天体観測小屋から、甲斐駒ヶ岳がとても綺麗に見えます。
冬に、EOS 6D+EF 70-300mmのテレ端で撮影
いつか登らねば、と思ってました。
しかし、地形図を見るとなかなかの距離と高低差。
出発地点の駒ヶ岳神社の標高が770mくらい。
山頂が標高2967m。
標高差2200m。
水平距離で9kmほど。
過去にまともな登山をしたのは、閉山後の富士山に登った2011/09/24が最後か?
これは、、、久しぶりの登山なのに単独で行くにはちょっと厳しいかも。
3年前に職場に入職してきた人に元高校山岳部員がいたので、彼に甲斐駒ヶ岳登山に付き合ってくれと声をかけてありました。
それから3年経ち、観測小屋の巨大ニュートンの動作もほぼ安定したことで、いよいよそのときが来ました。
もう1人、登山を始めて1年ほどの職場の仲間も参加することに。
3人で行くことになりました。
しかし、下界は暑い。
登山中に脱水とかになったら嫌だなぁ。
荷造りしてみたら、荷物は水2リットル込みで14.5kgになりました。(本番は水を2.5リットル持っていったので15kg)
こんなに重いもん背負って歩くの、ほんと久しぶり。
僕自身もそうだけど、同行者に何かあっても嫌だなぁ。
不安になってきました。
一応、最悪、ヘリを呼んでも大丈夫なように日数分だけ登山保険に入りました。
Amazonでその手の本を検索したら、「登山の運動生理学とトレーニング学」なる本を発見。
読んでみると、今回の1日目、七丈小屋まで、僕が登山だけで消費するカロリーが2023kcalであると計算できました。
僕が普段、1日に消費しているエネルギーが(基礎代謝を含めて)2000kcalほどなので、とんでもないエネルギー量です。
食事以外に途中でエネルギー補給をしないと追いつかないことは明らかです。
食事以外のエネルギー補給の食べ物のことを行動食というそうです。
体内に貯蓄されている炭水化物が枯渇するのが登山開始から90分ほど。
それ以降は脂肪を燃焼させてエネルギー源としますが、注意しなければならないのは、脂肪を燃焼させるためには炭水化物が必要不可欠であるという点です。
(知らなかった。。。)
つまり、飴玉などを舐めながら登った方が良いということです。
消費カロリーと脱水量はほぼ同じらしいので、水も2リットル程度持っていくのが良いとのこと。
地質調査での中低山や、父親と北アルプスやら南アルプスやら少なからず登山をしてきましたが、こんな知識、全く持ってませんでした。
行動食としてバタークッキー、黒糖飴、塩分チャージなどを持ってゆくことにしました。
標高とともに血中酸素飽和度(SpO2)が下がる話が書かれていました。
富士山山頂では活動中にSpO2が70%台になるのは珍しいことではないし、富士山山頂付近での睡眠中にはSpO2が一時的に40%台まで下がることがあるとのこと。
新型コロナウイルス感染症流行に乗って入手した血中酸素飽和度測定器と、血圧計も持ってゆくことにしました。
日程は2023/07/21 AM 8:00に尾白川渓谷駐車場を出発。
前日まで普通に仕事なので、それ以上早く起床できる自信がありませんでした(^_^;)
最初のうちはこんな感じ
そのうち、こんな感じに。
マサなので滑りやすいです。
10:44
信仰の山らしく、所々にこういう石像が。
解読すればいつの時代のものか分かりそうですが。。。
嘉永三庚戌年の続きが読めない
11:39
標高1890m付近。
黒戸山のちょっと手前なので、これが黒戸尾根なのかもしれない。
1日目の行程のちょうど半分くらいの位置。
林床を熊笹に覆われた森
時折、陽射しが差し込みましたが、基本は曇りで、適度にガスってくれて助かりました。
これがカンカン照りだったら、状況はだいぶ違っていたでしょう。
ラッキーでした。
てくてく
11:50
こんなところでヒキガエルに会いました。
ちょっと若めの個体。
まさか標高1890mにカエルが住んでいるとは、思いもよりませんでした。
12:27
弓矢を持った像
この場で作ったとは思えませんので、麓で作って、ここまで運んできたのでしょう。
こんな重たいものを標高2000m(竹宇駒ヶ岳神社から標高差1200m)も担いで上がってくるとは。。。どんな思いで運んできたのでしょうか?
12:36
刃渡りというらしいです。
こんな感じで登っていきます。
落ちたら死ぬでしょうね。
13:02
標高2067m付近にある刀利天狗
標高2000mを超えたので、血中酸素飽和度を測定してみました。
SpO2 94%でした。
息苦しさとか、ありませんでした。
13:47
ツツジ科の植物?が綺麗に咲いてました。
14:10
五合目小屋跡だそうです。
ここに昔、山小屋があったと。
それにしてもこれだけの数の石碑。
こんなに重いものを背負ってよくぞここまで運んだものです。
その先は急斜面ですが、この通り、梯子や鎖がしっかり整備されているので登りやすかったです。
14:30
木々に苔?
14:39
七丈小屋の手前、最後の斜面への橋
七丈小屋に到着したのは15:03でした。
7時間かかったということです。
標準コースタイムは6時間15分くらいのようです。
1時間に一回は必ず休憩10分間くらいとっていたので、まあ、こんなものでしょうか。
驚いたことに、標高2369mの七丈小屋でもカエルの鳴き声を確認しました。
探し回りましたが、こちらを認識されてしまい、見つけることができませんでした。
お決まりの?地ビール
夕食
摂取カロリー的にはそんなに大したことはないはずですが、これだけでも結構お腹いっぱいでした。
翌朝、晴天でした。
月が暗い月齢だったので、朝方数時間は天体観測日和だったのかもしれません。
なんにせよ、山頂を青空で迎えることができるかもしれません。
最小限の荷物を持ち、残りの荷物は小屋に預かってもらい、出発です。
6:40に小屋を出発。
出発するの、僕たちが一番最後でした。
みなさん、朝が早いですね。。。
6:58
刀が。。。
ずいぶん遠くへ来たもんだ。
7:43
山頂が近づいてきている感じがします。
標高2700m付近です。
SpO2は91%
自分のSpO2最低記録です。
息苦しさとかは特にありませんでした。
7:44
鎖場
7:54
刀が2本
標高2800m付近だったと思いますが、記録しなかったので正確なところはわかりません。
七丈小屋からも見えました。
七丈小屋から見上げたときは、これが山頂なのかと思いましたが、実際は違いました。
8:16
山頂が近づいてきています。
が、実際には、山頂まであと30分近くかかりました。
8:27
てくてく
8:40
甲斐駒ヶ岳 登頂
標高2967m
僕の酸素飽和度88%、心拍数84bpm、血圧113/71mmHg
20代 男 元山岳部 酸素飽和度93%
20代 女 貧血あり 酸素飽和度83%
僕のヘモグロビン値は正常範囲内ですが、男性にしては低めの値。
体重あたりに必要とする酸素の量(ヘモグロビンが手放す酸素の量)がそれほど変わらないとするなら、貧血(ヘモグロビン濃度が低い)があると、その分、酸素を手放さなければならないヘモグロビンの割合が大きくなるので、酸素飽和度が低く出る。
(より正確には、心拍出量を増やすことで、ヘモグロビンの酸素授受の回転をあげることも絡んでくるが)
元山岳部の彼は僕よりもヘモグロビン値が少し高い、ごく平均的な普通の男性だったということで説明がつきます。
全員、息苦しさまったくなし
日本呼吸器学会が提示する酸素飽和度の正常値は96%以上ですが、それを下回ったからといって、息苦しさがないのであれば焦る必要はなさそうです。
(落ち着いて原因を検索し、対処すれば良いと思います)
9:05に山頂を出発し、下山を開始しました。
30分も休まなかったわけですが、なんせ帰りが9kmと大変長いので。
9:55 下りの鎖場
11:30 七丈小屋 出発
13:30 標高2080m 刀利天狗
13:52 標高1900m付近?の黒戸尾根。
下界が見えてきました。
標高1400mあたりからやたら汗をかきました。
下界に入ったことで湿度が上がったためでしょうか?
17:25 駐車場
へとへとでした。
二日目は10時間45分の行程でした。
大まかに標準コースタイムが8時間25分程度。
山頂で25分間滞在したのと、昼食も含めて1時間あたり10分間は休憩をとったので、125分を引くと8時間40分となるので、まあ、悪すぎはしないかと。
日々、それなりに走ったり泳いだりしている僕ですが、残念ながら、余裕はありませんでした。
最後の方はかなり限界に近いところで頑張っていました。
日常のトレーニングはせいぜい30分間と短時間ですし、荷物を背負っていません。
(七丈小屋と山頂の往復の荷物は5kg程度でしたが)
15kgの荷を背負って、9時間歩き続けるとなると、状況が違ったと言わざるを得ません。
山登りを毎月とは言わないまでも、年に3-4回行くと変わってくるかもしれません。
初日の途中から左大腿四頭筋が時折痙攣しました。
立ち止まる必要に迫られることはありませんでしたが、「この先、大丈夫かなぁ?」と不安にはなりました。
行程中、筋肉痛になりませんでした。
筋肉痛は下山した翌日に来ました。
毎日スクワット100回やっているのが効いていたと思います。
後日談ですが、調べてみたところ、今回行ったルートは甲斐駒ヶ岳の黒戸尾根ルートという名で、日本三大急登の一角を占めるルートだそうです。
日本百名山を作った深田久弥氏が、日本アルプスでもっともきついルートと言ったとか。
知らぬが仏、だったということで。。。