以前は「旧いメルセデスの電機屋」。。。現在は、、、「隙間風産業の超零細企業」の業務日報。。。

旧いメルセデスの電機屋のニッチな仕事のお話。。。http://jun3104.shop19.makeshop.jp/

不穏。時々ASR点灯。。。

2020-12-19 21:07:00 | 日記
昨日、弊社を頼りに新宿区より御入庫戴いた1992y W124 500E君の不調修理。。。


御依頼内容はASR警告灯が度々点灯する。
ASR警告灯点灯時に速度計の⚠️印は点灯せずフェイルセーフにはならない。。。

では、ってコトで最初に入庫時診断。。。

診断機によるフォルトコードを拾ってみる。。。



コレだけエラーが出て来た。。。

しかし、E-GASモジュールのEFP制御基盤とLHのHFM基盤間でのCAN通信エラーがE-GASモジュール側にメモリーされているにも拘らずLHモジュールには故障コードが何もメモリーされていない。。。謎。。。

取り敢えずはメモリーされているフォルトコードからダイアグラムを参考に不調の状態を解析検討してみる。。。

この状態で実際にエンジンを始動。。。

イグニッションON状態で⚠️印のランプが一瞬点灯して消灯。
この時点でASR/ABSシステムが起動していない。
よってセルを回してエンジンを始動したら案の定ASR/ABS警告灯が同時点灯〜。。。

エンジン音も何か重苦しく明らかに燃料リッチっぽい。
ブローバイ付近が生ガス臭いし、アクセルレスポンスも重い。

時折、F/Pリレーのチャタリング音も発生している。。。

明らかにLH制御システム全体に問題が生じていると判断。。。

よって。。。




ボンネット内の弁当箱に居るモジュール4種を全て取外す。。。

先ずはLHモジュールから分解。。。



先ずはF/Pコントロール部分から分解。。。


コリャ、チャタリングもしますわ。。。

電解コンデンサーの液漏れで漏れた液体が基盤を浸食しています。。。

よって基盤洗浄と酸化したパターンの修復。。。


外した100μFの電解コンデンサーの容量測定をすると、、、

オーバーキャパシティになってます。

新しい車載用の電解コンデンサーの容量は100μF以下で規格容量に収まってます。(笑)


カムアジャスターコントロールの電解コンデンサーも。。。

容量47μF規格に対して、、、完全に液漏れして風化しちまってます。。。

コレじゃあカムアジャスターコントロールが効かず、車が遅かったろうに。。。

でも、何故にLHモジュールにフォルトコードがメモリーされない❓

答えはLHモジュールの基盤上の自己診断を司る部分にあった。。。

電解コンデンサーの液漏れ浸食によって基盤パターンの剥離断線が見られた。

この細い基盤パターンの断線によってLHモジュールの自己診断機能が死んでいたと考えられる。。。

外した電解コンデンサーは容量抜けして最早機能していなかった。。。

この部分にあっては1993yモデルから電解コンデンサーからタンタルコンデンサーに変更されているので、ウチでは基盤パターン修復と共にマストでチップタンタルコンデンサに置換する。。。

後は基盤各パート毎に振り分けられている電源回路の修復。。。


先ずは22μFを抜きます。

して、容量は。。。

若干オーバーキャパシティです。

間もなくパンクですね。。。

次に100μFを抜きます。。。

して、容量は。。。

見事なオーバーキャパシティですね。

此方も間もなくパンクですね。

次の22μFに至っては、、、

既にパンク済みで容量抜けしてました。。。

更に次の100μFは、、、

オーバーキャパシティです。

液漏れしてスルーホールに浸潤して腐食させてました。

腐食パターンとスルーホールを修復して、各部の半田の打ち直しを行い、、、








O/H完了です。。。今回は30年の月日において劣化して浸食が進行した状態で重症の部類でしたね。。。

さて、次にASR/ASRモジュールです。。。






先ずはよくパンクしている10μFの電解コンデンサーを。。。



液漏れが始まった初期段階でしたね。。。

次にモジュールの電源回路の修復。。。



見事に液漏れ浸食の初期段階です。。。


オーバーキャパシティです。

此方も液漏れ浸食の初期段階です。。。

やはりオーバーキャパシティです。

液漏れ浸食箇所のクリーニングと酸化箇所の補修を行い、電解コンデンサーを全交換。

流石❗️安全装置のコンピュータだけあって一番コストが掛かっているお陰で大きな要補修箇所は無し。。。

コレにて組立復帰してO/H完了。。。

お次はE-GASとGMですがまた次回‼️

To Be Continued.......