「土木史と技術者倫理」は12回が終了しました。もうほとんど終ってしまい、あと2回で終わりです。
古代から現代まで、日本と世界を対象にした文明史ですから、それこそ人類の歴史そのものがターゲットです。
15章で構成された合田先生が書かれた教科書を使いますので、基本的な情報はあるわけです。ですが、私が教科書だけを使った講義などするわけがありません。私の持てる情報をフル活用して、合田先生の教科書も有効に活用しながら(予習しておくことが前提)、学生が歴史、土木、日本、世界に興味を持ってもらうために全力を尽くしています。講義を開始する前は、これだけ広範囲の内容について、毎回本当に面白い情報を提供できる引き出しが私にあるだろうか、とやや不安にも思っていました。が、ここまで12回、心から聞いてもらいたい、見てもらいたい情報ばかりで講義を構成することができました。
毎回、レポートを書いてもらって、次回に返却するのですが、学生たちのレポートが本当に面白い。中には私への手紙みたいになっている方もおられますが、対話ですから結構です。
とにかくうれしいのが、学生たちが本をたくさん読むようになったこと。司馬遼太郎を片っ端から読んでみたい、とか、ローマ人の物語を読み始めたとか読破したい、とか、その他にも数え切れないくらい本や作家を紹介しましたが、皆さん本当に読書に目覚めて、楽しんでくれているようです。昨日は、シャーロックホウムズや、トムソーヤの冒険まで紹介しちゃいました。とにかく心底から興味を持ってもらいたいので、手段を選びません。
また、歴史や世界史などに興味を持ったことに学生自身が驚いている、という記述がレポートに多く見られます。これもとてもうれしい。日本の学校での歴史教育って何なのでしょう。受験のシステムが諸悪の根源とは思いますが、それにしても、ほとんどの日本人が歴史に興味を無くすこの学校教育とは何なのだ。歴史のプロでも何でもない私が、100名の学生をたった10数回の講義で覚醒させているのである。学校教育でずたずたにされた興味を、たった10数回で育て上げようとしています。覚えることが大事なのではなくて、心からの興味を持たせることが教育なのです。日本全体が考え直した方がいいね。
もうこの講義の目的はほとんど達成したと思いますので、あと2回は気楽に行きます。とりあえず、38歳の現時点で、これ以上の講義を提供することは私にはできません。心からベストを尽くしたと思えます。
この講義が今後、どうなっていくか分かりませんが、私もこの講義とともに成長していきたいなと思っています。
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