好曲好盤探訪

名曲か、名盤か、というより、個人的好みで好きな曲の好きな演奏との出会いを求めてボチボチと。同じような方の参考になれば

ブラームス 交響曲第1番 バーンスタイン/ニューヨークフィル

2022-01-23 09:53:18 | ブラームス 交響曲第1番
ブラームス
交響曲第1番

指揮…バーンスタイン 
演奏…ニューヨークフィル
好み度…4.5(5点満点)

溢れる熱気と力強い生命力のような輝きに満ちたような、そんな演奏のように思う。
同じブラ1でもウィーンフィル盤とはテンポもまるっきり違って(ゆったりのウィーン盤、推進力のニューヨーク盤)、ウィーンフィルとの盤のほうが所謂巨匠風ではあるし一音一音への気配りや完成度も断然高い。
しかし個人的にはこの盤のような熱さと力強さに溢れ躍動感ある少しも古風でない演奏にバーンスタインならではがあるような気がする。
ちょっと一本調子というか、深みに欠けるきらいもなくはないが、これから何度か聴くとしたらウィーン盤でなくこちらだろうと思う。

ブラームス 交響曲第1番 ベーム/バイエルン放送響

2021-08-07 21:26:27 | ブラームス 交響曲第1番
ブラームス 
交響曲第1番 

指揮…ベーム
演奏…バイエルン放送響
好み度…4(5点満点)

おおらかさとか大きさとかというよりは、力押しで進んでいくようなブラームス。
熱気と迫力は相当なものとも思う。
第2楽章では鈍い光を放つような重みのある美しい弦の響きを聴かせているが、両端楽章での荒れるような力強さは迫真の推進力とも思うがちょっと粗い印象を感じながら聴くようであり、音は大きいが深みやゆとりに欠け、言い方は悪いが勝手に拳を振りつつまくし立てられて終わってしまうような、個人的には一緒に盛り上がれずちょっと置いてかれる感も感じる盤かな。

ブラームス 交響曲第1番 クーベリック/バイエルン放送響

2021-06-05 17:25:58 | ブラームス 交響曲第1番
ブラームス 
交響曲第1番

指揮…クーベリック 
演奏…バイエルン放送響
好み度…4.5(5点満点)

力漲る圧倒感だったり推進力だったり、そういう演奏ではない。
ライナーノートにある「晴朗にみがかれたひびき」「ゆたかに成熟した銘酒のかおり」といった表現に頷けるような演奏のように思う。
第1楽章の反復があるとはいえ49分35秒はゆっくりしたテンポと思うし、これもライナーノートに表現を借りれば「指揮者と一体となったアンサンブルの妙」は味わいを感じるし、終楽章頭のホルンのゆったり情感を感じる独奏なども趣深い。
激しさを感じることはないが、勢いよく、あるいは流麗に楽譜をなぞるのでなく、一音一音に情を込めつつ、しかし情に流されることなく、ゆったりではあるが弛緩はなく、晴朗でありながらしっかりした重みを感じさせ、感傷的にならずにしかし厚みと奥行きのある情緒を感じさせる、このコンビならではの、これまたライナーノートの表現を借りれば「稀有な演奏」のように思う。

ブラームス 交響曲第1番 セーゲルスタム/トゥルクフィル

2021-05-09 09:34:23 | ブラームス 交響曲第1番
ブラームス
交響曲第1番

指揮…セーゲルスタム 
演奏…トゥルクフィル
好み度…4(5点満点)

終楽章のゆったりめのテンポなんか悪くないと思うし、鳴らし方なんかもやっていることは悪くないと思うし、オケも特にうまくないかといえばそういうわけでもないし、ボリュームを上げればちゃんと音も出ているのだが、何だか迫力というか緊張感というか質量感というか雰囲気というか、あるいはそれら全部といおうか、そういったものが感じられない。
だいぶ前の録音のブラ2が結構よかったので、洗練は期待しないにせよ重厚なあるいは何か特別な雰囲気を持ったブラ1が聴けるかと思って聴いてみたが、ちょっと何となく終わっちゃう感じかな。

ブラームス 交響曲第1番 マッケラス/スコットランド室内管弦楽団

2021-05-02 11:52:53 | ブラームス 交響曲第1番
ブラームス
交響曲第1番

指揮…マッケラス 
演奏…スコットランド室内管弦楽団 
好み度…4(5点満点)

ブラ1から重みとか圧倒感とかをトルとこういう感じになるのかな、という感じ。
上質だしそれなりの厚みもある洗練された美しい響きと思うが、個人的にはちょっとブラ1のイメージではないかな、との感を受ける。
(上の感想書いてだいぶ経って)この記事投稿しようと思いオケの名前調べて初めて気づいたけど室内管弦楽団だったんだすね。普通のフルオケと思って聴いてても違和感なかったけど。ついでにネットでの評見たら結構絶賛に近い評価みたいでした。高評価もさもありなん、と思うし、どんなブラ1を聴きたいか、にもよるんでしょうね。

ブラームス 交響曲第1番 ヤルヴィ(ネーメ)/エストニア国立響

2020-10-04 15:18:10 | ブラームス 交響曲第1番
ブラームス 
交響曲第1番

指揮…ヤルヴィ(ネーメ) 
演奏…エストニア国立響
好み度…3(5点満点)

いやぁ、これは合わなかったなぁ。
お父ちゃんヤルヴィといえば、叙情楽章のうまさにはやや欠けるところはあるけどスケール感のある厚みのある音をつくるイメージがあって、
ロンドン響とのブラ1なんかでも教会の残響過多の録音はちょっとこの曲に合わない印象はあったものの、結構大きさと力を感じさせるところのある演奏だったし、フィナーレも壮大なところがあって、
今回は録音も新しくライブということもあって結構期待したのだが、出だしからやたら速くて室内楽のように軽い響きとタッチで、どうしちゃったんだ、何をしたかったんだ、と。
勝手にイメージつくって期待しすぎたところは認めつつ、そのイメージとの乖離に何せ面食らった。先入観なしで聴けばまたちがった印象もあるのかもしれないが、先入観にあるお父ちゃんヤルヴィのブラ1+αを聴きたくてちょっと心躍らせて聴いてみたのだから、まったく違った姿は、やっぱり「これはないな」「どうしちゃったんだ」の印象に尽きてしまいました。

ブラームス 交響曲第1番 ジークハルト/アーネムフィル

2020-09-27 10:22:48 | ブラームス 交響曲第1番
ブラームス
交響曲第1番

指揮…ジークハルト 
演奏…アーネムフィル 
好み度…4(5点満点)

録音も美しく、歯切れのよいしっかりした響きをつくっている。やや重みに欠ける印象はうけるかもしれない。
テンポやや速めの第1楽章ではティンパニなんかは結構打ち込んでいるけれど、それでもなお重みとか深みとかよりは歯切れのよい美しく整った機能的な推進力の印象が強い。
テンポを落とした第2楽章のほうが弦とか木管の美しさとかが感じられてこのコンビのよさが出ているように感じる。
終楽章も、響きにしっかり厚みと活力はあるが、やはり整った美しさの印象が強い。フィナーレの凱歌を普通のテンポで鳴らした後、テンポを速め普通以上にティンパニが鳴っていたりするが迫る力感という感じではないように思う。
全体的に重量感は特には感じず、また特に情感濃いということもなく、むしろどちらかといえばしっとり感は感じるが機能的に、しっかりと整った厚みを持った美しいブラームス、といった感じと思う。クリアで美しい録音がむしろそういう印象を与えているのかもしれない。
このコンビは1番と2番を聴いたが、1番もよくできた演奏とは思うが、どちらかといえば中高音域の伸びやかな美しさが印象的なその響きは2番に合っているように思われ、情感も2番でよく出ていると思う。

ブラームス 交響曲第1番 小林/ハンガリー国立響

2020-07-19 10:00:23 | ブラームス 交響曲第1番
ブラームス 
交響曲第1番

指揮…小林 
演奏…ハンガリー国立響 
好み度…4(5点満点)

深みとか奥行きとかに欠けるきらいはあるが、やるじゃん、ニッポンの指揮者、って感じ。コバケンの汗をかくような情熱とこのオケの実直な響きが合っているのかもしれない。
正面からどっしり組んで第1楽章中盤の高揚部など結構な迫力も聴かせ、終楽章導入のソロとかちょっと感情が過剰になっちゃってるようなところもなくはないが、まっすぐ、厚く、大きく響かせようとする熱意は伝わるような気がする。
例えば同じ日本人指揮者の小澤の、整然と美しい音楽とははなから別のところを目指しているような感も受ける。
隠すことのない情感を、力こぶ振ってそのまま真っ直ぐに奏し切ったような、大家の深み、とかとはちがうけど、庶民的、っていったら変だろうか、響かせるとこはめいっぱい響かせて、わかりやすいといえばわかりやすい、深みには欠けるが汗かくような力感と骨太感を感じさせる、「渾身の」なんて言葉が連想されるような、そんなブラ1のように思う。

ブラームス 交響曲第1番 ヴァント/NDR響

2020-07-11 17:50:43 | ブラームス 交響曲第1番
ブラームス
交響曲第1番

指揮…ヴァント 
演奏…NDR響 
好み度…4(5点満点)

1982年のセッション版も骨太の重厚感と推進力で名盤の域であったが、それから14年を経た1996年のライブ盤。
解釈は大筋変わりないがティンパニの強い打ち込みが随所で聴かれる等、少し印象の異なるところはある。厚い推進力や重みのある低弦等はセッション盤のほうが感じるかもしれないが、スケール感と表現力からくる深みはこちらのほうが感じられるような感があり、大きく重厚で深みを湛えたブラ1が展開される。
推進力、という自らが前に進む力というよりは、そういうがむしゃらさは超えて何者にも動かしがたいような重さ大きさで泰然と進むようである。

ブラームス 交響曲第1番 ケーゲル/ライプツィヒ放送響

2020-06-14 19:11:57 | ブラームス 交響曲第1番
ブラームス
交響曲第1番

指揮…ケーゲル 
演奏…ライプツィヒ放送響 
好み度…5(5点満点)

実直で力強く爽快なブラ1といえようか。
ほの暗さを帯びた重さのようなものはあまり感じられず、いろんな楽器がもたれあって大きな層をつくるような響きではなく、やや高音域に寄った残響の多い録音の影響もあってか、何ともストレートな推進力と力強さを持った響き。
冒頭から思い切りのよい力強さは、テンポは速くないが強い推進力を伴ってたたみかけるような爽快感さえ感じさせ、終楽章は冒頭のホルンすらそんなにテンポを落とさず一気呵成の感を感じるくらいであり、その中で弦は更に伸びやかな力強さを増すようであり、速度を上げて目いっぱいの力強さで追い込んだ後の謳いあげるように輝くように響くフィナーレはまさに凱歌であり壮快。
ブラームス的な重々しさや深みとかというより、明るめの力強さと推進力を感じる活き活きとした剛毅な厚い響きと壮快な凱歌が印象的な、ある意味ケーゲルらしい実直で情の込もったブラ1と思う。やっぱりケーゲルはいい。