3週間ぶりに東京国立博物館(東博)に行ってきました。
お目当ては、きょう「クリーブランド美術館展」と「人間国宝展」と一緒に千穐楽を迎える特集陳列「人間国宝の現在(いま)」をもう一度観ること、そして、こちらはきょうでなくてもよかったのですが、ミュージアムシアターの「興福寺 国宝 阿修羅像」、特別展「支倉常長像と南蛮美術」を観ることでした。
二つの特別展がきょうでお終いということで結構な人出だった東博(表示によると、「クリーブランド美術館展」は「混雑しています」で、「人間国宝展」は「大変混雑しています」でした)それでも、難なくミュージアムシアターの「興福寺 国宝 阿修羅像」のチケットがとれまして(今回も無料券を使わせていただきました)、こちらからきょうの東博探訪をスタートさせました。
ミュージアムシアターでは、予めナレーションを入れた映像を流すのではなく、ナビゲーターがライヴでMCを務めるんですが、きょうのナビゲーター氏によれば、きょう、2月23日は、「漢委奴国王」の金印が発見された日なのだそうな
おぉ、その金印、福岡市博物館で現物を観たぞ
2011年7月、「伝源頼朝像」を観るために九州国立博物館(九博)へ遠征したついでに拝見したんでしたっけ(記事はこちら)…
そんなことを考えながら、「興福寺 国宝 阿修羅像」を楽しみました。
約40分間があっという間に過ぎるほど楽しいプログラムだったのですが、もともとの色彩についての話がなかったのが心残りでした。
そういえば、九博の常設展示(文化交流展示室)には、極彩色に再現した阿修羅像があったよなぁ~なんてネ
そんなことを考えながら、平成館に向かい、考古展示と特集陳列「人間国宝の現在(いま)」を鑑賞しました(「人間国宝展」のチケットがなくてもOK)。
何度観ても(2回目ですが)、思わず声が出てしまう作品が満載です
ほんと、凄い としか書きようのない怒濤のデザインと技能でした。
満足した私は本館に向かい、いつものように大階段左のインフォメーション・コーナーでフライヤーをチェック
おぉ、ありました、特別展「台北 國立故宮博物院-神品至宝-」のフライヤー
まだ「予告編」ということなのか、裏面は九州会場のご案内です。
特別展「台北 國立故宮博物院-神品至宝-」のフライヤーを表裏を並べて載せておきましょう。
東京会場が、
門外不出の「白菜」 奇跡の出品
で、九州会場が、
門外不出の「肉形石」 奇跡の出品
だそうな。
国立博物館での特別展の目玉が「白菜」と「角煮」だというのは、なんとも…って感じですが、台北の故宮博物院のコレクションでは自他共に認める人気のツートップが「白菜(翠玉白菜)」と「角煮(肉形石)」なんですから、こればかりはどうしようもありません。
実際、私が2008年に故宮博物院に行ったとき(短いけれど記事はこちら)も、この2点が「お持ち帰りした作品」のツートップでしたから。
今も私のケータイには、「白菜(翠玉白菜)」の根付がぶら下がっています。
右の写真は5年前に撮ったもので、一番右に写っている博多・櫛田神社の叶守は取れてしまっています
「白菜(翠玉白菜)」の根付も、だいぶ擦れてきていまして、今回の展覧会グッズで新品を調達できないものかと期待しています
それはともかく、特別展「台北 國立故宮博物院-神品至宝-」の会期は東京会場が6月24日~9月15日の3ヶ月弱、九州会場が10月7日~11月30日の2ヶ月弱ですが、東京会場での「白菜(翠玉白菜)」の展示は6月24日~7月7日、九州会場での「肉形石」の展示は10月7~20日と、共に2週間の限定展示です。
そりゃねぇ、改装工事でもない限り、博物館で1-2を争う人気コレクションが、長々と留守にできませんものねぇ~
う~む…、東京会場はもちろんのこと、「伝源頼朝像」を観るために九博へ出かけたように、また九博に遠征して角煮と再会しようかな…なんて考えながら本館2階の総合文化展を観ていると、、、、ありゃ、あれは…
実は、きょう、カメラを持っていくのを忘れていまして、上の写真はケータイで撮りました
なんと、わざわざコレを観るために九博に出かけたといういわくつきの「伝源頼朝像」、そして「伝平重盛像」(一番右は「桜町成範(藤原光能)像」)ではありませんか
ただし、東博で展示されていたのは、幕末期の絵師・冷泉為恭による模本でした。
九博で観たオリジナル(伝藤原隆信筆)には修復が施されていて、教科書では黒衣にしか見えなかった袍(ほう=上着)が、それは見事に織りの文様まで見えて感激したものですが、こちらの模本はじっくり観ても黒衣でした。
恐らく、冷泉為恭が模写した頃には、オリジナルは既に汚れていたんでしょうねぇ。
ちなみに、あさって2月25日から、国宝室(本館2階2室)では、「伝藤原光能像」のオリジナル(神護寺蔵)が展示されます(3月23日まで)
これを拝見できれば、いわゆる「神護寺三像」をコンプリートできます
これは見逃せません
というわけで、東京(東博)・福岡(福岡市博物館)・大宰府(九博)・台北(故宮博物院)と、めまぐるしく記憶が駆け巡る一日でした。
と書いたものの、実はもう一ヶ所、記憶と思いが飛んでいった先がありました。
それは仙台
けさ、「MISIA 星空のライヴVII -15th Celebration-」仙台公演遠征(日帰り)の往復のチケットをgetしたこともありますが、加えて、東博で観た特別展「支倉常長像と南蛮美術」
伊達男、ローマを行く
とありますが、伊達政宗から下賜されたらしい衣服を身につけた支倉常長の姿は、まさしく「伊達男」
こうして画像で観ると、なんとなくバランスが悪くて(加えて、当時の洋画につきものの様々な象徴が鬱陶しい)、それほどの絵には見えませんが、現物を観ると、なんとも華やかで、やはり「伊達男」という言葉に行き着く気がしました(足袋までおしゃれの感覚が行き届いている)。
顔立ちは、仙台市博物館所蔵の「支倉常長像」とまったく同じで、垢抜けないものですが、「奥州国王(=伊達政宗)」の特使としての自負と誇りが漂っています。
ちなみに、仙台市博物館所蔵の国宝「慶長遣欧使節団資料」のうち「支倉常長像」を含む3点は、去年、ユネスコ世界記憶遺産に登録されまして、元仙台市民の私にとってうれしい限りです。