好曲好盤探訪

名曲か、名盤か、というより、個人的好みで好きな曲の好きな演奏との出会いを求めてボチボチと。同じような方の参考になれば

ブラームス 交響曲第1番 アンチェル/チェコフィル

2020-05-24 15:59:49 | ブラームス 交響曲第1番
ブラームス 
交響曲第1番 

指揮…アンチェル
演奏…チェコフィル
好み度…4(5点満点)

第1楽章はチェコフィルってこんな響きも出すのか、と思うくらいちょっと荒々しさも含んだ重厚な響きで、覇気と緊張感ある良演。
第2楽章の特に前半の重く美しい弦の響きも感銘深い。
終楽章中盤以降、響きが軽くなってしまう感があり、それまでの重みと覇気が聴かれなくなってしまうのが残念。

ブラームス 交響曲第1番 ヴァント/NDR響(1982年セッション)

2020-05-10 10:38:13 | ブラームス 交響曲第1番
ブラームス 
交響曲第1番 

指揮…ヴァント
演奏…NDR響
好み度…4.5(5点満点)
1982年セッション

序奏は速い。ちょっと面食らうくらいに速いが、軽いものではなく緊張感漲って悪くない。その後も特に謳ったり情を込めたりという感じではないのだけれど、骨太な存在感ある低弦に支えられた響きは深みのある重量感あり、がっちり聴かせながらも推進力を感じさせ、メリハリと活力も伴って上質のブラームス的な響き。NDRってやはりいいな、と思ったり、ヴァントもこういう演奏があるからドイツ音楽継承の巨匠とか言われるんだろうな、とも思ったり(ベルリンフィルみたいな華やかさを伴わないところがかえってよかったりするのかも)。
流麗とかではなく、遅くなく速くなく、深みをたたえた骨太な重みと推進力とでしっかり聴かせる「まさにブラームス」といったブラ1。

ブラームス 交響曲第1番 ジュリーニ/バイエルン放送響

2020-05-09 17:19:07 | ブラームス 交響曲第1番
ブラームス 
交響曲第1番 

指揮…ジュリーニ
演奏…バイエルン放送響
好み度…5(5点満点)

ゆったりめのテンポの中、バイエルンの美音が厚く響き、スケール感を感じさせる、全体的におおらかに謳うような雰囲気も心地よい、感銘深く聴かせる名演のように思う。
ウィーン盤ほど遅さは感じない。タイムを見てみるとこちらは第1楽章が15:05、終楽章が18:49、ウィーン盤が第1楽章が15;49、終楽章が19;46。単純に1分違うとこれくらいは印象が変わるものなのか、あるいはウィーン盤のほうが響きや雰囲気が重く感じられ、こちらはライブの熱気あるいは推進力をほのかに持つからなのか、終楽章など聴いていても、ウィーン盤で「遅い」と感じたものが「ゆったりおおらかな大きさ」になっているようにも思う。フィナーレの輝きもこちらが上。
透明感を感じさせるような厚く力強い響きの中にほどよいほの暗さやもたれるようなブラームスっぽい重ったるさ(悪い意味でない)も漂わせ、おおらかに歌い重みのあるスケール感を感じさせる、正統ではあるが例えばヴァントの堅固な正統とは趣を異にする、聴き応えのあるブラ1である(ヴァントが聴き応えないという意味ではないです)。
※ちなみにロサンゼルス盤との比較ではロサンゼルスは第1が18:53(反復あり)、終楽章が18:34。細かな長短はあれこれあれど、とにかく響きが、どちらも明るめながらバイエルン盤のほうが重さ深みで勝る。オケの響きは、クーベリックとのときやバーンスタインとのときとも違うように聴こえ、このオケは自らの響きのよさを保ちながら固執せず、指揮者の特性をしっかり吸収してよい形で表現してみせる、という点では最も優れたオケのように思う。ネットにこの盤の感想としてジュリーニ云々よりとにかくバイエルンが凄い、といったものがいくつかあったが、そんな面も確かにあるかもしれない。とはいえ、やっぱりジュリーニの大きなおおらかさがいい方向に出ていることもこの演奏の大きな要素であることも間違いないと思う。

ブラームス 交響曲第1番 バレンボイム/シカゴ響

2020-05-04 10:25:13 | ブラームス 交響曲第1番
ブラームス
交響曲第1番

指揮…バレンボイム 
演奏…シカゴ響 
好み度…3.5(5点満点)

まずい演奏とは思わないが、何か聴いていて覇気がないような印象を受ける。
標準以上の演奏とは思うのだが、では他に、重み、華やかさ、深み、力感、美しさ、のいずれでも感じるかというとそれらも特に感じられないような。
うまいし、ゆったりめにそれなりに雰囲気出てると思うが、わかったような雰囲気出しながらあんまり気は入ってない、みたいな感覚に近いか。
フィナーレの凱歌だけ少し早く流しているのも好みじゃないし、速度上げて元気が感じられるようになっているかというとそうでもないし。まずい演奏とは思わないが、また聴こうとは思わないかな。

ブラームス 交響曲第1番 ヴァント/シカゴ響

2019-11-30 11:37:52 | ブラームス 交響曲第1番
ブラームス
交響曲第1番

指揮…ヴァント
演奏…シカゴ響
好み度…5(5点満点)

これは名盤だろうなぁ。
録音時期としてはNDRとの2つの盤の間、演奏時間はどちらよりも少し長い。
NDRのような骨太なドイツ的重厚感はないが、堂々と響きつつも清らかな水を流したような美しさが漂う。
初顔合わせであり一期一会的な状況がこういう響きを生んだのだろうか。
弦は力をもちつつ濁らず、弦と程よい分離をもった金管の響きもときに鋭くときに弦ともたれあうようで、全体として厚く洗練され美しい。シカゴ響の奏者の上手さにもよるのだろうか、細部の表現付けも深みを伴った美しさを感じさせているようでもある。
第1楽章冒頭はヴァントのブラ1らしく速いが違和感なく、その後も力強く美しい。
第2楽章は深く澄んで美しく、第3楽章もちょっと新鮮なくらいに美しいし、終楽章も例えばフルートの後のホルン等静かに雰囲気あるし、例の主題も美しく、フィナーレへ向けての追い込みは重々しい迫力十分、フィナーレも金管も高らかに輝かしい。
全体的にNDRとの2盤より少し演奏時間が長い分ゆったりした流れを感じるようでもある。
シカゴ響はショルティとではこういう演奏にならないだろうし、ヴァントもNDRとではこういう演奏にならないと思う(どちらがいいとか悪いとかというのではない)。ヴァント77歳でのアメリカデビューという場で一見異質なものが合わさって予想以上に良質な化学反応を見た、といったところだろうか。
ヴァントの招聘にあってはシカゴ響のオーナーも練習時間の確保などでだいぶ譲歩したそうだが、これはその価値ありの大満足だったろうし、こういう機会を実現し演奏を残してくれたことに拍手を贈りたい。何とも力強くも美しい風格を感じるブラ1である。

ブラームス 交響曲第1番 テンシュテット/シュツットガルト放送響

2019-09-16 12:08:13 | ブラームス 交響曲第1番
ブラームス 
交響曲第1番

指揮…テンシュテット 
演奏…シュツットガルト放送響
好み度…4.5(5点満点)

完成度は後のNDR盤等と比べると、表現は悪いが青くさいようなところもあるし、深みみたいな点でもかなわないところだが、響きには熱気と漲るエネルギー感のようなものが感じられ、重厚感は特に感じないのだが、緊張感と覇気が強く感じられる、ある意味テンシュテットらしいよい演奏と思う。
この盤に限らずテンシュテットのブラ1はテンポなどはむしろオーソドックスなのだが、凡庸にならずにこんなに力を感じるのはなぜなのだろう、とも改めて思う。
終楽章も力感と覇気が衰えることはない。ネットでは「録音で損をしている」みたいな記述もみかけたが、別に悪くない。低音が少し遠く高い音に偏った印象は受け、残響もやや多目かもしれないが、こもらずむしろライブの空間を感じさせるような雰囲気もあって問題なし。
うまいとか堂々とか完成度とかじゃなく、エネルギー感が印象深い、感銘深い盤と思う。

ブラームス 交響曲第1番 クリヴィヌ/バンベルク響

2019-06-29 09:27:26 | ブラームス 交響曲第1番
ブラームス 
交響曲第1番 

指揮…クリヴィヌ
演奏…バンベルク響
好み度…3.5(5点満点)

標準的に美しい、良質の演奏ではあると思うが、全体的に厚みとか重み、力感には欠ける印象があり、特に感銘を受ける演奏というわけではないように思う。
バンベルク響ということでちょっと期待した渋みの効いた艶も特に聴かれない。
深みと力感には欠けるが、明るめに美しい演奏ではあると思う。

ブラームス 交響曲第1番 マーク/東京都響

2019-02-16 15:27:58 | ブラームス 交響曲第1番
ブラームス 
交響曲第1番 

指揮…マーク
演奏…東京都響
好み度…5(5点満点)

なぜか、このコンビの響きには素朴な深みを感じる。
おおらかでのびやかであり、名人のような特別な響きを聴かせるというのではないのだが、よい意味でのくすみを帯びながら、血の通った力感を感じさせて、美しさも感じさせる、この曲によく合った響きである。低
弦も管もティンパニもよく効いて、各楽器が力と美しさのある音を響かせ、オケ全体の音として雰囲気ある響きをつくり、都響ってやるじゃん、と思わせる質の高さと総合力もちゃんと備えている。例えばバーンスタイン&VPO盤よりブラームスらしい渋い力感と深みが香るように私には思える。
マークのおおらかな歌心と自然なアクセント付け等も功を奏しているように思う。第1楽章の重みや力感も心地よい聴き応えのあるものだし、第2楽章の弦も厚みも艶も伴って美しい。第3楽章でも各楽器のアクセントは自然に歌をつくり、優しい生気に満ちた美しさを感じる。
終楽章も最初のころのホルンとかフルートなどゆったりおおらかで美しいし、有名な主題も深みを帯びた明るさを伴って美しく情感あふれる響きで、中盤も中だるみ感を感じさせることなく、フィナーレの凱歌もゆっくり高らかに力強い。
このコンビは第九に続いて聴いたが、両盤とも水準の高さに失礼だがちょっとびっくりした。推進力や重々しさで聴かせるタイプではないしオーバーな演出があるわけでもないが、ゆったりめのテンポで、地に足のついたような心地よい重みと艶消しの明るさと美しさと、歌も備えた、ブラームスらしい名盤といってよいと思う。
録音もよく、何か見え透いたようなものがない分、何度も聴きたくなるような演奏のような気がする。

ブラームス 交響曲第1番 バーンスタイン/ウィーンフィル

2018-11-10 16:07:52 | ブラームス 交響曲第1番
ブラームス 
交響曲第1番 

指揮…バーンスタイン
演奏…ウィーンフィル
好み度…4(5点満点)

美しい響きである。重厚感や推進力感あるいは野性味とかを特に感じることはないが、弦のしっとりした艶を持った美しさが印象的で、低弦や金管などもしっかり響いているが全体的には柔らかい上質の質感を感じる。
第2楽章はじめテンポは基本的にはゆっくりめ。ちょっと芝居がかったところなどバーンスタインらしく、深みというよりはどこか映画音楽を聴くような美しさであるようにも感じる。
フィナーレの凱歌もゆっくりと謳うが、高らかでもあるがどこか上品な美しさも感じさ、〆は大きく力強く〆ている。
ウィーンフィルの美音とバーンスタインの演出がかみあって、ちょっとつくりもの感を感じないでもないけど、この組み合わせならではの雰囲気をつくっていると思う。

ブラームス 交響曲第1番 マゼール/クリーヴランド管

2018-10-26 22:12:53 | ブラームス 交響曲第1番
ブラームス 
交響曲第1番 

指揮…マゼール
演奏…クリーヴランド管
好み度…4(5点満点)

余計な脂を落としたかのような、重厚だったり熱かったりというよりは、どこか透明感を感じるような、スリムでクリアでちょっとひんやりした響きで、低弦もよく響いているが、金管も含めて圧するようなところはない。
どうもクリーブランド時代のマゼルは覇気にも面白みにも欠ける印象があるが、そんな中ではマゼルらしいちょっとすましつつの機能的な力感と美しさが感じられるようではある。
第1楽章はテンポは速くないが雰囲気としてちょっとキビキビした機能的なものも感じさせ、第2楽章もややゆっくりめに機能的に美しく聴かせている。終楽章は冒頭のソロは雰囲気あってなかなか美しいが、全体的にちょっと第1楽章で感じられた力感が薄まるような感があり(そういう演奏が結構多いのは何でだろう)、フィナーレの凱歌もゆっくりやっている割にはあんまり覇気も感じられない印象。まぁ、良演とは思うが、何かちょっと物足りない感も、といった感じかな。