
交響曲第5番

指揮…シャイー
演奏…ウィーンフィル

好み度…3(5点満点)

とても統制の利いた、バランスのよい、クールでスタイリッシュなチャイ5。
重さや感情、泥臭さを感じさせない、洗練されたシャープな、ある意味シャイーらしい演奏とえいようか。
テンポなどは大変オーソドックス、響きは、やや固めの録音も手伝ってか、弦の響き等どちらかというと上品で線のやや細い印象。
この曲の名盤の1つとして挙げられることも多い盤だが、部類としては洗練されたチャイ5ということになると思われ、好みの分かれるところとは思うが、私の好み的には、この曲には、もう少し熱さ、あるいは厚さ、または独特のクセがほしい。