「マンホールと日本の強み」 大河原 知也
私は都市基盤の必修科目である測量学実習の時に感じたことがある。それはやたらとマンホールがあることである。特に下水。この授業では土木棟周辺を測量して地図を作成するのだが、私たちの班では二つもマンホールを見落としてしまった。そのため雨の中再測を行ったのを鮮明に覚えている。そして地図作成にあたりマンホールを種別に記号を付けていくのだがそのほとんどが下水のマンホールであった。街中を見渡しても多くのマンホールが存在する。雨天時には足を滑らせてしまい「何でこんなにマンホールがあるのだ」と思うことは多々ある。しかしマンホールには計り知れない魅力も詰まっている。
まずマンホールの存在意義についてである。マンホールとは「man」(人)と「hole」(穴)を組み合わせた言葉であり人孔という訳語が存在する。マンホールは人工的に設置された穴であり、地下に張り巡らされている下水道をはじめとした管を点検するために存在している。マンホールがたくさんあると感じるということは多くの管が地下に埋蔵されていることを意味する。地下という私たちの目に見えない部分もマンホールの数から多くのインフラが通されていることを理解することができる。マンホールの蓋が丸いのにも理由がある。それは蓋が落ちてしまわないようにするためである。もし蓋が四角ければ対角線の方が長いために蓋が落ちてしまうかもしれないのでそのようなちょっとした気遣いも存在する。マンホールはれっきとしたインフラなのである。
日本のマンホールはとても優れている。それは機能性ももちろんであるがデザイン性にも優れているからである。多くの外国人観光客はマンホールの蓋のデザイン性に驚かされる。日本のマンホールにはご当地のPR的なデザインになっているものが多い。その地域のシンボルであったり出身の漫画家のイラストが入れられていたりと様々である。このような動きのきっかけはマンホールのイメージ改善からである。マンホールは地下の下水道の汚い、臭いといったあまり良くない印象を持っていたが、デザイン性を高めることでその魅力的なものへと変化させることに成功した。そして地域のPRへと繋がっていった。全国各地にある魅力的なマンホールを追いかけるマニアが存在しマンホールを目当てに訪れる観光客も存在する。またマンホール聖戦といったイベントまで行われている。マンホールにより多くの経済効果を得ることができている。
以上のことよりマンホールは本来の役割以外にも多くの効果をもたらすインフラであることを忘れてはならない。また、日本のマンホールは世界と比べてとても優れたものである。海外にも多くのデザインマンホールが存在するが日本ほど凝ったものは多く存在しない。ここが日本の武器なのではないかと思う。マンホールは本来の役割を果たせれば十分であるし、余分な努力をする必要なんてないと考えるのが普通である。しかし日本人は違う。それは細部までこだわるという日本人が長い歴史の中で積み重ねてきた文化的特性を生かした強みである。日本には確かに海外に比べて遅れを取ってしまっている面はたくさんある。その事実は重く受け止める必要はあるが悲観的になりすぎる必要は絶対にない。日本には日本のやり方がある。そのやり方で強い国を目指していくことが大事である。
参考文献
日本人はなぜマンホールの美しさにこだわるのか?
https://livejapan.com/ja/article-a0001528/
第4回#マンホール聖戦「全国出陣祭り」
https://www.guardians.city/
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