猫五郎の写真日記

なんか、写真よりも文章がメインになってます。しかも、くどい。要改善。でもなかなかねぇ。

持久走がヒトをヒトたらしめた可能性 Endurance running and the evolution of Homoを読んで

2022-06-26 11:54:16 | 健康・身体

Endurance running and the evolution of Homo

Dennis M. Bramble & Daniel El Leiberman
Nature Vol 432, 18 November 2004

 

面白い論文を読みました。

2004年のネイチャーに載った論文。

僕なりの要約をしました。

一部を抜粋して記録として残します。

本当なら、図も添付したいのですが、著作権の関係があるのでやめておきます。

イラストレーターが使えたら、僕なりの図に作り直して載せるのですが、、、今回は見送りです。

 

ヒトの走りは、多くの四足動物と比較して速度で劣るため、ランニングはヒトの進化において主要な役割を果たしてこなかったと考えられてきた。
Endurance running 持久走は、200万年前に獲得され、ヒトの形態的な進化に大きな影響を与えていた可能性がある。
 
 
ヒトはスプリンターとしてはあまり優れていないが、持久走ができる。
霊長類の中で持久走をするのはヒトだけである
四足動物にスプリンターはたくさんいるが、持久走する四足動物は一般的ではない
持久走をする四足動物は、社会的な肉食動物(犬、ハイエナなど)や、移動性の有蹄類(ワイルドビーストや馬など)くらいだ。
 
 
歩行とランニングでは力学的エネルギーの動きがまったく異なる。
歩行では、倒立振子inverted pendulum様に、位置エネルギーと運動エネルギーを交互に入れ替えている。
位置エネルギーが増えれば運動エネルギーが減り、運動エネルギーが増えれば位置エネルギーは減る。
 
地面を踏む下肢が伸びきったとき、重心が一番高い位置に着て位置エネルギーが最大値となるが、運動エネルギーは最小値となる。
腰を沈めて地面を蹴って体を前に押し出す時に運動エネルギーが最大値となり、位置エネルギーが最小値となる。
 
ランニングの力学的エネルギーはバネ質量力学mass-spring mechanismが入ってくる。
ランニングでは、位置エネルギーと運動エネルギーが同時に増減する。
位置エネルギーと運動エネルギーが底辺に達する過程(足を地面に押し付ける過程。支持期support phase)で、アキレス腱・足底筋膜・腸脛靭帯などの靭帯や腱に弾性エネルギーが蓄積される。
続く推進期propulsive phaseに弾性エネルギーを放出することで跳ねている。
 
靭帯や腱のバネによる弾性エネルギーがランニングの代謝コストの約50%を占めると推定される(!!!)
 
歩行は踵で着地(heel strike)するため、これらのバネはほとんど機能しない。
 
ヒトはほかのヒト科の動物と比較して、身体質量当たりの下半身の関節面積が非常に大きい
股関節、膝関節、仙腸関節、腰椎椎体の関節面の増大は、歩行時よりもランニング時に発生する大きな衝撃力を受け止めるのに役立っている。
 
歩行では、片方の脚を前へ振って加速させることで発生するトルクが、体幹に伝わるが、もう片方の脚が地面についていることで、そのトルクに体幹が対抗することができる。
ランニングでは、前方に勢いよく振られる脚の加速が歩行時よりはるかに大きなトルクを発生させる。
しかし、ランニングの空中相aerial phaseでは、そのトルクを(空中にいるので)地面に伝えることで打ち消すことができない。
このトルクは、胸郭や腕の反対向きの回転によって発生するトルクで相殺される。
頭部と肩帯、胸郭と腰が分離していることが、それを可能にしている。
これは、歩行には(必ずしも)必要ない。
 
チンパンジーやアウストラロピテクスは頭部と肩帯が分離しておらず、ヒトにはないたくさんの筋肉で頭部と肩帯が結ばれている。樹上生活ではこれが有利に働く。
 
ヒトの特徴である広い肩幅は、上肢よりも大きな下肢を振ることによって発生する慣性モーメントを相殺するために、腕を振ることで発生させる対抗モーメントcounter balancing momentsを大きくしている。
広い肩幅も、歩行には必要なく、ランニングをするための解剖学的適応である。
 
ランニングは、歩行時と比較にならない大量の内因性の熱を発生させる。
この熱を処理できるかどうかが、持久走できるかどうかのカギとなる。
・蒸発散のために精巧に作られた、大量の汗腺
・対流効率をあげるための体毛の減少
・細長い体形
・顔面や頭皮で発汗によって冷却された静脈血が海綿静脈洞に流れ込み、内頚動脈の熱い動脈血を対向流熱交換countercurrent heat exchangeで脳に到達する前に効率的に冷却する。
 
項(うなじ)靭帯。
項靭帯は、犬、馬、野兎など走行に適した哺乳類、もしくは象のように大きな頭を持った哺乳類に共通してある収斂的な特徴である。
 
収斂とは、まったく別の進化の過程をたどっているにもかかわらず、同じ機能を果たすために似たような形態的特徴を示すこと。鳥類とコウモリの翼、魚類とイルカのひれ、など
 
ヒトの肉体は、持久走するための構造が随所に備えられており、ランニングがヒトの進化に深くかかわっていることがわかる。
現代社会がヒトの走る必要性を奪っているが、ヒトの肉体は走るようにできている。

 

以下は、論文の中に書かれておらず、僕の考察です。

頭部と肩帯、胸郭と腰の分離がランニングを可能にしましたが、副産物として、物を正確に投げることを可能にしました。
正確に物を投げられるようになったヒトは、狩りに投げ槍や、投槍器、投石器を用いるようになります。
ヒトは道具をより精巧に作るようになっていきいます。
皮肉にもこれが、ヒトが走ることの必要性を下げていったと思われます。

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2022/06/19 ニュートン式反射望遠鏡の主鏡が思った以上にデリケートであるという話

2022-06-26 10:41:51 | 天体望遠鏡

再コーティングしてピッカピカになった主鏡と斜鏡を取り付け、光軸調整もバッチリ!

赤道儀のクセもだいぶつかんだし、これでバシバシ天体写真を撮れるはず!!

この夜は月が満月の二日前でだいぶ明るかったのですが、試写してみました。

高く上がった夏の大三角のM57 惑星状星雲なんて、試し撮りの被写体として最適ではないでしょうか。

 

まずはこと座のベガでピント合わせ。

なんじゃこりゃ??!

見たことのない光条です。

横方向の光条が二重になっている。

縦方向の光条は1本。。。

小さな星々も縦に二重になって写ってます。

 

横方向の光条が1本になるようにピントを調整すると、、、今度は縦方向の光条が2本に分かれてしまいます。

小さな星々も横に伸びる。。。

こんな現象は初めて見ました。

 

縦・横の光条ができるだけ一本になるようにピントを調整したのがコレ。

やはりなんか変。

小さな星々の形も変。

 

雨上がりだったのですが、この日のシンチレーションは最高。

オートガイドはバッチリ。

 

何が原因なんでしょう?

光学系であることは間違いなさそう。

 

主鏡・斜鏡の取り付け作業と、それに続く光軸合わせで二人とも疲れてきていました。

ここでスパッときれいな写真が撮れていれば、やったぁー!とすべてがめでたしめでたしとなり、疲れも吹っ飛ぶはずだったのが、一つ難関を乗り越えるたびに次のハードルが待っているという毎度のパターン。

この望遠鏡、なかなか楽をさせてくれません。

 

今週の業務は平均よりかなり過酷だったし、この日は昼過ぎまで仕事をしてから山梨に来ていたので、僕自身ぐったり。

二人で、隣の休憩室でコーヒーを飲みながらスナックをつまみつつ、ネットでこの症状を検索してみようということになりました。

が、どう検索しても、このような光条の画像や記事に行き当たりませんでした。

なんなんだ?この現象は?

20万円かけて再コーティングしたのに、なぜ???

 

望遠鏡とにらめっこが始まりました。

うまくいかないときは、ひたすら、ジッとうまくいかない部分とにらめっこ。

この3年間、この望遠鏡と赤道儀と、どれだけの時間、にらめっこしてきたでしょうか。

しかも、毎度、ものすごく疲れた状態で。。。

 

今回、望遠鏡で変化があったのは光学系のみ。

つまり、主鏡と斜鏡だけです。

斜鏡はポン付けなので、問題を起こす可能性は小さい。

主鏡を疑いました。

ふと、別の友人の言葉を思い出しました。

 

「主鏡はすぐ歪むから、引きネジで調整した後の押しネジはかすかに触れる程度でいいのよ。押しネジを強く締めるとすぐ星像が歪む」

 

もしや、主鏡の後ろから押さえつけるコルク付きの金板のボルトを強く締めすぎたのか?

でもなぁ、厚さ75mmもあるガラスの板だぜ?

そんな少しボルトを締めたくらいで歪むか???

でも、ほかにやることないし、主鏡を押さえるボルトを緩めて、レンチを使わず、手で締めなおしてみるか。。。

 

正解でした。

 

な、なんと!

ニュートンの主鏡、むっちゃデリケートなんですね。。。

ほんの少しレンチで締めただけだったのですが。。。

 

M57 惑星状星雲

EOS Ra、ISO 400、360秒

 

勉強になりました。

厚さ75mmで簡単に歪むくらいだから、GINJI-250FNの主鏡なんてペランペランだと思って扱わないとだめですね。

 

この夜は二日後に満月を控えた月が明るく、撮影に適さないため、これで潔く撤退しました。

でも、オートガイドもバッチリ、主鏡・斜鏡もピカピカ。

あとは暗い夜空を待つのみ!

コメント (2)
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50㎝ニュートンの主鏡・斜鏡 再コーティング 記録

2022-06-25 20:16:32 | 天体望遠鏡

この巨大ニュートン、40年物だと思われます。

主鏡も斜鏡もかなり曇ってきています。

主鏡の洗浄をしてみましたが、汚れがすべて落ちるものではありませんし、曇りもとれませんでした。

 

 

直径50cmの主鏡と斜鏡の再コーティングの見積もりを数社にお願いしたところ、同じコーティングでも20万円から50万円と幅がかなりありました。

埼玉県川越市の工場であれば自前で持ち込めたのですが、見積額が最高値の50万円でしたので却下。

再コーティングに出すならGEOMATECの宮城県の工場と決めました。

しかし、どうやって工場に主鏡を届けるか。

山梨県から宮城県まで車で往復すると二日がかりです。

受け取りに行くのも二日がかりとなると、かなりハードルが高い。

埼玉の自宅から出発することを考えると一日で往復可能ではあるが、、、翌日死ぬな。。。

 

宅急便で送るにしても、直径50㎝、重量20kgの主鏡を入れる箱を思いつかない。

段ボールはちょっと怖い。

緩衝材を詰め込んでも、落とされたら割れそう。

 

箱を作成するところからスタートしました。

選んだのはパネコート。

しかし、ウッドショックの影響で価格が2倍以上に跳ね上がってます。

カット代込みで4千円を超えました。。。

まずは設計図を描き、、、

 

で、作った箱がこれ。

 

 

箱だけで重さ11kgになりました。。。

 

さてさて、主鏡を外すのが大事(おおごと)なんです。

主鏡と、主鏡の台座(金属の枠組み)合わせておそらく50kg弱になります。

赤道儀に乗せた望遠鏡から重量50kgの部品を外したらどうなるか、星見屋ならわかりますね。

主鏡と台座を外す前に、赤道儀のバランスが崩れても大丈夫なように、ウエイトの下に小さな脚立を、望遠鏡の頭が落ちないように大きな脚立で支えを設置しました。

 

主鏡の引きネジ3本を外すと、主鏡の台座が外れます。

 

なんせ重いので、2人がかりで外しました。

1人では危険です。

 

主鏡の台座を外したところ。

 

外された主鏡と台座。

だいぶ汚れがついてます。

 

台座から主鏡を外すためには、ひっくり返す必要があります。

黒い金枠を固定しているネジを外します。

 

外した蓋。

 

蓋を外すと、主鏡を後ろから押さえるコルク付きの金板が3枚、出てきます。

 

主鏡を押さえる3枚のコルク付き金板と、黒い紙をどかすと、主鏡が出てきます。

 

日本特殊光機の中村和幸氏が制作した鏡であるようです。

番号から、1982年制作のようです。

つまり、40年物だということです。

 

主鏡を台座ごと再びひっくり返し、金枠の側面にある6本のM6ポリカーボネート・ネジを外します。

 

台座の黒い金枠を外します。

 

主鏡が出てきました。

 

主鏡のガラスの厚さは75mm程度。

 

直径は46㎝程度。

 

発泡スチロールで隙間を埋めて箱詰めしました。

 

斜鏡を外して分解したところ。

斜鏡の端に、前の持ち主がつけた指紋がついています。

 

主鏡も斜鏡も取り去って、空っぽになった鏡筒

 

総重量32kgになりました。

自宅近くのヤマト運輸に持ち込んだら、30kg以上の荷物は受け付けてもらえませんでした。

佐川急便が運んでくれることをネットで調べて、持ち込みました。

 

待つこと2週間半、届きました。

 

斜鏡はAl高反射でお願いしました。

 

主鏡は予算の都合でAlSiOコーティング

反射率は波長により83-92%程度ですが、再コーティング前とは比較にならないくらいピカピカになって戻ってきました。

 

小屋にも持って行き、センターマークを付けました。

 

台座の金枠の内側を見ると、鏡と金枠が直接触れないように緩衝材が貼ってありました。

 

金枠をかぶせ、

 

ひっくり返し、

 

側面のポリカーボネート・ネジで主鏡を金枠のど真ん中に調整して、

 

黒い紙をかぶせ、

 

主鏡を金枠に押し付けるコルク付きの金板3枚を配置し、

 

金枠の蓋をして、ネジで固定して、

 

主鏡を金枠に押し付けるボルトを適度に締め付け、

 

主鏡に取り付けました。

主鏡と台座を持ち上げて取り付けるのは、外す時より大変でした。

なので、その瞬間の写真はありません。

 

斜鏡にもセンターマークをマジックの点で付けました。

 

斜鏡の取り付け

 

斜鏡の調整は望遠鏡を上に向けて行いました。

スパナなどを望遠鏡内に落とすと主鏡が割れるので致命的です。

が、斜鏡も台座につけるとかなり重いため、望遠鏡を倒してのデリケートな調整は難しすぎました。

スパナにタコ糸をつけて腰に結んで作業を行いました。

レーザーコリメーターはまったく信用ならず、確認程度にしか使えないことに確信が持てたので、笠井トレーディングのALINEで調整をしました。

が、ALINEは周囲が明るくないと難しい。

夜間の工事現場などで使われている投光器がなぜかあるのでそれを使って照らしながら光軸調整しました。

が、夜間だったので蛾がたくさん寄ってきました。

すごい鱗粉です。

主鏡面に落ちる蛾もいました。

これはたまらん。

光軸修正後に、主鏡のアクセス窓から主鏡を確認すると、鱗粉だらけな上に、蛾のウンチまでついてました。

仕方がないので、ブロワーで吹き飛ばし、アルコールと精製水で慎重に汚れをふき取る作業が追加されたのでした。。。

 

笠井トレーディングのAlineを使ってこんな感じに調整できました。

中心の小さな点が自分の目がのぞいているのぞき穴です。

斜鏡にマジックで付けた中心点を示すマーク、ぼんやりしているとはいえ、意外と目立ちますね。。。

もはや大きくずれることはないので、アルコールで消してしまおうかな?

 

完成。

 

これでめでたしめでたし、と思って試し撮りをこの後するわけですが、思わぬ落とし穴が待ち受けていたのでした。

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2022/06/05 どくだみの花

2022-06-05 21:08:50 | 雑草

雑草の写真を撮るのは実に2019年以来のことです。
毎年、春の花々を見ながら、撮りたいなぁと思ってました。
が、なかなかまとまった時間がとれない。
この3年間は走ることを最優先にしていたので、雑草撮影は後回しになっていたように思います。

今年もホトケノザやオオイヌフグリ、ヒメオドリコソウなどの春の花々を撮りたいなぁと思いながら、それらの花々が散ってゆくのをみていました。
どくだみの葉が出てきて、つぼみをつけて、花が咲き始めました。
今年こそはどくだみの花だけでもものにしたい。
ランニングの予定をやめて、思い切って時間を設けてみました。

いつもの通勤路のどくだみの花です。
Olympus XZ-2+KENKO Close-up lens No.3


PENTAX Q7+タムロンの90mm macro
アップ。


アップ


つぼみ


一枚開いて


二枚開いて


三枚開いて


開花


1.5㎝ほどのカマキリくんがいたのでモデルになってもらいました。


アップ


ドアップ


いつもの通勤路。
アイフォン撮影


Olympus XZ-2で普通に撮影。


XZ-2で撮影して、Light roomでハイライトとシャドウをいじったもの。


さて、どの写真が好みか。
たぶん、XZ-2で普通に撮った、昔ながらの写真を選ぶ人は少数派でしょう。
普通の写真ですら、今は画像処理なしではみれない時代になりましたね。

3年ぶりにカメラを握れて、ちょっとすっきりしました。
XZ-2は電源を入れるのも2020年以来だったようです。
PENTAX Q7もそんなものでしょう。
もっとつかってやらねば。
コメント (2)
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