以前は「旧いメルセデスの電機屋」。。。現在は、、、「隙間風産業の超零細企業」の業務日報。。。

旧いメルセデスの電機屋のニッチな仕事のお話。。。http://jun3104.shop19.makeshop.jp/

さて、、、昨日飛び込んで来た。。。

2021-03-07 10:59:00 | 日記
昨日お昼頃に飛び込んで来たW124 E320T君。。。

暫く車検を切って屋根付ガレージで長い冬眠から目覚めたばかりだそうで。。。

オーナーさんは一番気になる不具合箇所としてポジションランプ以上の照明点灯時に室内のイルミネーションが暗黒の闇だって話。。。

早速、とっとと調べちゃおって事でメーターAssyを抜いて、、、

多くはメーターの照度調整ボリウムが原因になりますが、今回はメーターには何の不具合もなく。。。

すると次はボンネット内のヒューズBOXの奥の球切れ検出ユニット。。。

先ずは球切れ検出ユニットをエイヤッ❗️と、引き抜いて。。。

検出ユニットに挿さる三つの車台側ソケットの内、真ん中の大きいソケットの16番端子にテスターの+棒、17番端子にテスターの−棒を挿し込んでヘッドライトスイッチON‼️

はい。見事に0Vで御座居ます。
大きい車台側ソケットの端子16番はヘッドライトスイッチの「K」端子からヘッドライトスイッチONで+12Vが供給される部分なのでココがヘッドライトスイッチに連動して+12Vにならないって事はW124では普通に消耗品のヘッドライトスイッチAssyの不良で御座居ます。

試しにウラ取りとしてヘッドライトスイッチへの電圧入力は全て正常。
ヘッドライトスイッチを右回ししてスモールやヘッドライトは取り敢えず点灯するが「K」のラインだけ相変わらず0V。。。

って事で此方はヘッドライトスイッチAssy交換。。。

次に、、、いつもながらにエンジン音を聞いていると何かおかしい。いや。絶対におかしい。。。

で、、、ついでにお節介焼きの寅ちゃんは此方をしっかり診断したろうとオーナーさんの了解を戴いて先ずはエンジンスタート。。。
つい、今しがた走ってウチにまで来ているのでエンジンは十分に温まっている。。。

で、、、普通にアイドリング音を聞いていると現車のタコメーター読みで750rpm前後→1100rpm前後→800rpm前後→1200rpm前後→650rpm前後→900rpm前後とインターバルは不定期だがアイドリング回転数が極端に上がったり下がったり。。。
正常な104系エンジン搭載の1995yモデルがこんなエンジン制御をする訳がないからコレは精検を要する旨をオーナーさんに歯に絹着せずオイラ節の毒舌説明。。。(笑)

すると、、、オーナーさん曰く「以前に診て貰った工場でこの症状はエンジン自体かミッションから来ているので最終的にはエンジンは載せ替え、ミッションも載せ替えで考える様だ。と、言われました。」って。。。😱

エンジン自体はタペット音も静かで現在見たところエンジンオイル漏れも無い。
勿論異音の類はしていない。。。
ATミッションも少々タイムラグが始まって来ているが此方も早期にO/Hしてやれば全然再生可能レベルだ。。。
しかも走行距離は未だ12万km台。。。
何でエンジン交換❓ATミッション交換❓

その前に診断機による診断は受けたのかと問うも、オーナーさんは記憶に無いと仰る。。。

流石に人情味が出てしまった寅ちゃん。。。
オーナーさんは大事にこの先も乗って行きたいと言うお気持ちがヒシヒシと感じ取れてしまった為に、「このまま乗ってたらミッションの死期も早まるし、エアコンシーズンになったら今度はエアコンシステムが突然フェイルセーフに入って突然エアコンが切れるトラブルが想定されるよ。怖いのは、渋滞とかでブレーキペダルを軽く踏んでいる時にいきなりアイドリングが天井知らずに上昇してエンジンの大きなトルクで前進してしまって前の車にオカマする可能性もあるからね。」と、告げて診断機での診断を了承して戴き早速診断機を接続。。。




おーらーっ❗️😤
TPM(スロットルアクチュエータ内のスロットルポテンションメータ)のエラーやん。。。
オマケに故障コードを解析するとTPMの信号をT/LLR(N4/3)が読んでない。。。
だからHFM(N3/4)モジュールでフェイルセーフの指示が出ているがフェイルセーフのアイドリングUPモードにも入りきれていない。。。
こんな大ボケ制御だから一応HFMから燃料カットの指示が出ているが実行された気配も無い。。。

完全な燃料とスロットルの制御不良‼️
M16/1→スロットルアクチュエータのエラーは入っていないのでHFMとT/LLRモジュールの修復で何とかなりそうやな。今のうちなら❗️

こんな制御不良を抱えた状態で対処も取れずエンジンごとだのミッションごとだの果ては車ごとだのと曰うお馬鹿な車屋がまだまだ沢山生息してると言う証拠やね。。。
反対にキャブ車ばっかやってたアナログ整備士さんはこの電気化過渡期の個体については「分かるトコに持ってけ❗️俺は無理❗️」と職人として実に正しい判断をされますが、、、

「ベンツやわ❗️儲かるわ❗️」と内心儲けの事ばっか考えている馬鹿な車屋はデタラメな高額診断をして大金を貪って結果、、、治らない。。。
とどのつまりは究極のセリフ「旧いんだからしょうがない。」の逃げ口上で終了‼️🎉

別にオイラは正義の味方じゃねーけど、外人ブローカーには「サターン」と呼ばれる時もあるけど、、、自分が学んで得た知識の範疇、技術的に経験値を蓄えたモノの範疇であれば出来る限りの手を尽くして完調に持って行ってあげたいと言う基本的精神なだけで他社が何を考えようが、何をしようが全くオイラには関係無い。
馬鹿ばっかの業界で馬鹿と競り合うと大馬鹿が伝染しそうで汚らわしい。。。(笑)
勿論、仕事を請けるか請けないかは選ぶけどね。。。ユーザーさんの態度如何で気に入らなきゃ即刻門前払い。舐めた態度にゃ付き合ってらんねえ。
「気が向かないのでやりません。」「飽きたんでやめます。」実に明確なお断りの理由でしょ❓(笑)
エコ贔屓大いに万歳❗️🎉
人間だもの。合う合わないは大いにあるでしょう。
だから、このユーザーさんは以前に戴いた電話の段階でオイラを大いにやる気にさせてくれたのでココまでデイープにお付き合いさせて戴きました。(笑)

で、、、昨晩早速。。。


















結局徹夜になっちゃったけど、結局は気持ちですよ。
ウチを最後の砦位に思って心から頼ってくれるユーザーさんを無下に断れんでしょ。

因みにこのユーザーさんはウチが大前提としている予約入庫のルールを特例(ってかたまたまウチが合間で暇だった。。。)で来社して今回の入庫となった特例です。(笑)

エンジン制御不調のままお帰り戴くのも忍びなく、勿論相応の予算が出ないのであれば仕方ありませんが今回はウチに興味を持って戴き真剣に治す事を求めてらっしゃったのでイレギュラー入庫にて施工をお請け致しました。
更に特例としてオーナーさんにはウチのマークX君を代車でお貸しして御帰還戴きました。

さて、本日はモジュール類を搭載してヘッドライトスイッチの交換です。。。

To Be Continued......



ASRのまた違った壊れ方のお話。。。

2021-03-05 10:10:00 | 日記
30年選手の毒車の故障。。。

コトにASR故障。。。

以前の当ブログでも色々なパターンのお話をしてますが。。。

最近少しずつ増えている新たなパターンのASR故障。。。

故障発生のプロセスとしては。。。

アクセル気合入れて全開→ASR作動のタイミングでガクンとパワーダウン。。。

「ASR」ランプ点灯。。。V12だと取り敢えずはフェイルセーフ状態で遅いけど走れる。。。

だけど、、、今まで定番だったフェイルセーフ状態とは違ってアクセルペダルのスロットルONポイントが奥に行かない。。。

119系のV8だとエンジン停止して再始動不可。積載車で♪ドナドナドナド〜ナ〜と、なる。

症状発生のプロセスはDASなどの診断機でほぼ想像がつきますが、、、

この時点で色々なエラーがメモリーされちゃってますけど最大の肝はGMモジュールの「F2オープン」と言うフォルトコード。。。

GMモジュールに挿さっている3本或は4本の赤いブレードヒューズの2番目、F2が断線と言うパターン。。。

このヒューズが切れるとV8モデルにあっては一個しか存在しないフューエルポンプリレーが動作しなくなるので当然にフューエルポンプが回らずエンジンはとってもサイレントになってまいます。。。

対してV12エンジンは左右両バンク独立制御な為、方バンク毎にLHモジュールが一基ずつ装備されているのでフューエルポンプリレーもパラレルダブルで装備されている構造な故、F2ヒューズ切れでは方バンクのフューエルポンプリレーが動かず、タコメーターの回転信号が入らなくなるだけなので取り敢えずは動けます。。。流石❗️大戦車‼️(笑)

V8の119エンジン搭載モデルにあってはこの時点でF2を交換すれば再び走れますが再びASRが効くシチュエーションになると再びF2が断線する可能性が高いので腫れ物に触る様に大人しく工場まで自走する必要があります。。。

さて、このF2ヒューズ切れの原因ですが当社も配線図面と睨めっこをした結果、、、10Aのヒューズが飛ぶ条件から絞ると。。。

「ASRが作動した際にF2が飛ぶ。」と、言う条件に限定される訳でASRさえ効かなければF2は飛ばない。。。

ってな訳でGMモジュールF2からデイストリビュートされている先の中でASRの動作システムを追うとASR作動時にヒューズが飛ぶショート状態になる可能性のある負荷を絞って行った結果。。。




ASR/ABSハイドロリックユニットが最後に残りました。。。


メチャメチャ硬いコネクターのスライドロックを解除して、、、


ハイドロリックユニット側の端子が顔を出します。

ウチの保有する資料からこのユニットで劣化ショートに至る可能性のあるソレノイド類やポンプモーターのリアクトル値(所謂抵抗値)を測定。。。

するとハイドロリックポンプモーターのリアクトル値が妙に低い。。。

設計値の起動電流は2.0A以下の筈が単純計算で起動時に27Aも掛かっている計算になる。。。間違いなくコレである。。。

この修理はASR/ABSユニット自体を車から下ろして大分解作業となる。。。

この故障が最近全国的に相談が多いところに故障物件に巡り会えずウチも経験が無かったが丁度ウチのW140 600SELお嬢がお約束の様にこの症状を発してくれたお陰様で良い研究題材となった。。。ある意味貴重な家族の協力ですね。(笑)

未だウチでも検証中な為に大々的に修理を請け負う事はしないが現在取り敢えずこのハイドロリックユニットについて調査をしたところ、、、






品番 002 431 4412 が、1991年〜1994年(一部1995年上半期)までのASR付きV8,V12モデルに採用されていてW124,W140,R129共用となる。。。

因みに現在部品での供給は品番 002 431 4512 になって本国在庫による対応である。
お値段は税別1,290,000円也である。。。😱

既に毒車の個体数も僅少な故に解体屋さんにも中古部品の在庫が品薄で当社も研究用に中古ユニットを入手するのに非常に苦労した。
又、毒車が全盛期にこんな安全装置のハイドロリックユニットが故障する何て話は僅少だった為に解体屋さんもいつまでも在庫せず輸出或は廃棄してしまったと言う裏話もある。。。




今回の故障ケースは完全なる電機パートの故障であるが此方も故障箇所の部分の検討は大方ついている。。。

後は分解してみて全体的に保証出来る位のリビルトが可能かどうかと言う判断になりますな。。。

まあ、安全装置についてはかなり重きを置いて設計している毒な国のコスト度外視製品ですからリビルトが可能な構造であると考えられるのでモーター如きで廃棄は考え難いのでじっくりと取り組んでみますかな。。。