細田暁の日々の思い

土木工学の研究者・大学教員のブログです。

中国地方6泊出張中の論考(2) 鞆の浦塾

2015-09-18 13:47:04 | 研究のこと

9月11日、12日と鞆の浦塾(とものうら塾)で、講師を務めました。

鞆町を舞台に、地域づくり、地域共生、地域を育てる介護、を実践的に学べる、さくらホームのプロジェクトです。

私の担当は以下のポスターに示されています。鞆の浦塾の女子塾生たちが作ってくれたそうです。



初日の夜の講義は、「世界から見た日本の問題点」というお題をいただき、なかなか難しかったですが、今の私に提供できるベストの講義をしたつもりです。

キーワードは、東京一極集中、と、全体主義、でした。日本の各地で素晴らしい取組みが行われ始め、連鎖もし始めていますが、やはり国の大きな方向性が正しくなければ、この国は続きません。国の進むべき正しい方向はあるので、それをなるべく多くの国民が認識し、その方向に進むため戦う人たちも必要だし、その大きな流れの中で、各地域の素晴らしい取組みが連鎖していく必要があります。国全体の大きな方向が変わるためにも、草の根の連鎖が必要である、と私は思っています。

夜の講義は楽しんでいただけたようでよかったです。

翌日の12日は、国も個人も進むべき方向は分かったとして、どのように実践するか、を防災をテーマに勉強しました。

とにかく一歩です。一歩進めるようになれば、いつのまにか十歩も百歩も進めるようになります。

鞆の防災力を高めていくためにできることは無数にありますが、その中でも自分たちにもできる「家具固定」がテーマの一つ。もう一つは、鞆でリスクの極めて高い「土砂災害」です。

下は、実際の民家で実施した家具固定です。壁の強度が十分ではないので、この固定では十分ではないので、今度の5連休の間に補強します。



2時間の講義の終盤には、実際に鞆のまちを歩きました。土砂災害の危険個所をいくつか一緒に回り、現在の避難場所がどのような条件のところにあり、決して安全ではないことも現地で確認してもらいました。



鞆で最も有名な沼名前(ぬなくま)神社のすぐそばにも、砂防堰堤があり、現実に昭和47年に土石流が発生し、大被害が出ています。地域をまもってくれるインフラの状況も皆で確認しました。土砂が溜まっている砂防堰堤もあり、皆で土砂をさらおうか、という話も出始めています。



二日間の講義は私にとってもややハードルの高いものでしたが、楽しかったです。夜は、さくらホームの羽田冨美江さん、家具固定を手伝ってくれた二人の若者と一緒に懇親会。大変に楽しいおしゃべりでした。この国、地域を良くしていきたい、と心から思っている方々との語らいほど楽しいものはありません。





このような、みんなで地域をよくしていく場を創りつづけるさくらホームは本当にすごいと思います。鞆の浦塾は今年が初年度で、もうすぐ今年度の塾は終了しますが、来年以降も続くことを願っています。塾のマネジメントをしている羽田知世さんもすごく楽しそうで、19日から21日の秋祭りの準備を地域の方々と一緒に進めていました。私も、鞆のような素晴らしいまちの仲間に入れていただき、本当に感謝しています。単純に楽しいから通うのですが、土木工学に携わる大学の人間として、私にできることもたくさんありますので、今後も粘り強く参加し続けたいと思います。