好曲好盤探訪

名曲か、名盤か、というより、個人的好みで好きな曲の好きな演奏との出会いを求めてボチボチと。同じような方の参考になれば

ブルックナー 交響曲第5番 ボルトン/モーツァルテウム管

2023-10-08 10:18:32 | ブルックナー 交響曲(第3番/第5番/第8番)

ブルックナー
交響曲第5番

指揮…ボルトン 
演奏…モーツァルテウム管
好み度…4.5(5点満点)

ブルックナーの、8番は多分コンサートホールが、スーパーオケのパワーと力量が、合うのだと思う。
でも5番は、そういうのももちろんいいが、パワー押しでなくても、清楚だったり敬虔だったり、温かみだったり、そんな側面で聴ける曲なんではないかと思う。
私の好みの盤を思っても、8番は他の交響曲で名を聞く指揮者やオケが連なるが、5番はむしろこの曲でしか聞かない指揮者やオケにむしろ感銘深いものが多い。
この盤の組み合わせも、多分8番向きではない。でも5番では、コンサートホールで聴く大交響曲的響きでなくて、こういう教会で静かに頭を垂れて聴くような、重みも情も迫ることはないが、清らかな美しい響きはありなんだと思う。
指揮者のボルトンはバロック畑の指揮者とのことだし、オケも古典中心のオケなのでしょう。なので、圧倒されるような力強さとかはあまり感じない。むしろ随所で美しく繊細な印象で、思えば繊細な箇所の弦が本当に繊細に聴こえるブル5ってあんまりないように思うし、弦の清らかな響きとか繊細な掛け合いとか…悪くない。終楽章で感じられる明るい敬虔な雰囲気もちょっと新鮮なようにも思う。
こんな書き方をしてきたが、ちゃんとフルオケの響きで別に非力と言うわけでもないし、低弦とかティンパニの響きとか金管の重ね方などは結構新鮮さと大きさを感じさせている。
聳える大伽藍のような5番をお望みならば聴くことない盤だと思うが、5番はこういう雰囲気もいいと思う。


ブラームス ピアノ協奏曲第1番 マルガリット/トムソン/ロンドン響

2023-10-08 10:15:48 | ブラームス ピアノ協奏曲(1番・2番)

ブラームス
ピアノ協奏曲第1番

ピアノ…マルガリット 
指揮…トムソン 
演奏…ロンドン響
好み度…4(5点満点)

Chandosレーベルで、録音はこのレーベルらしい残響多めの明るめの響き。演奏が大きく聞こえるようなところはあるので、むしろいいかもしれない。
ピアノは硬質でどこかほんのり明るく若い強気な印象を感じる。
様々な表情が顔を出すというよりはむしろ凛と一本気のイメージであり、結構強く叩いてもいるようにも思うが、女性ピアニストだからかどうか、太い音にはならないので、厚いオケに乗ってどこか涼やかな雰囲気にも聴こえる。
特に上手いとかそういったタイプのピアニストではないように思われ、深みとかこぼれるような美しさといったようなものはこの盤ではあまり感じられない(それでも透き通るような弱音の高音などはこの人の長所なのかもしれない)が、しっかりした意志が感じられるような弾きっぷりは心地よく、終楽章などは他の盤と比べてピアノ主体で、その闊達なエネルギーを感じさせる演奏はこの盤ならではといえるかもしれない。
オケはロンドン響だし、危なげなく、厚く、特に重量感を強調するわけではないが、こぢんまりとせずに大きさを感じさせる好サポートと思う。
重みとか風格とか、そういう演奏でなく、青いと呼んでいいような一本気で、透明感のあるエネルギーというか、そういったピアノの雰囲気が、特にこの曲ではそれもいいんじゃないかと思え(しっかりした大きさと重みのあるオケの響きがあってこそとも思う)、こういう1番もいいな、と思える盤のように思う。


ベートーヴェン 交響曲第5番「運命」 ヘルビッヒ/BBCフィル 

2023-10-01 00:42:00 | ベートーヴェン 交響曲第5番「運命」

ベートーヴェン
交響曲第5番「運命」

指揮…ヘルビッヒ 
演奏…BBCフィル 
好み度…4.5(5点満点)

BBCフィルって、BBC交響楽団とは別団体なんですね。響きの印象はBBC響と似ているかな、特別上手さを感じるということはなくて繊細と言うよりはやや大味な印象ではあるけど、やや金管が元気な感じで全体としては力強い響きを聞かせている。
演奏はヘルビッヒらしい、地味と言えば地味だけど、奇をてらわずまっとうな運命。変な小細工や自己主張はなくて聴いていて心地よい。
隠れ名盤と推す人もいるようだが頷ける。
ヘルビッヒはベルリン響との英雄も虚飾や小細工のないしっかりした名盤の域と思うし、ウィーンフィルとかコンセルトヘボウとか、そんなオケとの演奏も聴いてみたいな、ともふと思う。


ブルックナー 交響曲第3番 クーベリック/バイエルン放送響 

2023-10-01 00:39:05 | ブルックナー 交響曲(第3番/第5番/第8番)

ブルックナー
交響曲第3番

指揮…クーベリック 
演奏…バイエルン放送響 
好み度…5(5点満点)

クーベリックとバイエルンの清清しい響きは、8番とかよりもこの曲に合っているんだと思う。
厚く爽やかな活力ある響きで、瑞々しくかつ正統にこの曲を聴かせているように思う。
弦の厚く爽やかな重なりとかフィナーレの颯爽とした響きとかが印象的ではあり、どこか爽やかな敬虔といったような雰囲気も漂って、名盤として名が挙がることもあるようだが、頷ける。
全編活気と清清しさとおおらかな大きさに満ちた名盤でしょう。
ちょっと珍しい譜を使っているようだが、別に違和感はない。


ブルックナー 交響曲第8番 バルビローリ/ハレ管

2023-10-01 00:33:34 | ブルックナー 交響曲(第3番/第5番/第8番)

ブルックナー 
交響曲第8番

指揮…バルビローリ
演奏…ハレ管 
好み度…4(5点満点)

オケの技量はスーパーオケにはひけをとるだろう、大味と言えばそういったところもあるかもしれない。
しかし、やっぱり緊張感の中にも実直な力強さと熱と情と大きさを感じる、いい演奏だと思う。
賛否は分かれる演奏かもしれないが、私はバルビの演奏を聴くに高い完成度とか洗練とかは期待していないので、ときに整い切っていないようなところが聴こえようと、一音一音にギュッと血の通った力と熱を凝縮したようなこの演奏は、やっぱりいい演奏だと思う。
高い完成度とか巨大さとか深遠な美しさとか、でなく、身近で素朴な、真摯に汗をかいて奏しているような、そんな実直な力感と温かみを感じる演奏のように思われ、そんなブルックナーはありだと思う。