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桔梗おぢのブラブラJournal

突然やる気を起こしたり、なくしたり。桔梗の花をこよなく愛する「おぢ」の見たまま、聞いたまま、感じたままの徒然草です。

有朋自遠方来 不亦楽

2009年10月23日 23時31分46秒 | つぶやき

 落ち葉の舞い散る季節になりました。
 私の身体の中でも落ち葉が散り始めたものか、突然の変調に襲われました。
 十日も前のことですが、体育の日の翌朝、いつもどおり出勤に及ぼうとしたとき、駅間近になって、急に身体がだるくなったのです。

 ??? という状態でプラットホームへ。
 電車通勤はわずか三駅なので、いつもなら席が空いていても坐ることはありません。が、この朝は無性に坐りたかった。しかし、こういう朝に限って、空席がない。
 吊り革にぶら下がるようにしていましたが、次の駅に着くまでのわずか数分が我慢できません。たいしたものを入れているわけではない鞄が物凄く重く感じられて仕方がない。
 次の駅(新八柱)でドアが開いた瞬間、私はフラフラとプラットホームに降りていて、ちょうど真ん前にあったベンチにへたり込んでいました。
 瞑目することしばし……。気がつくと、額にはジットリと脂汗を浮かべています。

 膝の上に抱えた鞄に携帯電話を入れていました。勤め先へ連絡しなければ、と思うのですが、鞄を開けることすら億劫なのです。
 と同時に、頭をよぎったのは、三日後の金曜から日曜にかけて、関西から友人が訪ねてくることでした。
 突発性の変調だとしても、電車の中で立っていられないというような症状は初体験で、やがて元に戻るとしても、数日で恢復することはむずかしいかもしれない。折角の機会なのに、一緒に酒を呑んだり、街を歩くことはおろか、下手をしたら病院で会う、ということになるかもしれない。

 私は二十七か二十八の歳にひどい風邪をひいてから、現在(六十二歳)に到るまで、検診を除いて医院を訪ねたことがありません。
 到って健康ということになるのでしょうが、十七の歳から煙草を吸い(それももっともヘビーな部類の煙草飲酒も欠かさないので、自身では心身ともに健全という自覚はありません。しかし、風邪をひくことはあっても、寝込むようなことはほとんどなく現在に到っています。
 そこへ鬼の霍乱のような不調です。

 前日、寝不足だったということはないのに、無性に眠いのです。
 結果を先にいってしまうと、一旦家に引き返して二時間ほど眠ったあと、再出勤したものの、どうにも調子が悪く、三時前に早退しました。

 とにかく眠くて眠くて仕方がないので、病院には寄らずに庵に帰り、すぐ横になって、しばらく眠ったら病院へ、と思っていたのに、目覚めてみたら午前三時半。
 わりと心地のよい目覚めでした。何か幻でも見たのではないかと思って起き上がろうとすると、調子の悪さが戻ってきて、ウッウッいかんと、そのまま横になったら、またウトウト……。

 朝になって目覚めたとき、また起き上がるとおかしいのではないかと警戒しながら布団を抜け出しました。
 夜中は立ち上がった途端、こりゃダメだという状態でしたが、朝になってみると、そんなことはない。なんだかわからないが、一過性の変調に襲われたのだと考えました。
 で、普段どおりに出勤しましたが、庵を出た途端にまたまた変調です。
 駅まで歩く十分が非常に長く感じられました。いつもなら休憩したいなどとは思わないのに、その日は改札口を目前にして、駅前のベンチにどっかりと腰を下ろしてしまいました。電車を二本やり過ごし、出勤先の道でも休憩二度。遅刻三十分。

 息切れするといっても、腰掛けて数分休めば元に戻ります。否、戻ってはいませんが、立ち上がろうという気にはなる。ただし、立ち上がってしばらく歩くと、また腰を下ろしたくなる。

 調子は決してよくないけれども、仕事ができないという状態ではないので、極めて平静を装いながら仕事をしていると、終わるのは八時近くになってしまいます。
 この時間に診療してくれる医療機関はありません。初日のような辛さはないので、まあ、様子を見ながら、と思いながらトボトボと家に帰りました。
 そうして水曜日木曜日と低空飛行をつづけながら、友人がやってくる金曜日を迎えました。

 夜八時 ― 。
 勤めを終えて、新松戸の駅で会いました。
 体調は心配していたほど悪くありません。飯も食いたくない、酒も呑みたくない、という状況に陥るのではないかと心配でしたが、適当に腹は減っており、少しぐらいなら酒も呑めそうです。

 友人と書きましたが、会うのは二度目です。
 六十年も生きてきて、まずもって経験のなかったことですが、わずか二度目なのに、二度目という感じがしない。前から交友関係があったような錯覚があるのです。
 といって、すごく古い付き合い、というのでもない。不思議な関係ですが、友人も同じように述懐していました。
 食事を済ませて私の行きつけのバーへ。

 火水木の三日間、家に帰ればひたすら眠る生活で、まともな食事はしていないし、酒は一滴たりとも呑んでいませんでした。
 これまで風邪をひいたりして一日か二日、酒を呑まぬという日はありましたが、三日間も呑まなかったというのは記憶にありません。
 恐る恐る呑みました。そのバーではアイリッシュウィスキーしか呑みませんが、いつもはいきなりダブル。しかし、この夜は警戒してシングルから……。
 ウィスキーを味わうというより、異常を起こさぬかどうか、疑心暗鬼という感じで、ろくろっ首が油を舐めるみたいにペローリペローリ、と。

 思ったより調子はよいようです。三杯呑んで腰を上げ、さらにもう一軒だけハシゴして、友人が投宿するホテルの部屋に行きました。
 そこで友人がママになり、臨時のバーを開店するという段取りでした。前もってバー開店の招待状ももらっていました。



 友人から私へのお土産その一です。こんな重いものを、はるばる関西から持ってきてくれました。

 早速いただくことになりました。チビリチビリとやりながら、話も弾んで、愉しいものだから、時の経つのも忘れます。
 しかし、なにせ私は病み上がり。いつの間にか時計は十二時を廻っていたのにも気づかず、話に花を咲かせておりました。
 三時近くになったので、ようやくバーも閉店です。

 病み上がりなのに、いきなり夜更かし、深酒、加えて午前様。
 友人の滞在中、翌日翌々日と立てていた計画があるのですが、いきなり無茶に及んで、どうなりますことやら……。〈つづく〉