創刊以降、もちろんすべて購入し(定期購読してますので)、ほとんどの文章に目を通して勉強させてもらっている、表現者クライテリオン、ですが、今月号の『「令和」への建白書ー新時代を切り拓く国家戦略の提言―』は、特に素晴らしいと思います。新時代のための前向きな提言なので、より魅力的に映るのかと思います。
その中に、「社会有機体主義」という考え方が紹介されています。人間の体も有機体で、様々な臓器や細胞等が複雑に連携して、支え合って、私という一個の人間が成り立っています。社会も同様のはずなのに、性急に、十分な理解もなしに、「これは無駄だ、削除しよう」「役に立たなそうに見える学問分野は縮小して、選択と集中で行こう」などというバカげた幼稚な改革行動がまかり通る低レベルな社会に成り下がっています。
何が無駄で、何が役に立つか、などそう簡単には分かりません。
私も、自分が責任を負ってきた、研究室運営においては、一見無駄に見えるようなことも積極的に取り入れてきたし、個人の快適性のみを追求するような環境設計にはなるべく陥らないように、毎年の結果を見ながら、様々なバランスを勘案しながら、実践してきました。
自分も精一杯生きていますが、組織も社会も有機体ですので、当然に様々な方々に支えられて生きています。
4月、そして平成が終わろうとしていますが、改めて、私は多くの素敵な方々に支えられて生きていることを実感しています。
私と一緒に研究に取り組んでくれている学生、研究者・技術者・実務者の方々にも本当に恵まれています。その方々なしに、私の研究活動など成り立つはずもなく、有機的なチーム、組織の中でこそ、私の役割も生じるし、私の個性や能力も活かされることになります。そのことを決して忘れてはいけません。
年齢を重ねると、いろいろな仕事が生じ、大学運営、マネジメントの仕事も増えます。一方で、現場の教育者・研究者でもあり続けますので、時間をどう使うか、がさらに難しくなります。いつまでも至らない研究者としては、現場の最前線に立ち続けるためにも、勉強を重ねる、勉強のレベルを上げる(自分なりに)、という基本を実践し続けたい、と思っています。
@新千歳空港の、きくよ食堂にて