ビックリするニュースでした。
NHKニュースから引用しますと、
耳が聞こえない障害を乗り越えて作曲しているとして、CDが異例の売り上げとなっている、佐村河内守さん(50)が、代表作の交響曲などを別の作曲家に作ってもらっていたことを、5日未明、弁護士を通じて発表しました。
というもの。
(個人的には)「前代未聞」のできごとデス
その後名乗り出た、佐村河内守(さむらごうち まもる)さん(「さむら かわちのかみ」ではありません)に曲を作ってあげていたという方(新垣隆さん)によれば、
この度は世間をお騒がせしまして誠に申し訳ございません。私は佐村河内守氏のゴーストライターを18年間にわたってやっておりました。その件につきまして、皆さまの前でお詫び申し上げたいと思い、記者会見を開かせていただきます。
なんだそうな。
18年間にわたって「ゴーストライター」をしていたとは…
本の世界では、政治家本
とかアイドル本
がゴーストライター
によって書かれている
とか、政官財界のお偉いさんの演説・挨拶がスピーチライター
によって書かれていることは、まぁ常識と言って良いかと思いますが(実は、私もスピーチライター
みたいなことをしたことがあります
)、クラシック音楽
でこんなことがあったなんて、唖然
とするしかありません。
さらに、この件に関しては、私、「佐村河内 守:作曲 交響曲第1番 HIROSHIMA」のCDを買いましたから(CD
を探したけれど行方不明
)、結構感じるもの
があります。
「ゴーストライター」とは、いわば「落ち武者」、、、、いや、「影武者」
ドラマ「あまちゃん」での鈴鹿ひろ美(佐村河内守さん)に対する天野春子(新垣隆さん)のような関係っつうことですか…
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「あまちゃん」のシチュエーションと違うのは、「あまちゃん」では春子さんが鈴鹿さんの「影武者」だったのは、大ヒット曲「潮騒のメモリー」
1曲で、その後、秘密は守られながらも鈴鹿さんは大女優
になったのに対して、こちらは、「影武者
」をし続けて十数年たってから、「代作」が大ブレーク
してしまったこと。
いわば、「あまちゃん」は一度きりの嘘を隠し通したのに対して、こちらは「嘘に嘘を重ねた」ということかもしれません
NHKニュースによれば、佐村河内さんは、
作曲家(新垣さん)に、曲の構成や楽器の編成、曲調のイメージを伝え、作曲をしてもらう形で作品を発表し、報酬を渡していた
のだそうで、もしこれが真実ならば、5年前の記事「ディック・フランシスと佐伯祐三」で書いたディック・フランシスと彼の奥さん、佐伯祐三と奥さんとの関係に近いかもしれません。
その弁でいえば、「ディック・フランシスと佐伯祐三」で、
佐伯祐三夫妻のユニット名が「佐伯祐三」だったと考えればよいのではなかろうかと…。
と書いたように、「佐村河内守」は、「構想:佐村河内守、作曲:新垣隆」のユニット名と捉えるべきかもしれません。
ただ厄介なのは、佐村河内さんの作品が、聴覚障害者が作曲したもの、「交響曲第1番 HIROSHIMA」は被爆2世たる佐村河内さんが広島の鎮魂のために作曲したものとして、世の中の注目を集めたこと。
この点では、佐伯祐三夫妻のケースよりも、「『元騎手で女王陛下の持ち馬にも乗った』キャリアを持った競馬ミステリーの名手」のディック・フランシスと彼の奥さんの「ユニット」に近いかもしれません。
この「佐村河内 守:作曲 交響曲第1番 HIROSHIMA」、きょうの帰宅時、クルマのHDDにMISIAの新曲「僕はペガサス 君はポラリス」を入れた後、久しぶりに聴いてきました。
帰路の途中から聴き始めて、しかも、道が空いていたもので、自宅
に帰り着いたときは、まだ第2楽章でした。
実は、私、「交響曲第1番 HIROSHIMA」を通して聴いたのはホンの2~3回です。
正直言って、この曲を通して聴くのには、結構厳しい
ものがあります。
まず、曲が長いし、ひたすら陰鬱
だし、そして何よりも、キャッチーな旋律
がほとんどない
確かに和声はキレイなんですが(どことなくショスタコーヴィチ風の響き)、「聴覚障害者が作曲したもの」あるいは「被爆2世たる佐村河内さんが広島の鎮魂のために作曲したもの」という前提がない状況で、この曲を何度も聴き返す
のは、よほどハマった人以外には難しいのではないかと、改めて思った次第です。
佐村河内さんのCDや本
は絶版
、コンサート
は中止
になるようです。
佐村河内さん、そして、「落ち武者」、、じゃなく、「影武者」だった新垣さんの今後はどうなるのか、「興味津々」というほどではないにしろ、気になるところです。
【追記】この話を書くのを忘れていました
毎日新聞のサイトに載っていたこちらのコメント、
「HIROSHIMA」のCDブックレットに解説を寄せた音楽評論家の長木誠司さんは「強引な『ストーリー』をまとわせないと、無名の作曲家を世に出すことは難しい時代。発売後の過熱ぶりには、私もへきえきした」と明かす。「私たちは肥大化した『ストーリー』に、踊り、踊らされてしまった。誰もが『音楽ではないもの』を聴いていたとも言え、実に現代的な事件」とみる。
「恥の上塗り」っぽい…
それにひきかえ、こちらは清々しさを感じます
同CD録音時に指揮を務めた大友直人さんの関係者は「楽譜を見て素晴らしい作品と思ったので演奏した。別人の作でも、楽譜に記されたことは変わらない」と話す。
(2014/02/05 23:42)