「南青山でアートして…(前編)」のつづきです。

なぜ、きのう、私が身の丈に合わない南青山へ出かけたかといいますと、Twitterで知った野口哲哉さんの作品展「armored maighbor ~鎧を着た隣人~」を観るためでした。
2014年3月に練馬区立美術館で「野口哲哉展 -野口哲哉の武者分類図鑑-」を観て(記事はこちら。こちらにも登場)、その技術
と考証
の確かさ/緻密さと、発想
のぶっ飛び方に感服して、それ以来、頭の中にそのお名前を刻み込んでいた野口哲哉さん、その後、なかなか作品にお目にかかれず寂しかったのですが、久しぶりに作品を拝見できるというので、南青山・骨董通りのギャラリー玉英に出かけたしだいです。
スマホのGoogle Mapを頼りにギャラリー玉英に行こうとしたのですが、なぜか見つからない
スマホに表示された地点を行ったり来たりするうち、とある建物のガラス越しに、甲冑姿の侍2人がこちらを眺めている
ことに気づきました
あったぁ~
(なぜすぐに気づかなかったんだろ…
)
画廊なんて場所に足を踏み入れたことのない私、半ば恐る恐る店内に入りました。
店内から外を見ていた立体作品(写真はどこからか借用
)は非売品でしたが、

展示されていた小ぶりの絵画作品20点あまりはすべて「売り物」。
各点一律35万円
で、購入希望の作品を申し込める
ようになっていました。
いつも展覧会を観るとき、お持ち帰りしたい作品はどれだろう? と品定め(もちろん妄想
)している私ですが、今回は、現実感
をもって品定めできるというわけです。
さて、今回の作品展のテーマは「armored neighbor ~鎧を着た隣人~」というタイトルどおり、甲冑に身を包んだサムライを、同時代の西洋の画家が描いたらどうなるか? というもので、当然ながら西洋画(風)です。

野口さんご自身の説明(?)によれば、
絵具のメディウムをオイルから樹脂へと置き換えた仮初(かりそめ)の灯を用いて、異なる文明が照らし出す 彼の人(かのひと)たちの姿を実験的に浮かび上がらせてみよう。
う~む、楽しかった
「野口哲哉の武者分類図鑑」展で拝見した絵画作品は、日本の古い絵画風のものが主流を占めていましたが(右に載せた「着甲武人猫散歩逍遥図」が話題となりましたっけ…
)、今回の作品展は、14~17世紀の油彩画風で、私のイチオシ
は、冒頭に載せた楽器(リュート?)を弾く武人の絵でした。
でも、その場で「35万円」の買い物を申し込むのには二の足を踏んでしまいまして、結局、何も購入申し込みせず
にギャラリー玉英を後にしました。
帰宅してから知ったのだけれど、この作品展では写真撮影可らしくて、もったいないことをした…
なお、野口哲哉作品展「armored neighbors」は来週土曜日(12月16日)までですが、作品の購入申込は、きのうで終了していますので悪しからず…。

話は岡本太郎記念館に戻ります。

上の写真は、館内のガチャでgetした「コップのフチの太陽の塔《乗り越え太陽の塔》」。ただし、家にあるコップ/グラスのすべてに乗っかりません
もっとも、「坐ることを拒否する椅子」を制作した岡本太郎さんの関連グッズですから、「使えない」のも一興かもしれません。
さて、
1967年5月初旬に(大阪万博の)テーマプロデューサー就任を打診された岡本太郎は、再三の要請にもかかわらずこれを固辞。受諾を決めたのは6月末頃で、7月7日に就任会見を開く。ところが、時間がない中、翌8日から2ヶ月に及ぶ中南米への取材旅行に出かけてしまう。
9月初旬の帰国時点ではほぼ完成形に到達していた。
だそうで、中南米旅行中に岡本さんが描いたエスキース(習作)
が展示されていまして、これが面白かった
6月28日の段階では、
なんだかけん玉かこけしみたいなものだったのが(既に太陽の塔が大屋根を突き破る
コンセプトはできていたもよう)、7月12日には、

もう太陽の塔のシルエット
になっています。ただ、顔がようにたくさんついていますけど。
もしかして、モントリオールのホテル
の便箋
に描かれてることからして、トーテムポールからインスピレーション
をもらったのかな?
そして、8月8日には、

いかにも岡本太郎
なこんな風
になり(メキシコのホテル
の便箋
に描かれてます)、そして9月9日には、

ほぼ最終形になっていました。
こちら
は「生命の樹」のエスキース(習作)かな?

以上で企画展「太陽の塔 1967-2018」はおしまい。
面白かったぁ~
現在の第1期は来年2月18日までで、2月21日~5月27日の第2期が終わったら、あべのハルカス美術館での「太陽の塔展」(来年9月15日~11月4日)に出品されるだろな。

1階に降りて
、エントランスにど~ん
と立つ「縄文人」(岡本太郎の縄文好き
は有名)の前を通り、常設展示室へ移動しました。
まずは岡本さんに挨拶して
、
岡本さんのアトリエを拝見
。

ひやぁ~、おもちゃ箱の中に入ったみたいだ
太陽の塔の胴体正面についている「顔」のほか立体作品が立ち並び、アップライトピアノまであったりします。
こんな環境で創作活動に没頭したら、やはり爆発
するしかありませんな。
ところでこのピアノ、岡本さんは絵
を描いていたかと思うと、やにわにピアノ
を弾き出したりしたのでしょうか? ちょうどチャップリンの「独裁者」
のヒンケルのように…
それにしても、ラックには大量
のカンバスが収納されているのですが、これらは何?

未完成品? 未発表作品? それとも失敗作?
そんなことを考えながら入口へと戻りました。
アトリエの手前の展示室から見える庭の様子がイイ

ということで、最後にお庭を拝見したました。

まるで、熱帯の密林の中で聖霊たちに出逢ったみたい
(「もののけ姫」を連想…
こちらの設定は中世の日本だけど)
太陽
の顔が最高
にイイ
し、
鐘
はお持ち帰りしたいほど気に入りました。

鐘
には小槌が添えられていたのですが、鐘を鳴らす
勇気が私にはありませんでした
でも、私が岡本太郎記念館にいる間、鐘
を鳴らす人はだれもいませんでしたです。
こんな庭の奥で、、、

岡本太郎さんが太陽の塔の原型に鑿をふるっています
短パン&雪駄履きにランニングシャツ姿の岡本さん、芸術家
というよりも、肉体労働者です
よくよく見ると、リアル

いやはや面白かった
楽しかった
人生に疲れたら
、、、とまで行かなくても、岡本太郎が不足していると感じたら、岡本太郎記念館で岡本太郎を補充するのが良いかもしれませんぞ。
このあと、私は、千駄ヶ谷まで歩いて、更に新宿まで行ったのですが、その話は稿を改めることにしまして、「南青山でアートして…」前後編は完結です。
つづきのようなもの:2017/12/10 南青山でアートしたあとのこと