好曲好盤探訪

名曲か、名盤か、というより、個人的好みで好きな曲の好きな演奏との出会いを求めてボチボチと。同じような方の参考になれば

ブラームス 交響曲第1番 メルクル/MDR響

2016-01-31 21:55:52 | ブラームス 交響曲第1番
ブラームス
交響曲第1番

指揮…メルクル
演奏…MDR響
好み度…5(5点満点)

NDRでなくMDRという交響楽団があるんですね。中部ドイツ放送交響楽団、旧ライプツィヒ放送響だそうです。
このオケの響きが何ともよい。ライプツィヒ・ゲヴァントハウスでのライブ録音とのことだが、録音も秀逸。
重厚にして明るく温かみのある艶があり、ときに引き込まれるような深みと広がりを感じさせる響き。
低弦の支えも木管の艶もホルンの強さも心地よい。ゲヴァントハウスというホールの特性でもあるのだろうか。
メルクルという指揮者も知らなかったが、基本的に堂々と力強いスタンスで聴き応えのあるブラ1となっている。
第1楽章は序奏からいっぺんにその響きに引き込まれる思いがする。その後もどっしりしたテンポで厚く力強くくすまずにブラームス的な香りを濃く漂わせる。ドイツのオケの伝統的な重厚感とはこういう響きをいうのだろうか、との思いも受ける。
第2楽章は厚みと深みのある弦の響きが敬虔ささえまとうようでこれもなかなか秀逸、
第3楽章は弦の美しさを中心に明るめの優しく美しい雰囲気。
終楽章、ホルン独奏はどちらかといえば力強い。ややゆっくりと強めに弾かれる弦での主題は情感豊かであり、その後も艶と活気を感じさせる響きは心地よい。
主題再現のあと、俄かにテンポを速めた後は少しテンポを動かしているところもあるが、これが功を奏しているかは好みかな。ちなみにフィナーレは、凱歌に向けてはやや速め、凱歌で少し速度を落として結構堂々と輝かしく謳った後、また速度を速めてラストへ。
何にせよ、録音がいいのかホールがいいのかオケがいいのか指揮者がいいのか、全部合わさって初めてなのか、よくわからないが、重厚(暗さやくすみ・渋みとは違う方向)にして艶があり、力強く深みもある、正統にして良質なしっかりしたブラームが聴ける、何とも魅力的な響きの一級の名盤でしょう。
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ベートーヴェン 交響曲第5番「運命」 ヨッフム/コンセルトヘボウ管

2016-01-31 21:52:17 | ベートーヴェン 交響曲第5番「運命」
ベートーヴェン
交響曲第5番「運命」

指揮…ヨッフム
演奏…コンセルトヘボウ管
好み度…4(5点満点)

しっかりと渋く落ち着いたほんのり重めの響き。激しさや燃焼感あるいは躍動感、スケールの大きさだったり重厚感とか、あるいは華麗な明るさだったりとか、といったものはあまり感じられないが「純」とか「正統」とかという表現が浮かぶような、ちょっと古風な音質でしっかりかっちりまとめられた、良演のように思う。
展開や楽器の出し入れもオーソドックスであり、特に強い主張や感銘やインパクトは感じず面白みには欠けるかもしれないが、ほのかに温もりのようなものも湛えた、至って正統な運命のように思う。ちょっと大き目のボリュームで聴くことをお勧め。
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チャイコフスキー ピアノ協奏曲第1番 ポストニコワ/ロジェストヴェンスキー/ウィーン響

2016-01-31 21:47:30 | チャイコフスキー ピアノ協奏曲第1番
チャイコフスキー
ピアノ協奏曲第1番

ピアノ…ポストニコワ
指揮…ロジェストヴェンスキー
演奏…ウィーン交響楽団
好み度…5(5点満点)

華美だったり華麗だったり、という音ではないが、実直で大変力強く、雄大、それでいてどこかほのかに甘い、堂々たる演奏である。
ピアノは堂々と力強く、それでいて強弱、テンポに独創的な細かな変化がつけられ、これがいちいちハマっている。
ロジェの指揮も決して急がずしっかり大地に根を張ったような展開であり、応えるオケも、ときに低弦の重みをずしりと効かせ、ときに金管を十分に響かせた、実直で厚みのある響きで、こういうのをロシア的というのだろうか、と思う(ウィーン響ですがね)。
ピアノもオケも上手にこなしてやろうというのではなく、何かを表現しようという意志が感じられるような気のこめられた演奏のように思う。
第1楽章序奏は力強く雄大でほのかに甘い。その後も基本的には「ロシアの大地を彷彿とさせるような」力強い演奏だが、こぼれるような一音一音を聞かせたり、迫り来るような感情も感じさせられたり、この演奏でしか聴けない雰囲気たっぷりである。
第2楽章は8分の表示からもゆっくり目の演奏。静かに美しくロシアの大地になぞられるなら春の雪解けを待つ静けさか。
終楽章でも音の抑揚あるいはアクセントのつけ方、テンポの微妙な動かし方は独創的で効果的。単調になってしまうこともあるこの楽章を興味深く聴かせ、フィナーレも堂々と力強く締めている。
夫婦の共演であるが、ここにはそんなことからくる演奏に対する甘さなんてかけらもなく、ピアノとオケがしっかり溶け込んだ、「ロシア的な」強さと雄大さを感じさせる、これは名盤と思う。
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