好曲好盤探訪

名曲か、名盤か、というより、個人的好みで好きな曲の好きな演奏との出会いを求めてボチボチと。同じような方の参考になれば

チャイコフスキー ピアノ協奏曲第1番 アシュケナージ/マゼール/ロンドン響

2016-02-26 23:14:12 | チャイコフスキー ピアノ協奏曲第1番
チャイコフスキー
ピアノ協奏曲第1番

ピアノ…アシュケナージ
指揮…マゼール
演奏…ロンドン響
好み度…4.5(5点満点)

やっぱりアシュケナージは優しいのである。強奏部でもう少し力強さがあっても…と思うのはアシュケナージの常みたいなところもあるが、叙情部に限らず一音一音の響きは、やはりこの曲でもさすがと思わせる美しさを湛えている。
また、1つ1つのフレーズあるいは一音一音に表現を与える繊細な豊かさはこの人ならではの感もある。豊かで、清らかで、美しいピアノである。
そしてマゼールがまたいい。切れとメリハリも効かせ、どことなく新鮮味を感じさせる、内声も十分意識された堂々たる演奏を繰り広げている。
ロンドン響もやっぱり天下一品である。
出だしのホルンから勢いと緊張感を湛え、ピアノは最初こそ少しこもった感の音で入るが、次第に光沢を増し、美しくはりのある序奏部で曲は始まり、艶と緊張感と新鮮さの交錯する充実の第一楽章である。
第2楽章でのピアノはそれほど弱くせず、輪郭をはっきりさせつつ明るい美しさを感じる演奏。
終楽章は早めのテンポ、美しさに快活さを加えたピアノとオケは集中力の切れることなく、豪快なフィナーレで〆ている。
マゼールの剛とアシュケナージの柔、ミスマッチのようでそうでない、これはやはりこの曲の名盤といえると思う。
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チャイコフスキー ピアノ協奏曲第1番 ポストニコワ/ロジェストヴェンスキー/ウィーン響

2016-01-31 21:47:30 | チャイコフスキー ピアノ協奏曲第1番
チャイコフスキー
ピアノ協奏曲第1番

ピアノ…ポストニコワ
指揮…ロジェストヴェンスキー
演奏…ウィーン交響楽団
好み度…5(5点満点)

華美だったり華麗だったり、という音ではないが、実直で大変力強く、雄大、それでいてどこかほのかに甘い、堂々たる演奏である。
ピアノは堂々と力強く、それでいて強弱、テンポに独創的な細かな変化がつけられ、これがいちいちハマっている。
ロジェの指揮も決して急がずしっかり大地に根を張ったような展開であり、応えるオケも、ときに低弦の重みをずしりと効かせ、ときに金管を十分に響かせた、実直で厚みのある響きで、こういうのをロシア的というのだろうか、と思う(ウィーン響ですがね)。
ピアノもオケも上手にこなしてやろうというのではなく、何かを表現しようという意志が感じられるような気のこめられた演奏のように思う。
第1楽章序奏は力強く雄大でほのかに甘い。その後も基本的には「ロシアの大地を彷彿とさせるような」力強い演奏だが、こぼれるような一音一音を聞かせたり、迫り来るような感情も感じさせられたり、この演奏でしか聴けない雰囲気たっぷりである。
第2楽章は8分の表示からもゆっくり目の演奏。静かに美しくロシアの大地になぞられるなら春の雪解けを待つ静けさか。
終楽章でも音の抑揚あるいはアクセントのつけ方、テンポの微妙な動かし方は独創的で効果的。単調になってしまうこともあるこの楽章を興味深く聴かせ、フィナーレも堂々と力強く締めている。
夫婦の共演であるが、ここにはそんなことからくる演奏に対する甘さなんてかけらもなく、ピアノとオケがしっかり溶け込んだ、「ロシア的な」強さと雄大さを感じさせる、これは名盤と思う。
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チャイコフスキー ピアノ協奏曲第1番 ハース/インバル/モンテカルロ国立歌劇場管

2015-12-27 20:55:49 | チャイコフスキー ピアノ協奏曲第1番
チャイコフスキー
ピアノ協奏曲第1番

ピアノ…ハース
指揮…インバル
演奏…モンテカルロ国立歌劇場管
好み度…4(5点満点)

明るく華麗な演奏であると思う。
どちらかといえばピアノが前に出た印象の録音で、出だしの和音など明るく勢いがあって心地よい。
その後も強めの打鍵も交えながら、かつ音がにごることなく、明るく、華麗にそれなりの力をもって展開していく。
特にテンポに緩急はなく、叙情性や感情の移入といったものはあまり感じないが、澄んだ、明るく華麗な音で、音には強さもはりもある。
オケも、弦、金管とも、重量感やほの暗さといったものは感じないがピアノ同様明るく華麗な響き。
ティンパニがあまり聞こえてこないこともそんな印象になっているのかもしれない。
第2楽章はしっとりというよりは陽光射す森林の散歩といった風情の明るい美しさ、終楽章は明るく快活は雰囲気が印象的。
録音も鮮明でよい。
特に強くココロに響くタイプの演奏ではないが、普通に美しく華麗なチャイP協1を聴きたいときにはよい盤だと思う。

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チャイコフスキー ピアノ協奏曲第1番 マガロフ/オッテルロー/ハーグ・レジデンティ管

2015-10-31 10:30:48 | チャイコフスキー ピアノ協奏曲第1番
チャイコフスキー
ピアノ協奏曲第1番

ピアノ…マガロフ
指揮…オッテルロー
演奏…ハーグ・レジデンティ管
好み度…4.5(5点満点)

なんとも剛毅な演奏である。
冒頭のホルンなどは雄大さにかける感もあるが、その後のピアノは力強く、熱く真摯な表現意欲と確かな技量に裏打ちされた芯の通った豪快な強打には圧倒されるばかりであり心地よい。
その熱く起伏の大きな音楽には頑固職人のような職人の情熱を感じるかのようであり、叙情部でも情熱の微熱を帯びているかのようである。
オケも所謂一流かといわれればそうではないかもしれないが、邪心なく熱い響きで悪くない。
第2楽章では打って変わっての素朴な美しさと安穏…ピアノの表情の豊かさを改めて思う。
終楽章は、第1楽章と比べると豪快さや起伏の大きさは感じられないがフィナーレは熱く〆ている。
録音は古味も感じ弦楽器の音などかすれ気味ではあるが、上手さや評価に汲々とすることなく純粋によいものをつくろうと邁進するかのような豪快さや熱さが伝わるような、そういう意味では近年では得がたい名盤かもしれない。
昔のものとリマスター盤とがあるようだが、ピアノの音は昔のもの、オケの音はリマスター盤がよいような印象である。個人的には昔のものを推す。
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チャイコフスキー ピアノ協奏曲第1番 ヤブロンスキー/マーク/フィルハーモニア管

2015-09-26 23:12:46 | チャイコフスキー ピアノ協奏曲第1番
チャイコフスキー
ピアノ協奏曲第1番

ピアノ…ヤブロンスキー
指揮…マーク
演奏…フィルハーモニア管
好み度…4(5点満点)

ちょっと霞みがかかったような印象の録音も手伝ってか、
なぜかどこか北欧の、夜明け前の静かな風景を連想するようなチャイコのP協1。
並み居る他の盤たちと聴き比べてしまうと、インパクト不足というか、どことなく力不足の感を感じてしまうが、
単独で聴けばオケはかなり厚く優雅にしっかり響いてるし(序奏のオケなんてゆったり優しく厚く、叙情味あって結構美しい)、
ピアノも激しくないが騒がないチャイP協1をちゃんと弾いていて、
派手ではないけれど、北欧を自然と連想するくらいだから両者相まって結構叙情的な雰囲気をつくっていると言えるのかもしれない。
第2楽章もフィヨルドの水面に遊ぶ妖精のような自然で静かな音楽(ホメ過ぎかな…)。
終楽章も舞曲の激しさやめまぐるしさより基調は美しい響き。タイム的には6分57とあるが印象としてはもう少しゆっくりあわてずの印象。
大人しくてつまらんといえばそうかもしれないし、派手ではないが柔らかな厚みを以って優しい叙情味を醸し出していてよいといえばそうともいえる。
いずれにしても良演にはちがいないと思う。
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チャイコフスキー ピアノ協奏曲第1番 マツーエフ/ゲルギエフ/マリインスキー劇場管

2015-08-12 21:26:55 | チャイコフスキー ピアノ協奏曲第1番
チャイコフスキー
ピアノ協奏曲第1番

ピアノ…マツーエフ
指揮…ゲルギエフ
演奏…マリインスキー劇場管
好み度…3.5(5点満点)

不思議な盤である。
これだけばりばり迫力の強打がありながら、あるいはめくるめく音の回る技巧が披露されながら、
オケも当代切っての指揮者が丁寧に音を作っていながら、
なぜか感じるものがない、という不思議。
オケに対しピアノがかなり前に出た演奏で、とにかく硬くばりばりしたピアノの響きが印象的であり、弱音部ではぐっとスピードを落としたりしているが、叙情的な美しさという風にはなっていない気がする。マツーエフが、「らしさ」にこだわるあまり何か空回りしているような、そんな音が綴られている印象。
第1楽章はオケがぐっと後ろに引いた、重く、強いが何となく覇気も華も感じられない響きの序奏に始まり、その後もばりばりした強打と目まぐるしい技巧に、ちょっとこちらが引く思いを個人的には感じる。
一転、終楽章では今度はピアノのばりばりした響きはなく、特に聴かせどころもないまま軽く速くあっけなく終わってしまう印象。
同じコンビのラフ3が素晴らしく、期待しすぎたのかもしれないし、あるいはこのコンビ向きの曲ではないのかもしれない。
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チャイコフスキー ピアノ協奏曲第1番 ギレリス/マゼール/ニューフィルハーモニア管

2015-08-09 23:23:23 | チャイコフスキー ピアノ協奏曲第1番
チャイコフスキー
ピアノ協奏曲第1番

ピアノ…ギレリス
指揮…マゼール
演奏…ニューフィルハーモニア管
好み度…4.5(5点満点)

何とも力感と緊張感間に満ちたチャイP協1である。
冒頭からテンポも速めで序奏の持つ叙情性や優しさなどははなから表現する気などないといわんばかりの、ピアノもオケも圧倒されるほどに強く厳しい音である。
ただ、ギレリスのピアノはその強さは爽快であり、マゼールとオケは厳しくも力感と躍動感を湛えた好演であり、
両者相まってあっという間に34分が過ぎ去るような、鋭く力感にあふれた、全編緊張感みなぎる、多分この両者でなければできないような演奏だと思う。
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チャイコフスキー ピアノ協奏曲第1番 ポゴレリチ/アバド/ロンドン響

2015-07-05 00:20:35 | チャイコフスキー ピアノ協奏曲第1番
チャイコフスキー
ピアノ協奏曲第1番

ピアノ…ポゴレリチ
指揮…アバド
演奏…ロンドン響
好み度…4.5(5点満点)

何とも個性的な盤である。
ポゴレリチはチャイコフスキーピアノコンクールにおいてもその評価が真っ二つに分かれたという逸話があるそう(アルゲリッチが、このポゴレリチを選から落とすという決定に納得いかず、途中で選考委員を投げてしまったとか)だが、この演奏も好みは分かれるかもしれない。
これがはまった人には正に唯一無二の盤ということになろうかと思う。
特に第一楽章は大胆。
出だしはいたって力強く、途中テンポを落とすところは極端に落とし一音一音の美しさをいとおしむかのように、また、ときに他にはない斬新な解釈があったり、とにかく個性的である。
でも、強打でも音は濁らず、弱音部では、「一音の美しさ」に初めて気付かされる思いもあり、技術と表現力の高さは存分に感じられ、その個性は芸術性を感じさせ情感豊かであり、私は好きである。
第2楽章も美しい。
終楽章は平均的な演奏となり、
とにかく第一楽章の個性が印象的な盤である。
アバドとロンドン響のサポートは堂々と厚く、さすがと思わせる一級品である。
オケとピアノの馴染みもよく、好みは分かれるかもしれないが、ピアノもオケも演奏水準は高く、個性が目立つが芸術性豊かな名盤と思う。
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チャイコフスキー ピアノ協奏曲第1番 トリフォノフ/ゲルギエフ/マリインスキー管

2015-05-21 23:16:51 | チャイコフスキー ピアノ協奏曲第1番
チャイコフスキー
ピアノ協奏曲第1番

ピアノ…トリフォノフ
指揮…ゲルギエフ
演奏…マリインスキー管
好み度…4.5(5点満点)

若き才能あるピアニストの表現意欲旺盛な独奏に、達者な指揮者とオケが表現力豊かにしっかりサポートした好演。
第1楽章冒頭から、ペダルも多用しての「こう弾きたい」という思いの乗ったピアノは、
それでも勢い余って弾き急ぐでもなく、こちらもゆったり柔らかく情緒豊かなオケの音に乗って、双方良い意味で演奏を楽しんでいるかのように、
全体としてゴージャスといえるような雰囲気を醸し出している。
第2楽章は少しテンポは速めの設定。
とはいえ第1楽章でもそうだが弱音部の音もしっかり美しく、この楽章のもつ清楚な雰囲気もしっかりつくりだしていて、
終楽章はどちらかといえば少しおとしめのテンポ。
慌てず、弾き急ぐことなく、ともすれば目まぐるしいだけで終わってしまうこの楽章を、表現豊かに、ときにダイナミックに弾ききっている。
ピアノの旺盛な表現力と、ピアノ、オケの柔らかくゴージャスな雰囲気はこの曲に合っていて、録音の多いこの曲の中でも、印象的な好盤である。
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チャイコフスキー ピアノ協奏曲第1番 エンゲラー/クリヴィヌ/ロイヤルフィル

2015-04-17 23:39:11 | チャイコフスキー ピアノ協奏曲第1番
チャイコフスキー 
ピアノ協奏曲第1番

ピアノ…エンゲラー 
指揮…クリヴィヌ
演奏…ロイヤルフィル
好み度…3.5(5点満点)

残響の多めの柔らかい録音とゆったりしたテンポの、ピアノもオケも、何とも優しく、包み込まれるような柔らかさが印象的な盤。
特に出だしの序奏はかなりゆっくりと、優しい厚みをもって演奏され、以後もゆっくりめのテンポである。
気楽に美しい音楽にそれとなく耳を傾けたいときなんかによいような盤である。
終楽章ですら優しい雰囲気を漂わせ、繰り返される主題はそのつど少しずつ違う表情を見せながら、フィナーレも広い春の野を連想させる優しさである。
ポピュラー名曲100みたいなコーナーで使われそうな、ある意味BGM的などこまでも優しい音色と響きの盤といえようか。
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