帰りの電車の窓から、黄金に佇む満月が見えました。夜の街の建ち並んだビルのあいだに浮かぶ月は、音も無く、ただ、無心に輝いているようでした。
わたしは、まばたきを惜しむくらいじっと見つめました。神秘的で美しい月…。見つめながら、心がすぅっと静まっていきました。すごくすごくだいじなことを思い出すような感じでした。
どこまでもひろいひろい海や、深い深い青い空。光に透いた緑…やわらかな匂いを運ぶ風。闇にぽっかり浮かぶ月。そういうものを目の前にしたとき、わたしは、すごくだいじなことを思い出すような、なんとも言えないせつなさに駆られてしまいます。なにか、今までだいじなことを見落としていた気がして、はっとするんです。
じっと見つめて、心がなにかをつかもう、つかもうとする。どうしてだか、涙がしずかに滲むんです…。
時間や日常を超えた場所に、心がすぅっと昇るよう。
純粋なものに出会ったとき、そうしてわたしの心も澄んでゆく。
―6月20日 パン職人めざし修業中の末娘記―
わたしは、まばたきを惜しむくらいじっと見つめました。神秘的で美しい月…。見つめながら、心がすぅっと静まっていきました。すごくすごくだいじなことを思い出すような感じでした。
どこまでもひろいひろい海や、深い深い青い空。光に透いた緑…やわらかな匂いを運ぶ風。闇にぽっかり浮かぶ月。そういうものを目の前にしたとき、わたしは、すごくだいじなことを思い出すような、なんとも言えないせつなさに駆られてしまいます。なにか、今までだいじなことを見落としていた気がして、はっとするんです。
じっと見つめて、心がなにかをつかもう、つかもうとする。どうしてだか、涙がしずかに滲むんです…。
時間や日常を超えた場所に、心がすぅっと昇るよう。
純粋なものに出会ったとき、そうしてわたしの心も澄んでゆく。
―6月20日 パン職人めざし修業中の末娘記―