細田暁の日々の思い

土木工学の研究者・大学教員のブログです。

未熟な研究者

2012-11-04 11:07:02 | 研究のこと

11/2(金)は日帰りで京都へ。この日はいくつかの予定がバッティングしていたのですが,いろいろと考えた末に,京都へ行くことにしました。

発表も座長の仕事も無いのですが,コンクリート構造物の補修・補強・アップグレードのシンポジウムに参加。このシンポジウムは,構造物の劣化や維持管理についての貴重な情報が効率よく勉強できますので,数年前からなるべく参加するようにしています。今年は残念ながら発表できませんでしたが,来年はぜひ複数の論文を投稿したいと思います。

維持管理の電気防食などについては,発表を聞いていてもよく分からない専門用語が出てきます。ということはまだまだ勉強することがある,ということです。同じように,建設マネジメントの分野も,分からないことだらけ。

ものは考えようですが,将来,維持管理やマネジメントの分野に研究活動を展開していこうとしているつもりですが,勉強すればするほど伸びることが可能,と捉えています。これは「未熟」であることの特権です。

シンポジウムの後,関西の共同研究先の企業と打ち合わせ。コンクリート電柱について共同研究を重ねてきています。

担当学生の修士2年の学生は,私の求めるレベルまで作業が到達しておらず,ギリギリの状態で準備してきたパワーポイントで説明を開始しました。企業と契約を結んでの共同研究なので,学生にとっては大きなプレッシャーになっているかと思います。

シンポジウムの会場の座談スペースでの簡易な打ち合わせでしたが,私にすれば,この打ち合わせには以下の目的を持たせています。

・このような打ち合わせを設定することで,学生は締切りに合わせて最大限の努力をする。
・共同研究先に,年度内にそれなりの成果が出てきそうであることをPRする。
・この打ち合わせの場も「指導の場」であることを出席者に公言し,学生の説明をときどきストップさせて,リアルタイムで「指導」しながら,研究を前進させ,それを企業の方にもみていただく。
・学生も,事前の準備は大変だったであろうが,緊張した打ち合わせの場での指導でブレイクスルーも経験し,その状態を企業の方にも見ていただけることで安心し,今後への大きな自信となる。

結果,事前はこの打ち合わせに対して,皆がそれなりに不安を感じていたと思うのですが,終わった後は皆が満足していました。企業の方々も喜んでおられて,その後の懇親会では「すごい指導を見させてもらった」とか「来年以降もぜひ一緒に続けたい」という話になりました。また,懇親会でもいろいろとアイディアが出て,12/5(水)には兵庫県の播磨工場にみんなで集まって,ある調査を行うことに決まりました。

11/2(金)は,私がキャンセルした新潟県のイベントでも有意義な交流があったようです。山口県の取組みと北陸の取組みが情報交換し,被災地の復興道路の品質確保にもつながっていく大きな流れです。こちらの情報は自然に私には入ってきますので,今回はお任せすることにしました。

全体の動きを見ながら,常に自分の出来うるベストの行動をとる。それの連続で,未熟な研究者でも少しずつステップアップしていけます。