「江戸を感じた日曜日(その3)」のつづきです。
あ、そうだ。このタイトルの「日曜日」は、先週の日曜日です。あしからず。
一葉記念館を後にした私は、来た道とちょっと違うルートで日比谷線・三ノ輪駅に向かいました。
そこから江戸東京博物館に着くまでは、さほど書きたいネタがありませんでしたので、ちょいと小ネタを挟みましょう。
この画像は、一葉記念館のパンフレットに載っていたものです。
「晩年の頃」とキャプションが入っていますが、「晩年」という言葉は、いくら若くして亡くなっても使うものなんですねぇ。
それはともかく、この肖像を元にした5000円札が発行されたのは2004年11月1日のこと。
紙幣に肖像が採用された女性としては、神功皇后に続いて一葉女史が2人目です。
国立印刷局のHPにこんなQ&Aが載っていました。
Q. 女性の肖像は、樋口一葉(ひぐちいちよう)が初めてですか?
A. 日本銀行券の肖像として女性が採用されたのは、樋口一葉が初めてですが、女性の肖像としては、明治期の政府紙幣において神功皇后(じんぐうこうごう)が採用されています。また、肖像ではありませんが、二千円札の裏面に紫式部(むらさきしきぶ)の顔が描かれています。
「神功皇后」というのは、弥生時代の人物(170~269年)で、夫の仲哀天皇(第14代)が亡くなってから(201年)、子息の応神天皇(第15代)が数え年71歳で即位するまで(270年)の、異例の天皇空位期間の大部分で実質的に女帝として活躍したと伝えられているようです(実在説と非実在説がある)。
そんな方ですから、ご本人を目の前にして描かれた肖像画なんて存在するはずもありません。
政府紙幣に採用された神功皇后の肖像は、「お雇い外国人」として現在の国立印刷局の礎を築いたイタリア人アーティスト Edoardo Chiossone(キヨッソーネ)が想像のままに描いたものだとか。
キヨッソーネといえば、今、日本人がイメージする西郷隆盛さんの姿・顔立ちは、西郷さんご本人に会ったこともないキヨッソーネが、西郷従道さんと大山巌さんの顔を合成して書き上げた肖像画が元になっていることは、結構知られた話です。
話を一葉女史が描かれた5000円札に戻しましょう。
現行の1万円札(福沢さん)、5000円札(一葉女史)、1000円札(野口さん)のユニット(?)は、デザインが2002年8月に財務省から発表された後、2004年7月にも発行する予定だったそうな。
それが、実際に発行されたのは2004年11月。新紙幣の発行が4か月も遅れることになったのはなぜだったのでしょうか?
当時、話題になりましたから覚えている方もいらっしゃることでしょう。
古いニュースだというのに、どうしたことか、Yomiuri On-Lineに当時(2004年5月6日付け)の記事が残っていました。
財務省は2002年8月に新紙幣のデザインを発表し、いったんは今年(2004年)7月をめどに発行することを決めた。しかし、新5000円札に使う樋口一葉の肖像画が「顔にしわなどが少なく、細部が描きにくい」(理財局)ために原版づくりが難航。昨年(2003年)12月に予定していた新5000円札の印刷開始を延期し、すべての新紙幣の発行時期を遅らせていた。
「顔にしわなどが少なく」って、そりゃそうでしょう。一葉女史は、わずか24歳で亡くなったんですから…。
それにしても、5000円札の原版づくりに携わった工芸官(原図&彫刻)の方々のプレッシャーは相当なものだったことでしょう。
期限は迫る一方で、やっつけ仕事で終わったら、偽造防止という紙幣の原版にとって最大の機能が傷つくでしょうし、それよりも、職人としてのプライドが許さないに違いありません。国立印刷局に何人の工芸官がいらっしゃるか知りませんが、お札の原版づくりに携わる機会を得るなんてそうそうあるものではないでしょう。お察しします…としか言えません。
一葉記念館で展示されていた模型の多くには、作者として「三浦宏」がクレジットされていました。
この「三浦宏さんって、誰? どんな人?」と、ネットをさ迷ううちに、こんな本を発見しました
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一葉に逢いたくて― 桧細工、針穴写真で甦る樋口一葉の世界 価格:¥ 2,310(税込) 発売日:2007-05 |
版元の河出書房新社のサイトによれば、
檜細工師が精巧な模型として再現した樋口一葉の世界を、針穴写真家が独自の描写力で表現。失われた明治へとタイムトリップし、一葉作品の気配までリアルに感じることが出来る画期的な一冊。
だそうです。
模型と針穴写真のコラボ? なぜに普通のカメラ
ではなくピンホールカメラ?
「針穴写真」を調べてみると、ピンホールカメラには、露出に恐ろしく時間がかかる一方で、撮影対象のすべてにピントが合う
、という特徴があるそうな。
ふむふむ、、、と、すれば・・・
、と興味津々で、さっそくこの本を注文してしまいました
「7-21日以内出荷」だそうで、いつ届くか判りませんが、楽しみ
冒頭、「小ネタを挟みましょう」と書いた割には、長々と書いていますが、これこそ、小ネタ。
一葉記念館の辺りをぶらぶらしていたところ、「内海桂子」という表札を掲げた家を発見
(さすがに、写真を撮るような無粋なことはいたしませんぞ、私は)
もしかして、あの芸人の内海桂子さんのお宅か
ネットで調べてみたところ、まちがいなさそうです。
ということで(?)、「江戸を感じた日曜日(その5)」では、江戸東京博物館の見聞記をお届けする予定です。
つづき:2010/10/12 江戸を感じた日曜日(その5)
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