細田暁の日々の思い

土木工学の研究者・大学教員のブログです。

秋の国内行脚

2022-09-21 07:31:43 | 研究のこと

始まる前はどうなることやら、と多少の不安も感じた怒涛の一ヶ月が、一応無事に終わりました。

8/22から約一ヶ月、全く休みの無い状況で国内外を動き回りました。ようやく9/20(火)に一息付けました。

9/13以降も研究で動き回りましたので、その足跡をしるしておきます。

9/13(火)は埼玉の桶川からタクシーで20分ちょっと行ったところにある、G&Uという研究所で実験。この研究所にも結構な数で通っています。重錘の落下試験を行うことができ、首都高と共同研究を続けている鉛直PC鋼棒の破断突出対策の研究で、様々な実験を行っています。今回は透明な板で破断突出の対策を検討するための実験でしたが、大変に面白い結果が得られ、今後の研究・実務に活用されていくと思います。午後は、土木学会コンクリート委員会の複数の会議に、研究所の会議室を借りてオンライン参加。夜は、翌日に備えて富山県に移動して泊。

9/14(水)は、今年度から始めた富山県内の自治体の橋梁を対象にした維持管理システムの改善の研究。年度当初は、私の中にぼやっとあった維持管理システムを改善していくための方策群が、新日本コンサルタントとの共同研究での議論を通してかなりクリアになってきました。ビジョンはクリアになってきましたが、それらを現場で実践しないと本当には分かったことになりません。この日は、現実の複数の橋梁を訪れ、それらを実際に点検するとなったら、どのように合理化できるか、を具体的に議論しました。現在の日本のシステムのルールの中で出来得る合理化と、今後、ルールを変更することも含めて、ベストと思う合理化を議論しました。

午後は、実際に橋梁のフィールド提供をしていただくために、自治体の担当者に挨拶に行きました。コンサルが事前に説明はしてもらっていましたが、私の言葉でもしっかりと説明し、担当者は「チャレンジしてみたい」と言ってくれました。市の責任者がどう判断するか、ですが、ぜひチャレンジいたしましょう。

その後、翌日に向けてかなりの長距離移動。新高岡駅から金沢まで新幹線。金沢から特急サンダーバードで新大阪へ。駅で夕食を食べて、今度は特急くろしおで、紀伊田辺まで移動。和歌山の大雨で電車も遅延しましたが、何とか紀伊田辺まで到達して就寝。

9/15(木)は、近畿地方整備局の建設する、和歌山の紀南河川国道事務所発注の、すさみ串本道路のトンネル現場を二つ訪問。段取りしてくださった大阪工業大学の三方先生、元東北地整の佐藤和徳さんとともに訪問。我々が積み重ねてきた、施工状況把握チェックシートと目視評価法を活用した品質確保の試行工事の現場2つでした。大変に優良な品質確保の取組みがなされており、監督官や施工者との議論も大変に活発になされ、時間が足りないくらいの状況で二つの現場の視察を終えました。もはや、試行工事に留めておけない状況になっており、これは土木学会示方書の改訂作業とも関連する話ですが、正式な制度として定着するよう、新たなチャレンジが始まっており、これには私も全力を注ぐつもりです。

視察後、くろしおで新大阪へ移動して、懇親会(私はノンアルコール)をして就寝。

9/16(金)は、京都大学での土木学会の全国大会に参加。久しぶりに私自身も7分の発表をする役割があり、朝一番のセッションへ。何だか人が多いなあ、と思っていましたが、その混和剤のセッションの会場はほぼ満席。立ち見も少しいました。私の知っている顔が結構多かったので、全国大会で細田が発表する、というのを興味本位で見に来られた方々も結構おられてようです。長瀧先生もおられました。

スランプ保持性と適切な凝結遅延性を有する化学混和剤を使いこなして、暑中コンクリートの品質確保をする、特に35℃を超えるコンクリート温度の領域に踏み込む研究ですので、注目度も高いのかと思います。私の7分の発表の中では、示方書の改訂作業の状況も説明しておきました。有意義な情報発信ができたものと思います。

発表を終えて、大学で修了式があったため、急いで京都駅へ移動して、のぞみ号。新横浜駅からタクシーで大学へ向かい、何とか修了式が終わった直後の写真撮影の時間に間に合いました。教え子たちが博士号を取得したり、という大事な修了式で、教え子たちも私の到着を喜んでくれました。生涯に渡っての関係ですので、大事です。

9/17(土)~19(月)はすべて、終日、市ヶ谷の会議室にて、土木学会のコンクリート標準示方書の施工編の改訂作業。改訂原稿の初稿の締切が9月末のため、会議を集中的に重ねています。今回は私は施工編の改訂の幹事長の立場です。今回の改訂の主査の岡山大学の綾野先生の獅子奮迅の働き、ご見識から、私も数多くのことを学ばせていただいています。歴史と伝統のある施工編の改訂は、並大抵の見識や実力では対応できないと思いますが、今の私もまだまだ力不足で、毎回の会議から多くを学ばせていただいています。膨大な時間を取られますが、それに見合う価値があると思い、今後、さらに上の立場で関わる際にも力を十分に発揮できるよう、学びたいと思っています。もちろん、今の私にできる貢献はしっかりといたします。

というわけで、8/22から29日間、怒涛の国内外の行脚が終了いたしました。

9/21(水)は土木学会の弁論大会に弁士として登壇します。準備時間は限られていましたが、私なりにベストを尽くしたつもりです。弁論の内容も、終了後にブログで公表しますが、今の私の偽りのない気持ちです。出し切るつもりで頑張ります。。。