さて、中3は入試がいよいよ自分のことととして目前にせまってきました。本人の学力には関係なく「自分の進路について真剣に考える」「自分に真剣に向き合う」ことをはじめてつきつめる時期でもあります。
大阪では公立高校の入試に際して「自己申告書」を願書に同封して提出します。これは各高校が「こういう生徒を望みます」という考えをまとめた「アドミッションポリシー」というものに基づいて、生徒がその志望校に対してどういう想いを持っているかを書くものです。
この制度の是非はともかくとして、中3という大人と子供の狭間の時期に、自分と真摯に向き合って書くこの申告書の教育的意義は大きいと思っています。自分の想いを相手にきちんと齟齬のないように書く。この経験をきちんとさせることの意義は誠に大きいものです。
私は幾度となく話し合いをして生徒の想いを汲み取ります。その中で自分の中にあった言葉にできなかった想いに気付く生徒も少なくありません。
そして「自分がどうしてその高校を受けたいのか」を明確にさせた上でようやく添削に入ります。なので、結構時間がかかります。もちろん受験に向けてのお勉強の時間を奪う形になるので、私自身にも葛藤はあります。しかし、生徒の成長の機会をみすみす逃すのも嫌なので、結構な時間をかけています。
ここに至るまでに作文の練習も繰り返し行いますし、入試ルールについても説明しますし、アドミッションポリシーとはそもそも何なのかも一緒に読み解きます。
で、中3の生徒がその自己申告書の様式を持っていたんですね。私は「えっ?もう書くの?アドミッションポリシーの説明はあったの?自己申告書の書き方についてホームルームで説明されたの?」と聞いたんです。生徒の答が衝撃でした。
「今から書いとけば後で楽やろー。とりあえず書いてみ~」って言われたと。
この貴重な、入試に向けての意識が高まっている時期に、説明もせず生徒にこんな大事なことを投げっぱなしって‼️それって中学校の先生方が楽したいだけでしょうが‼️生徒の貴重な成長のための時間を奪ってある自覚があるのか‼️
あるのならば、この時期にこんなことはさせないでしょうね。私はある程度制度について説明し直してから「提出期限がないなら今は無視しなさい」と伝えました。ため息しか出ない土曜日の朝でした。