シャープ & ふらっと

半音上がって半音下がる。 それが楽しい、美しい。
思ったこと、感じたことはナチュラルに。  writer カノン

祖母と母

2023-05-14 05:32:41 | きょうは何の日?

私が小学校2年の時だ。

母の母、つまり祖母が病気で入院した。
ある時、お見舞いということで
家族で、山梨県の母の実家まで行った。
 
なぜかその日は、母の姉妹も大勢来ていた。
午前中お見舞いに行き、
そのあと母が一人でまた病院に行った。
しかし、なかなか帰ってこない。
 
私は叔母に、「お母さんいつ帰ってくるの?」と聞くと
叔母は「あんたもお母さんいないとさびしいでしょう?
だからお母さんも、おばあちゃんのそばにいたいの」と答えた。
「お母さん大人なのに、何でさびしいの?」
と聞いたが、叔母はそれ以上何も言わなかった。
 
 
何日後かに、祖母は亡くなった。
再び山梨に向かう。
当時はどこも、斎場ではなく家で葬儀を出していた。
私は生まれて初めて見る葬儀だった。
祭壇や花輪、お坊さんに多くの弔問客など、
不謹慎ながら興味津々の席だった。
 
しかし、通夜ではどこか賑やかだった雰囲気も、
翌日の告別式は、重苦しい空気に包まれていた。
そして出棺となった時、
母も、気丈だった叔母も、
人目をはばからずに泣いた。
 
のちに知ったのだが、
あの時、お見舞いといって大勢集まったのは、
医者から、早いうちに会いに来るように言われていたからだった。
母も叔母もあの時は、
母親ではなく娘だったのだ。
 
 
 
知人の女性で、とてもしっかりした人で、
めったに泣き言や落ち込む事がない人がいる。
しかしその人は言った。
『私は本当に困った時、今でも仏壇の母に相談します』
 
 
母の存在の大きさは、
いつまでも変わらないものなのだろう。
 
 
きょうは、母の日。
 
 
 
母ありて われかなし 
母ありて われうれし
母ありて われよぢれ 
母ありて われすなおなり 
母ありて われ寒し 
母ありて われあたたかなり
 
これが不思議ではないのが不思議です
 
サトウハチロー
 

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