11月の初旬も早、終わろうとしています。土木史の講義も昨日で5回目が終わりました。東日本大震災の2011年に始めたこの講義も早、8年目です。今年は、学生以外のゲストも少なくなく、5回中4回を聴講いただいた、絵本の編集者の方もおられます。現在、コンクリートの絵本の執筆作業も進んでおり、昨日は講義後に絵本の打ち合わせも行い、ストーリーと文章が大分固まってきました。多くの子どもたちやその親の方々に読まれると思うので、ほとんどの人が知らないコンクリートが少しでも知られるよう、努力を続けたいと思います。
さて、ここ数年の恒例のパターンで、土木史の講義の初回(10月9日)には講義室があふれかえるので、最初はケンカを売ります。初回の講義で数回、衝撃を受けた学生もいたようです(レポートによると)。私は明確な?作戦をもって講義をコーディネートしていますので、ケンカ戦法ももちろん作戦のうちです。
初回はイントロダクション、2回目はトンネル、3回目は橋梁。4回目が都市の巨大化と環境問題。そして、昨日の5回目は高速道路と空港の発展、がテーマでした。毎年、第4回目の環境問題辺りから、当事者意識が芽生えだす学生が少なくありません。
経済を抜きにして社会を語ることはできないので、経済に関する情報、トピックも初回からふんだんに盛り込みます。
政治、経済、哲学、歴史、文学、工学、土木工学、等々、視野を広範に拡げて、でも土木史を核に据えて、講義を展開していきます。
きちんと数えていませんが、250名くらいの学生に毎回A4一枚のレポートを書いてもらい、すべてに目を通して翌週に返します。必ずタイトルを付けてもらって、論文を書いてもらっています。私との対話でもあるし、彼らの自分自身との誠実な対話でもあります。最初は私のことをなめていた人たちも、さすがに5回目辺りになると、私の本質も分かってくるようで、大半の方々は諦めてこの講義中だけでも「本来的人間」「非大衆」たろうと努力を始めます。
レポートの中の注目すべき記述や私への重要な質問等をPPT3枚に集約して、次回の講義の冒頭で紹介します。これを始めたのは数年前ですが、やはりこの効果が大きいようです。自分たちのレポートをこの教師は真剣に読んでくれている、と感じるのでしょうし、他の学生が何を考え、何を感じているのかを共有できる契機にもなっているようです。250名程度のマンモス教室でも、双方向の授業は成立しています。
毎年、私も経験を積んだり、勉強を重ねたりしてパワーアップしてこの講義に臨みますが、今年は、藤井編集長の「表現者クライテリオン」が創刊されたこともあり、私もさらに知識を増やして、俯瞰的に論じたり、講義をコーディネートできるので、講義のクオリティも上がっているかと思います。
我が国が根底からダメになっていっている根幹的原因の一つが実は消費税なのですが、可能な限り多くの方々にこちらも読んでいただくことが、この国が良い方向に変わる大きなきっかけになろうかと思います。私は通勤の合間に一日で読了し、昨日の土木史の講義でもエッセンスを紹介しました。すぐに読めますが、消費税のあまりのマイナスの影響の大きさに愕然とします。そして、本来の税制のあり方はどうあるべきかも論じられており、勇気づけられます。
来週の第6回目は、自然災害の克服、がテーマです。講義の骨格はできていますが、どのようにアレンジしようかしら、楽しみ。
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