「2016年師走の仙台旅行記 2日目 #7」のつづきです。
東北大学総合学術博物館(理学部自然史標本館)の入口には、薄い石板が立てかけられていまして、そこにあったのは、
長さ30cmはあろうかという、超細長い巻き貝のような化石でした。
この細長い巻き貝のようなものは、説明板によれば、「直角石」という、およそ生き物とは思えない名前の生物だそうで、
モロッコで産出した3億7千万年前のデボン紀の石灰岩で、直角石(ちょっかくせき)とゴニアタイトの化石をたくさん含んでいます。直角石やゴニアタイトは絶滅した頭足類で、古生代中期のデボン紀の海に大繁栄していました。直角石はオウムガイの仲間で、まっすぐな殻が特徴です。ゴニアタイトは古生代型のアンモナイトのひとつです。これらの頭足類の殻は隔壁で区切られた多くの部屋をもち、軟体部は最後の部屋「住房(じゅうぼう)」に入っていました。
とな。
ゴニアタイトというのは、直角石の周りに見える小さな「渦巻状のもの」でしょうか?
この標本を見ると、こんな形で後世に伝えられてしまうことは、直角石とかゴニアタイトにとってどんな気分なんだろうか? と考えてしまいます。
少なくとも私は、化石になって数億年後の知的生命体に鑑賞されたくはありませぬ。
さて、150円の入館料
をお支払いして東北大学総合学術博物館(理学部自然史標本館)の中へ。
「総合学術博物館」と銘打ってはいますが、展示されているのは、ほぼすべてが自然科学系の標本や模型で、やはり「理学部自然史標本館」ということなんだと思いました。
正直、キモい古生物とか、
東北大学青葉山キャンパスのすぐ近く、竜ノ口渓谷の上流部から発掘されたという「センダイミズホクジラ」(約500万年前)の化石とか、
中国・内モンゴル自治区で発掘された約8000年前の恐竜の卵の化石とか、
様々な鉱物標本とか、日本近海の海溝を立体めがねで見る展示とか、それなりに面白かった
のですが、文系の私としては、やはりこちらの展示の方が好み
かも…
法隆寺で使われた和釘(7世紀頃)だそうです。
和釘は、1本1本、鍛冶屋さんが叩いて(鍛えて)作り出した「工芸品」なんですよねぇ…
そんな中で、私に最も滲みた展示はこちらでした。
この標本をよくよく調べると、過去6000年間に仙台付近に押し寄せた津波
の痕跡が読み取れるのだそうです
近いところを拡大しますと、、
2011年3月11日の津波の痕跡があり、1896年の明治三陸津波
らしき痕跡があり、869年の貞観津波
らしき痕跡を見ることができます。
ここまでは私も知識として知っています。
が、ここまでの地層の深さは約75cm。
地層の深さにして約4.5m、時間にして6000年間に刻まれた津波の痕跡らしいものは、貞観津波以前に9つもありました。
貞観津波以来1100年ぶりといわれた東日本大震災の津波が、決して「たまたま発生した」ものではないことを目の当たり
にした気がします。
歴史を学ぶこと、過去を知ることは、単なる趣味や酔狂の次元じゃないんですな。
「想定外」と口にするのは、自らの勉強不足をあからさまにすることかもしれない…
勉強になりました。