AMASHINと戦慄

~STARLESS & AMASHIN BLOG~
日々ブログレッシヴに生きる

胎内巡り

2008年04月18日 | 名所ガイド、巡礼記
来週26日に行われる長野聖火リレーで出発地点に指定されていた善光寺が辞退を表明したとのこと。ブラボー!!
http://sankei.jp.msn.com/affairs/crime/080418/crm0804181337011-n1.htm

今回は若い僧の方たちが上層部にだいぶ働きかけたそうです。IOCにも通さず中国から直に辞退せぬようかなり激しい圧力がかかってきていたようですが、それにも負げずによう頑張りはった!!
平和の祭典と謳いながらも現在も人権蹂躙、チベット仏教の文化的虐殺を推し進めている中国当局が企画した血塗られた聖火リレー。
そんなものを両手を挙げて迎え入れ、こともあろうにその出発地点に仏教の聖地である善光寺を提供するなど長野市だけでなく、日本そのものが人権意識の薄い低級国家として世界中のもの笑いになること必至なのは誰でもわかることでしょう。

 
善光寺の僧侶たちによる今回の武力弾圧により亡くなったチベット僧侶たちを弔うキャンドルツアー

実は私の生まれも長野でして、AMASHINの“SHIN”も信濃の“信”からとったものだと母親から窺っております。名づけ親の私の祖父母も生前長野市に住んでおり、幼い頃よく善光寺にも連れて行ってもらいました。
この寺の名物といえばやはり「お戒壇巡り」でございましょう。
本堂の真下に地下通路があり、そこを階段で降りていくとその中は正に漆黒の暗闇!腰の高さで壁を手探りで通路を練り歩かねばならないのですが、中に「極楽の錠前」というのがあり、それに触れれば極楽に行けるのだそうです。
もちろん私も何度か体験しましたが、なんとも言い知れぬ不可思議な闇のスリルがあって、冥界に入ったような心地になり闇憑きになること必死でございます。
「お戒壇巡り」は「擬死・再生の体験」「母の子宮の暗喩」などといわれ、京都清水寺の「胎内めぐり」でも有名な擬死再生の体験は、普遍的な救いのイメージに繋がります。
また暗闇は、本質的に恐怖という感情を呼び覚ましたり、子宮の中への想像など、深く根源的な思いが湧き出るようです。
         
夢野久作の日本最大の眩魔怪奇長編小説『ドグラ・マグラ』の巻頭歌「胎児の夢」 の一節に、

“胎児よ 胎児よ 何故踊る 母親の心がわかって おそろしいのか”

というのがあります。これは進化の過程で行ってきた人類の様々な罪業の記憶を、胎児が母親の胎内にいる間夢の中で見るために、おびえ、苦しがってビクリビクリと手足を動かしているのだと言う。そして心地よい胎内から未知の外界へと飛び出す恐怖のために、出産時の赤ん坊は「オギャー」と泣くのだということが、この奇書の中でほのめかされております。

また、人間椅子の『頽廃芸術展』というアルバムの中に、仏教世界を恐ろしくドゥーミーに表現した“胎内巡り”という曲があり、ラストに「仏道無上誓願成~♪」などという仏教の四弘誓願コーラスまでとびだす、正に暗闇を彷徨うかのような名仏教ナンバーであります。

このサビの歌詞に

「善男善女は出られるが~ 悪人悪女は犬になる~♪」

というフレーズがあり、この胎内巡りの闇道を通って無事人間の姿で出てこられた者は善人で、もし悪人であったなら犬の姿になって出てくるということが歌われております。

みなさんも善光寺へお立ち寄りの際は、是非この胎内巡りをご体験下さい。
はたしてあなたは人間の姿で出てこれるか?!

『頽廃芸術展』/ 人間椅子
 

今日の1曲:『胎内巡り』/ 人間椅子

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