シャープ & ふらっと

半音上がって半音下がる。 それが楽しい、美しい。
思ったこと、感じたことはナチュラルに。  writer カノン

京都で写経

2022-05-03 13:50:47 | 神社・仏閣

GW。 京都で念願の写経をした。

 

写経。

言うまでもなく、心を落ち着かせ

筆で般若心経を書くという精神修行のひとつである。

般若心経は、実はすべて唱えられる私だが、

写経の経験は一度もなかった。

どうせなら、京都の寺でやってみたい。

その願いが叶った。

 

建仁寺。

臨済宗・栄西が開山した大本山である。

1202年、建仁2年に開創されたところからこの寺名になった。

清水寺や金閣寺といった観光名所ほどではないが、

京都最古の禅寺として有名である。

 

建仁寺は広い境内で、京都らしい威厳を保った寺だった。

受付で写経をしたい旨を言うと、

紙と筆ペン、見本に文鎮、ミニ電気スタンドを一式渡され、

写経道場なる部屋への案内図を持ち、その場所へ向かった。

 

GWだし、混んでて何時間も待つようだったら諦めようかと思ったが、

なんと私がこの日の最初の体験者らしく、

道場には誰もいなかった。

正座だと思っていたら、きれいな机とイスが用意してあった。

席は10席ほどの部屋だった。

 

「寒い部屋ですが、我慢して下さい」と受付で言われていたが、

それよりも、暗い部屋で文字が読み取れないほうが難儀だった。

薄く書かれてある般若心経を上からなぞるだけ、というもので

たいがいの寺の写経はこのタイプである。

しかし、その文字がはっきり読み取れない。

 

最初は丁寧になぞる事に集中したが、

三分の一くらい書いた所で40分ほど経過した。

だいたい全文書いて60~70分くらいとあったので、

時間を気にしながらになった。

 

ただ、そこからはなぞる事よりも

綺麗な楷書で書く事を心がけたら、割りとすんなり進んだ。

仕事で筆字を書くことも多いので、

途中からは普段の感覚で綴ることに専念した。

 

途中で親子連れが入ってきて書き始める。

お母さんと中学生くらいの娘さんだったが、

娘さんのほうはやはり、「字がわからない」と言いながら書いていた。

 

書いていて気づいたのは、

般若心経に一番多く出てくる文字は『無』であるようだ。

逆に最後のほうの『ぎゃてい』の字などは、般若心経以外でお目にかからない。

薄い下書き文字で、たしかに字がわからない。

 

とりあえず文字の間違いだけは気をつけて、なんとか書き終えた。

結局90分かかってしまった。

最後に願い事と名前、日付を書く。

『無病息災』と書いて、生まれて初めての写経は終了した。

 

書いた般若心経は、そのまま建仁寺に納められる。

それだけでも、大変な格式のある体験だ。

両親ともにいなくなってから、初めて訪れた京都。

京都が好きだった両親へ、少しだけ落ち着いた挨拶をする事ができた。

 


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