新・徒然煙草の咄嗟日記

つれづれなるまゝに日くらしPCにむかひて心に移りゆくよしなし事をそこはかとなく紫煙に託せばあやしうこそものぐるほしけれ

「個人名」ではなく「ユニット名」?

2014-02-05 22:44:32 | ニュース

ビックリするニュースでした。


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NHKニュースから引用しますと、


耳が聞こえない障害を乗り越えて作曲しているとして、CDが異例の売り上げとなっている、佐村河内守さん(50)が、代表作の交響曲などを別の作曲家に作ってもらっていたことを、5日未明、弁護士を通じて発表しました。


というもの。
(個人的には)「前代未聞できごとデス


その後名乗り出た、佐村河内守(さむらごうち まもる)さん「さむら かわちのかみ」ではありません)に曲を作ってあげていたという方(新垣隆さん)によれば、


この度は世間をお騒がせしまして誠に申し訳ございません。私は佐村河内守氏のゴーストライターを18年間にわたってやっておりました。その件につきまして、皆さまの前でお詫び申し上げたいと思い、記者会見を開かせていただきます。


なんだそうな。
18年間にわたって「ゴーストライターをしていたとは…


の世界では、政治家本とかアイドル本ゴーストライターによって書かれているとか、政官財界のお偉いさんの演説・挨拶がスピーチライターによって書かれていることは、まぁ常識と言って良いかと思いますが(実は、私もスピーチライターみたいなことをしたことがあります)、クラシック音楽でこんなことがあったなんて、唖然とするしかありません。


さらに、この件に関しては、私、「佐村河内 守:作曲 交響曲第1番 HIROSHIMA」CDを買いましたから(CDを探したけれど行方不明)、結構感じるものがあります。


ゴーストライター」とは、いわば「落ち武者」、、、、いや、「影武者」
ドラマ「あまちゃん」での鈴鹿ひろ美(佐村河内守さん)に対する天野春子(新垣隆さん)のような関係っつうことですか…


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「あまちゃん」のシチュエーションと違うのは、「あまちゃん」では春子さんが鈴鹿さんの「影武者だったのは、大ヒット曲「潮騒のメモリー」1曲で、その後、秘密は守られながらも鈴鹿さんは大女優になったのに対して、こちらは、「影武者をし続けて十数年たってから、「代作」が大ブレークしてしまったこと。
いわば、「あまちゃん」一度きりの嘘を隠し通したのに対して、こちらは「嘘に嘘を重ねた」ということかもしれません


   


NHKニュースによれば、佐村河内さんは、


作曲家(新垣さん)に、曲の構成や楽器の編成、曲調のイメージを伝え、作曲をしてもらう形で作品を発表し、報酬を渡していた


のだそうで、もしこれが真実ならば、5年前の記事「ディック・フランシスと佐伯祐三」で書いたディック・フランシスと彼の奥さん、佐伯祐三と奥さんとの関係に近いかもしれません。

その弁でいえば、「ディック・フランシスと佐伯祐三」で、


佐伯祐三夫妻のユニット名が「佐伯祐三」だったと考えればよいのではなかろうかと…。


と書いたように、「佐村河内守」は、「構想:佐村河内守、作曲:新垣隆」ユニット名と捉えるべきかもしれません。


ただ厄介なのは、佐村河内さんの作品が、聴覚障害者が作曲したもの、「交響曲第1番 HIROSHIMA」被爆2世たる佐村河内さんが広島の鎮魂のために作曲したものとして、世の中の注目を集めたこと。
この点では、佐伯祐三夫妻のケースよりも、「『元騎手で女王陛下の持ち馬にも乗った』キャリアを持った競馬ミステリーの名手」ディック・フランシスと彼の奥さんの「ユニット」に近いかもしれません。


   


この「佐村河内 守:作曲 交響曲第1番 HIROSHIMA」、きょうの帰宅時、クルマのHDDにMISIAの新曲「僕はペガサス 君はポラリス」を入れた後、久しぶりに聴いてきました。

帰路の途中から聴き始めて、しかも、道が空いていたもので、自宅に帰り着いたときは、まだ第2楽章でした。


実は、私、「交響曲第1番 HIROSHIMA」を通して聴いたのはホンの2~3回です。


正直言って、この曲を通して聴くのには、結構厳しいものがあります。

まず、曲が長いし、ひたすら陰鬱だし、そして何よりも、キャッチーな旋律がほとんどない


確かに和声はキレイなんですが(どことなくショスタコーヴィチ風の響き)、聴覚障害者が作曲したもの」あるいは被爆2世たる佐村河内さんが広島の鎮魂のために作曲したもの」という前提がない状況で、この曲を何度も聴き返すのは、よほどハマった人以外には難しいのではないかと、改めて思った次第です。


佐村河内さんCD絶版コンサート中止になるようです。

佐村河内さん、そして、「落ち武者」、、じゃなく、「影武者」だった新垣さんの今後はどうなるのか、「興味津々というほどではないにしろ、気になるところです。


【追記】この話を書くのを忘れていました

毎日新聞のサイトに載っていたこちらのコメント、


「HIROSHIMA」のCDブックレットに解説を寄せた音楽評論家の長木誠司さんは「強引な『ストーリー』をまとわせないと、無名の作曲家を世に出すことは難しい時代。発売後の過熱ぶりには、私もへきえきした」と明かす。「私たちは肥大化した『ストーリー』に、踊り、踊らされてしまった。誰もが『音楽ではないもの』を聴いていたとも言え、実に現代的な事件」とみる。


「恥の上塗り」っぽい…

それにひきかえ、こちら清々しさを感じます


同CD録音時に指揮を務めた大友直人さんの関係者は「楽譜を見て素晴らしい作品と思ったので演奏した。別人の作でも、楽譜に記されたことは変わらない」と話す。


(2014/02/05 23:42)

コメント (2)
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