荻野晃也氏が昨年の京都大学工学部での講演「地震と放射能汚染」で紹介された、(ウルリッヒではない)ベックの法則:
「ベック博士が1964年までの21年間に、246基の米国原子炉施設において発生した事故記録を解析した上で得た結論
C.K. Beck: Proc. 3-th Conf. Atomic Energy, Geneva, 1965
(1)最大想定事故(M.C.A.)は起こりうると考えるべきである。
(2)事故時には安全装置が働かないことがある。
(3)事故は予想しない時に、予想しない原因から起こり、予想
しえない結果を生ずることが多い。」
の論文は、
Beck, C.K. 1965. U.S. reactor experience and power reactor siting. in "Proceedings of the Third International Conference on the Peaceful Uses of Atomic Energy, vol. 11 (New York: United Nations, 1965)", pp.???-355-???.
のようである。また、
Beck, C.K. et al. 1957. Theoretical possibilities and consequences of major accidents in large nuclear power plants - a study of possible but highly improbable, were to occur in large nuclear plants. United States Atomic Energy Commission. Washington.
という論文もあるらしい。
1964年8月31日~9月9日に国連主催(実際は米国主導か?)で開かれた会議の、『原子力の平和利用に関する第三回国際会議議事録』の第13巻の題名はNuclear safetyであるようだ。
「v. 1. Progress in atomic energy --
v. 2. Reactor physics --
v. 3. Reactor studies and performance v. 4. Reactor control --
v. 5-6. Nuclear reactors. 1. Gas-cooled and water-cooled reactors. 2. Fast reactors and advanced concepts --
v. 7. Research and testing reactors --
v. 8. Reactor engineering and equipment --
v. 9. Reactor materials --
v. 10-12. Nuclear fuels. 1. Fabrication and reprocessing. 2. Types and economics. 3. Raw materials --
v. 13. Nuclear safety --
v. 14. Environmental aspects of atomic energy and waste management --
v. 15. Special aspects of nuclear energy and isotope applications --
v. 16. List of papers and indexes.」
http://www.worldcat.org/title/proceedings-of-the-third-international-conference-on-the-peaceful-uses-of-atomic-energy-held-in-geneva-31-august-9-september-1964/oclc/2103820
Beck論文の掲載は、vol. 11ではなく、vol .13の間違いかも。
『Averting Catastrophe』
という本が電網上で読める。
http://publishing.cdlib.org/ucpressebooks/view?docId=ft2k4004pp;brand=ucpress
想定外って、何?
「 「人間は行動する前に、その範囲を決めなければなりません。外側については考えなくなります。外側の領域が想定外です。存在自身を気付かなくなっています。想定外の事象が起こった時に初めて、その存在に気づくのです」
「東京電力福島原子力?発電所における事故調査・検証?委員会」の委員長が畑村氏である。26日に中間報告が行われたのだが、その記者会見の席で、「想定外」を上記のように定義したのだ。」
http://media.yucasee.jp/posts/index/9935
<誰>が<推定した>[推定方法の問題]想定内か想定外か、が重要。
[K]
Kåberger, Tomas. 2007. History of nuclear power in Sweden. Estud. av. vol.21 no.59 São Paulo Jan./Apr. 2007. [Estudos Avançados Print version ISSN 0103-4014
http://www.scielo.br/scielo.php?pid=S0103-40142007000100018&script=sci_arttext&tlng=en
「The nuclear industry in the US came to the conclusion that if the nuclear industry had to carry the economic liability for reactor accidents there would be no commercial nuclear power. To avoid these costs, the industry asked a group of legal experts to provide a proposal for a legislation that would make nuclear power profitable by socialising the costs of potential accidents.」
〔原発事故の賠償には民間保険は請け負えないことは、イギリスの(現在も汚染が続いているらしい)セラフィールドでも明らか。福島第一では、身近に明らか。〕
]
原子力の平和(的)利用の英語は、
peaceful use of atomic power
である(ことを最近知った)。このpeacefulは平定だったかの意味だというのを、印刷物か電網上でつい最近見た。平時の利用または、(爆弾としての利用ではなく)爆発しないように制御しての穏やかな利用ということではなかろうか。むろん、peacefulは平和なという意味があるので、それから受ける感じをも狙ったものだろう。
連鎖的反応によって、この世界へ爆発的なエネルギー放出となるというそもそもきわめて危険な状態になるのを、適度になるように制御しようという、不安定なシステムである。火力発電だったら、爆発すれば、後は静まる。放射能または放射性物質は出ない。
「peaceful
1 平和な, 穏やかな, 静かな;〈死などが〉安らかな.
a peaceful morning|穏やかな朝.
2 平和を好む, おとなしい, 温和な.
3 〈解決手段利用などが〉平和的な;〈仕事などが〉平時の, 平和な状態の
peaceful coexistence|平和共存.」(プログレッシブ英和中辞典)。
weblio辞典では、3番目に、
「平和のための,平和的な,平時用の.
用例 peaceful use of atomic power 原子力の平和(的)利用」
とある。斎藤和英大辞典では、
「平和;平安;静か;安らか;なだらか;泰平;安い;安穏;静穏;安泰;静謐;無事平穏;穏か;平穏」
とある。