いまの時節の日の出は五時半。
五時というと、まだ真っ暗です。そんな時間に街灯のない富士川べりを歩くと、見えるのはせいぜい2~3メートル先ぐらいまで。すれ違う散歩人も、いきなり、という感じで目の前に現われるので、びっくりしてしまうことがあります。
五時を過ぎると、うっすらと明るくなってきますが、車の下とか門の陰などはまだよく見えません。それでも、なんとなく何かがうずくまっているような気配が感じられるので立ち止まり、じっと目を凝らすと、これまで見たこともなかった猫殿だったりします。
坂川近くへ蒲(ガマ)の穂を見に行きました。去年のいまごろ、偶然通りかかって見つけたのです。
ついでに(といえるほど近くはないのですが)、一か月以上も間を空けているので、野良猫の黒介が棲む天形星神社へ足を延ばしました。
幸田橋(こうでばし)で坂川を渡って流山市に入ります。
橋上から上流を眺めたところ。右(左岸)が松戸市、左が流山市。
幸田橋から五分ほどで目的の湿地帯に着きました。坂川までは直線距離で400メートルばかりありそうですが、湧き水でもあるのでしょうか、湿地帯になっていて、蒲が生えているのです。
この湿地帯を過ぎると、坂川右岸は台地となって、目測ですが、標高差は7メートルほどあります。
何本かは爆ぜていました。この場所を含めて、ごくごくたま~に蒲の穂を見かけると、どんな感触なのか触れられないものかと思うのですが、どこも沼地になっているので近づくことができません。
蒲が生えているところから台地に上って行く途中に無住の円徳寺の墓地があります。彼岸花が咲いていました。
台地を上り、しばらく歩くと、道はまた下りになります。坂川の支流・八木川があるのです。その途中で家鴨を見かけました。
まわりは里芋畑と葱畑で、湿地があるとは思えないところにも蒲の群生地がありました。
天形星神社前の植え込みの陰に黒介がいました。
ここへくるのは一か月に一回程度なので、顔を合わせるだけでは、私が私であるとはわからないようです。
トートバッグからドライキャットフードのミオを詰めたタッパーウェアを取り出して、カシャカシャと音をさせると……。ようやく思い出したようで、馬でいうとギャロップの速さで近寄ってきました。
黒介はまぎれもなく野良なので、一か月に一度といわず、一週間に一回ぐらいはきてやりたいと思うのですが、我が庵から片道四十分以上もかかりますから、おいそれときてやるわけにはいかないのです。その代わり、行けるときはタッパーウェア二つにドライキャットフードを詰め込んできます。
ドライキャットフードを置いて神社に参拝し、戻ってくると、満腹になったのか、少し食べ残して姿を消していました。
黒介がまた腹を空かせるより、蟻の餌食になるほうが早いかもしれませんが……。
三月の大地震で、境内に三対六基ある燈籠は一基を除いて倒壊しました。一か月前にきたときはまだ修復されないままでしたが、無事修復されていました。
岩本石見守を祀った石見様の燈籠も修復されていました。
五日前に上陸した台風15号のせいでしょうか。もう銀杏が落っこちていました。