きのうの憲政記念館⇒三の丸尚蔵館⇒東京国立博物館のハシゴのお話を始めます。
「交差点の案内標識が変わる…か?」で追記したように、
無料というのが申し訳ないほど楽しみました
というコストパフォーマンス無限大な素晴らしいハシゴでした。
まず最初は、随分久しぶりの訪問となった憲政記念館。
この記念館は、正式名称「衆議院憲政記念館」の名のとおり衆議院の施設で、
衆議院憲政記念館は、1970年(昭和45年)にわが国が議会開設80周年を迎えたのを記念し、議会制民主主義についての国民の皆様の認識を深めることを目的として設立され、尾崎記念会館(憲政の功労者である尾崎行雄を記念し1960年(昭和35年)に建設)を吸収し、1972年(昭和47年)に開館しました。
というもの。
入場無料(入館票への住所・氏名等の記入
が求められます)で、休館日は「毎月の末日及び12月28日から翌年1月4日」だけという、極めて敷居の低い資料館です。
ただ、場所が場所だけに(周りには国会議事堂と国会図書館くらいしかありませぬ)、憲政記念館を観るためだけに出かけるのは、ちょいと気が引けるかもしれませんな。
さて、今、憲政記念館では特別展「戦後日本の再出発」が開催されています(今週金曜日、11月29日まで)。
終戦から占領期を経て独立を回復し、国際社会への復帰を果たすまでの歩みを諸相を交えて、関係資料により紹介します。
として、敗戦から憲法改正(日本国憲法公布)、サンフランシスコ平和条約の調印を経て、いわゆる「55年体制」の成立までの資料が展示されていました。
当時のキーマンたちの日記(当然、自筆
)とか、愛用品もさることながら、私としては、「憲法改正案」の原本
と「日米安全保障条約」の原本
をこの眼で拝見することができたことが一番の収穫でした。
現在の憲法「日本国憲法」は、大日本帝国憲法第73条の、
将来此ノ憲法ノ条項ヲ改正スルノ必要アルトキハ勅命ヲ以テ議案ヲ帝国議会ノ議ニ付スヘシ
に基づいて改正(制定)されたわけで、天皇の名の下に御名御璽付きで発議されています。
そんな原本を見られる機会なんて、そうそうあるものではありません
また、「日米安全保障条約」の原本も生で観られるとは思ってもみませんでした
この2点だけでも交通費を費やした甲斐があったというものです。
この他には、女性に参政権が与えられた最初の総選挙、1946年の第22回衆議院議員総選挙に向けて文部省がつくったポスターが面白かった
これは、女性に投票を呼びかけるポスターで、書かれている文章は、
此度、婦人方の投票が物をいう時期が参りました。そこで、私は次のやうな三條を期待します。
一、皆さんは男性よりも忠実です。従って、棄権をして折角の権利を無駄にはなさらないでせう。
一、皆さんは、ご婦人独特の正義感を持って居られます。他には煩はされずに、政見の正邪をご自身で判断せられるでしょう。
一、皆さんは、男性よりもずっと鋭い、直観力と云ふか、一種のカンを持って居られます。人物の眞偽をそのカンで嗅ぎ分け、必ず眞(ほん)ものに投票せられるでせう。
この「私」が誰なのかよく判りませんが、ポスターには黒く塗りつぶされた部分がありまして、特別展の出品目録(小冊子になっています
)から引用しますと、
筆者の名前が黒塗りされているのは、立候補者と間違われることを恐れていたからだと思われる。
だそうな。
それはともかく、赤文字にした部分は、現代ならばとやかく言われそうなビミョーな書きぶりだと思います。
それにしても、国政選挙の啓発ポスターを発行したのが文部省だったというのも、今にしてみれば妙です…
そうそう、この特別展の対象期間を20分でまとめたビデオが上映されていまして、これは必見
です
展示を観る前に、予習というか、中高生の頃の復習というか、ザザッと歴史をふり返っておくのは非常に有効だと思いました。
このビデオの中に、鳩山一郎元首相が登場するのですが、その一瞬の面貌が孫の鳩山由紀夫元首相(「元首相」の肩書きを剥奪したいと思うのは私だけではないと思いますけど…)とあまりにもそっくりで驚きました
そして、展示品の中に鳩山一郎氏の筆になる「友愛」を見つけて苦笑い…
というところで、憲政記念館のことは、もう1本の記事に分けます。
あしからず…
つづき:2013/12/02 記念館・美術館・博物館をハシゴ(その2)