卒業式の季節である。
私の知り合いの高校生も、明日が卒業式。
まだ冬の寒さだというのに、 別れの春は、早くもやって来る。
どうしても、思い出話を書きたくなる。
いや、彼女が「書いてほしい」と、 27年前に私を連れ戻している。
高校の卒業式。 「彼女」は、クラスメート。
昨年10/6の日記、 『27年前の合唱コンクール』で触れた、 伴奏者の子だ。
コンクールは2位に終わったが、 その後、彼女への想いはより一層強くなった。
しかし、お互いに受験があった。
あまり会話もすることなく、 残り少ない高校生活は、ただ過ぎていくだけだった。
やがて二人とも、志望校に合格した。
しかし、それはもう、 これ以上近づけないことを意味する。
卒業式は、3月13日だった。
暖かく、やわらかな陽差しの中、 私達は卒業証書を受け取った。
教室に戻る。 担任の先生は、男の音楽の先生だった。
3年間で、一度も怒ったことのなかった先生は、
この最後のお別れの日も、 穏やかな表情で語りかけた。
「社会に負けないでほしい。自分を見失わないように。 君達らしく、明るく頑張ってほしい」
すすり泣きの声。 そして、卒業証書と花束を手に全員教室を出る。
私は、そこで彼女をつかまえる。 「話がある。ちょっとの時間いい?」
そのまま屋上に行く。 そして、私は打ち明ける。
「好きだったんだよ、ずっと・・」
彼女が答える。 『うん、わかってたよ・・。ありがとうね』
そして続ける。 『その優しさと情熱を、ずっと忘れないでね』
私も返す。 「ピアノを続けてほしい。 コンクールの思い出のためにも。
そして俺のためにも・・」
私の中で、 卒業と聞いて一番に思い浮かぶ曲は、ユーミンの「卒業写真」だ。
私達の頃は、写メもデジカメもない。 簡単に、写真は撮れなかった。
二人の卒業写真は一枚もない。
この歌詞にある、「あなたは 私の青春そのもの・・」
私が今、 どんなにつらくても優しい人でありたいと思い、
弾けないピアノに今も情熱を傾けているのは、
この日の、あなたとの約束があったからです。
あなたは、 今もピアノを続けているでしょうか・・。
あなたは、青春そのものでした。
こうして今も、 ピアノと共にある思い出を綴れるのですから・・。
ありがとう。
あなたが今でも大好きです。
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