超人日記・俳句

俳句を中心に、短歌や随筆も登場します。

#俳句・川柳ブログ 

残酷な民話を毒抜きした童話

2022-01-22 05:00:02 | 無題
レインボー文庫の「童話ってホントは残酷」三浦佑之著を読む。
かつて「本当は恐ろしいグリム童話」が売れたが、この本もその路線だ。
けれども、載っている話数が多いのと、日本の昔話とグリム童話やペローが両方載っているので
この本を買ってみた。
たとえば、白雪姫をこの世から消そうとするのは、初版では継母ではなく、実母だった。実母に命令された猟師は白雪姫のいのちを奪いに行くが、余りに可憐で可哀そうなので、命を救い、代わりに熊の内臓と肉を持ち帰ると、実母はその美しさを横取りするために、娘の肉だと思っている肉を、食べてしまった。

だが、鏡の予言で森に白雪姫が隠れているのを知ると、リンゴ売りに化けて、半分リンゴを齧って見せて安心させて、白雪姫を毒リンゴで倒す。森の小人たちは、美しい遺体を保存して、透明な箱に収めておいた。ある国の王子が偶々、その美しい姫を見て譲り渡してくれるよう頼んだ。白雪姫を起こすと、喉につかえていた毒リンゴが取れて白雪姫は生き返った、という話が載っている。

シンデレラ(灰かぶり)では、継母と二人の娘に邪険にされていたシンデレラは、灰のなかの豆をえり分ける仕事をさせられていたが、小鳥たちが代わりにやってくれた。小鳥たちの助言で、亡くなった実母の残した植木に願うと、銀のドレスと装飾品が出てきて、シンデレラは、継母の娘たちも参加している王子様の舞踏会にその服で出かけ、王子を虜にする。銀の靴を片方残して舞踏会を去る。
王子はこの小さな靴のサイズの足の娘が居たら、妃にすると言う。継母の娘たちは親の助言で、かかとや指先を切り落として靴を履くが、血が滴っているので偽物だとばれる。灰かぶりに遭遇し、靴を履かせてみるとピッタリなのでシンデレラは王妃となる。
その他食べられて終わりの赤ずきんとか、子どもにしいたげられていたのではない亀を網から放してやり、「遊郭のような竜宮城」に行く浦島太郎とか、原話がわかり面白かった。
余分な著者の憶測に根拠がないという点は差し引いても、もとの民話の素朴な残酷さがわかる本だった。民話を版を重ねるごとに道徳的に修正して行ったグリムは、相当な脚色家である。

民話から子どもの娯楽へ変えるため童話作家は毒抜きをする
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清少納言のとんち問答

2022-01-18 13:06:24 | 無題
仕事の合間に、王様文庫の「枕草子」岡本梨奈著を読んでいる。
女房(役職)の清少納言が、一条天皇の正室、定子さまに仕える宮仕えの
暮らしを現代語の超訳と、解説と、古文と、直訳とで紹介する本である。
大体、宮中の貴族が、聡明で噂の高い清少納言に謎掛けをして、
短歌の下の句や、漢文の故事にちなんだ手紙を送りつけてきて、
清少納言が、由来の短歌や故事に引っ掛けた答えを返して感心された
という自慢話である。
まぁ、はなもちならない才女なのだが、宮中でどんなお遊びの作法が
繰り広げられていたのか、という平安時代の内面生活がわかって
面白いと言える。
そうやって、古い歌や、漢文の故事にちなんだ答えをササっと書いて
応えて返すのは、よほどの教養がないとできないはずだが、
清少納言は知らないという場面がない。
おそらく、宮仕えするために、英才教育が行われていて、
これは憶測だが、貴族たちが常識として弁えているような
和歌や漢文や故事のぎっしり詰まった種本が何冊かすでにあって、
それをすっかり暗記して、宮仕えに備えていたとしか思えない。
そのうえでの才女ストーリーじゃないと、あり得ないよ、という話である。

その話当然私知ってますだからこんな名答できるの
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資本論のトリセツ

2022-01-13 10:15:24 | 無題
資本論のトリセツをまとめてみた。
以下はその内容。
経済は商品で動いている。商品には使い途としての使用価値と、
売れるかどうかの交換価値がある。
交換価値は、生産に要した労働時間で測られる。

商品の交換価値を抽出したのが、お金である。
お金が生まれると、労働力ではなく、商品自体が価値を持つようになる。
物が人を離れて一人歩きする。

元々、取り引きは商品をお金に変えて、そのお金で別の商品を
手に入れるというかたちを取る。お金が投資になると、
お金で安く商品を買って、より高い値段で売ってお金を増やす。
資本とは、お金を増やすお金の運動である。

雇い手は、労働力の上前を撥ねて、剰余価値をかすめ取り、
労働者から、搾取して、儲けたお金を、投資に回している。
労働者は本来自分のものであった労働から
疎外されている。
資本主義が進むと矛盾が大きくなり、
労働者も自分の扱いの不当さに目覚めて
階級闘争が激化する。

戦争や恐慌で資本主義が破綻し、労働者は
資本家の独占する生産手段(土地、工場、機械など)
を奪い、無産層の占拠を達成する。

資本の増大の運動とともに、労働者の抵抗勢力も強まって行き、
労働者の力が爆発して、革命が起こる事態となる。
膨れ過ぎた資本は、労働者に取り戻され、
仕事の成果を公平に分け合う社会となるはずとされる。

実際には、政府が調停して格差是正に努め、福利厚生を行えば、
対立を避けて富の再分配ができるはずだ。

世の中の矛盾が限度に達すると敗者復活するという虹
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珈琲片手に本の星座へ

2022-01-12 15:36:05 | 無題
今、専門店街のベーカリーに来て、珈琲飲んでいる。
隣席の年配さんが、猿柄のゴブラン織のコートを羽織っていた。目立つ。
面白い服だけど自分が着る勇気はない。
今日は珈琲のおまけでバタークッキーが一枚ついて来た。雪道を歩いて来た甲斐があった。

家に帰ると、超訳資本論、という本が届いているらしい。ジャック・アタリの世界精神マルクス、は入手したが、まだ資本論は歯が立たない。まずは、超訳資本論で、小手調べしたい。

仕事が疲れるので、合間を見て散歩して疲れを取っている。
ホントに疲れると、本も読めない、映像も見れないで、食べて寝るだけである。

スピノザ、カント、ヘーゲル、マルクス周辺の分厚い本を数冊入手したが、今は読めない。
あと3週間辛抱して、休んだら、メモ書きを完成させたい。


きら星の本の星座を仰ぎ見て日々を乗り越えたどり着きたい
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老荘のことば100を読む

2022-01-07 05:54:13 | 無題
「老子・荘子の言葉100選」知的生き方文庫、境野勝悟著を読む。
老子が50話、荘子が50話で、よくまとまっている。(なかなかこの心境には至らないけど。)
まず、老子の言葉から。
プラス、マイナスばかり考えて動かない。うまく行っても、自然の常の道が成しとげたこと。
善人、悪人も、時代によって変わるから、聖人は人を赤子の様態として見る。
頭で考えて立ち行かなくても、自然の道に従えば、自ずと落ち着く。
宇宙を成り立たせている力を、道=タオという。
すべては道に生かされている。道は絶えず変化を繰り返す。人も人生の時期や機会に応じて、自然の流れに沿って、生かされるのがいい。
褒められても、驕らず、人の用をなさなくても、それはそれで自由な境涯とする。
道は徒らに善悪を立てない。自然の流れに従って、人に生まれたことを幸せとして、食を楽しみ、暮らしを楽しみ、我欲に囚われず、不幸からも一つ学んだとしてやり過ごし、柔軟に天分を生きればよい。

次に荘子の言葉。世の中の変化を楽しもう。変化のなかで自分を生かそう。人を使うには、それだけの器量が要る。自分は、蝶としての一生を生きる夢を見た。私が蝶の夢を見ているのか、蝶が私の夢を見ているのか、分別を越えている(胡蝶の夢)。薪として役に立たないおかげで、燃やされずに済む、など「無用の用」がある。
自分の中に悠大な自然を持っていると、他人と争わずに済む。同じ志を持っているなら、各々違っていても構わない。あるものが、時に有用になり、時に無用になる。自然が呼吸をするように、人は生きては死に、生きては死んでゆく。その中で多くを求めず、自分なりに咲く。自分の中の道に訊けば、自ずと行く方向は見えてくる。

悠然と自分の中の万象に答えを訊けば道は開ける
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