ブルックナー
交響曲第5番
指揮…ボルトン
演奏…モーツァルテウム管
好み度…4.5(5点満点)
ブルックナーの、8番は多分コンサートホールが、スーパーオケのパワーと力量が、合うのだと思う。
でも5番は、そういうのももちろんいいが、パワー押しでなくても、清楚だったり敬虔だったり、温かみだったり、そんな側面で聴ける曲なんではないかと思う。
私の好みの盤を思っても、8番は他の交響曲で名を聞く指揮者やオケが連なるが、5番はむしろこの曲でしか聞かない指揮者やオケにむしろ感銘深いものが多い。
この盤の組み合わせも、多分8番向きではない。でも5番では、コンサートホールで聴く大交響曲的響きでなくて、こういう教会で静かに頭を垂れて聴くような、重みも情も迫ることはないが、清らかな美しい響きはありなんだと思う。
指揮者のボルトンはバロック畑の指揮者とのことだし、オケも古典中心のオケなのでしょう。なので、圧倒されるような力強さとかはあまり感じない。むしろ随所で美しく繊細な印象で、思えば繊細な箇所の弦が本当に繊細に聴こえるブル5ってあんまりないように思うし、弦の清らかな響きとか繊細な掛け合いとか…悪くない。終楽章で感じられる明るい敬虔な雰囲気もちょっと新鮮なようにも思う。
こんな書き方をしてきたが、ちゃんとフルオケの響きで別に非力と言うわけでもないし、低弦とかティンパニの響きとか金管の重ね方などは結構新鮮さと大きさを感じさせている。
聳える大伽藍のような5番をお望みならば聴くことない盤だと思うが、5番はこういう雰囲気もいいと思う。