猫五郎の写真日記

なんか、写真よりも文章がメインになってます。しかも、くどい。要改善。でもなかなかねぇ。

2022/10/22 山梨 巨大赤道儀の極軸追い込み、オートガイドの追い込み

2022-10-23 13:54:00 | 天体観測

GPV予報は微妙でしたが、写真撮影よりもPHD2による赤道儀の動作解析をしたくてこの夜は臨みました。
最初のキャリブレーション。

やはりステップ数が赤経と赤緯で大きく異なる。

初期設定では赤経・赤緯ともに12ステップなるようにPHD2が信号を送るようですが、ほぼ一貫して赤経のステップ数が赤緯のステップ数の2倍になります。

赤経・赤緯軸の駆動系をベルトドライブ化してくれた友人曰く、赤経のウォームホイールの歯数が720は、赤緯のウォームホイールの歯数が360歯で、その情報をプログラムに入れてないから、1ステップで動く量は赤緯が赤経の2倍になるとのこと。

なるほど。

じゃ、今後、キャリブレーションでは、赤経12ステップ、赤緯6ステップになればそれでよいということで。

 

夕飯を食っている間にガイドアシスタントでシンチレーションの解析を行わせます。

他の値は前回と大きく変わらないはずです。

 

一応、バックラッシュも測定しますが、結果は前回と大きく変わらず。

 

オートガイドの精度、悪くないです。

東の空に向けると、赤経のガイド精度が、赤緯より若干悪い傾向はいつものことです。

RMS errorが赤経・赤緯とも0.5”未満であればいうことありませんが、1"未満で星が伸びなければ、僕的にはOKです。

 

ISO 800, 180秒露出でこんな感じの写り。

若干、星がおむすび山の形をしていますが、ギリギリ合格。

もう少し待てばオートガイドがもっと安定してきて星が真ん丸に写るでしょう。

 

さてさて、最低限のオートガイドができたところで、今夜の本命、赤道儀の極軸合わせに入ります。

PHD2のドリフトアライメントツールを使いました。

すでにポールマスターでそれなりに極軸を合わせてあります。

天の北極に近づくほど星の動きは小さくなります。

天の赤道付近の星の動きが一番大きくなるので、PHD2のドリフトアライメントツールの方が、ポールマスターよりも精度高く極軸を合わせられるのではないかと思ってのことです。

 

初回のazimuth(方位角。東西方向)の評価。

赤道儀の東西の向きを変えて、ピンクの円の上にガイド星が来るように調整します。

ただし、ピンクの円の左右どちら側にガイド星をもってゆけばいいのかについては、PHD2は教えてくれません。

説明書には、円の左右のどちら側にでもいいので、ガイド星を円の上に移動させて、再度、ドリフトアライメントツールを起動させ、円が小さくなっていれば「アタリ」、円が2倍に大きくなっていたら「ハズレ」であると書いてありました。

ハズレを引いた場合は、逆の方向へ修正しろ、と。

 

これが赤道儀の東西の向き(方位角)を調整するネジです。

ちなみに方位角の回転軸は赤道儀の前側にあります。

その回転軸から方位角調整ネジまで、77㎝もあります。

 

まずはネジの最初の位置を確認します。

定規の値は「21.5mm」というところでしょうか。

 

右側の調整ネジをねじ込んで、赤道儀の向きをわずかに東へ動かし、ガイド星をピンク色の円の上に移動させました。

 

ガイド星を移動させたことで、間隔が「22.2mm」程度になりました。

 

再度、ドリフトアライメントツールを起動します。

赤い赤緯の線が、青い赤経の線の上にきてしまいました。

22.2-21.5=0.7mm、東に向けたのでは、修正量が大きすぎたということです。

軸までの距離が77cm、つまり770mmであることを考えると、すでに相当な精度で追い込んであったことになります。

 

間隔を22.0mmになるように、つまり、西へ0.2mmズラしました。

その結果は、、、

 

あともう一息です。

なんとデリケートな作業。

 

再度、ネジを0.1mm程度調整した結果、方位角が修正されました。

 

方位角が修正されたので、今度は高度の修正にかかります。

ドリフトアライメントツールの高度の結果はコレ。

完全には合ってません。

考えた末、これで「よし」としました。

方位角の調整の経験から、高度の調整もおそらく0.1mm単位となることが推測されます。

総重量1t近い巨大赤道儀+巨大ニュートンを0.1mm単位で持ち上げたり、下げたりする自信がありませんでした。

 

方位角を調整した後、6本の固定ネジを締めました。

念のため、再度方位角を評価してみたところ、、、ズレてました。

しかし、これで「よし」としました。

再度調整をかけても、0.1mm程度の誤差は出てくるでしょう。

もはやこれ以上、極軸を追い込むのは諦めました。

 

さて、可能な限り極軸を合わせたところで、いよいよ撮影です。

極軸がより正確に合わせられたことで、少なくとも赤緯方向については修正量が少なくなるはずです。

その成果たるや、、、と楽しみにしてました。

手始めに、やはりこの季節ですから、オリオン大星雲でしょう。

明るくていつも飽和してしまう中心部をいじったので、不自然な写りに感じるかな?

コマコレクターを使用していないので、端っこの星が若干伸びるのはご愛嬌。

写真中心部の星は丸い。

でも、よく見ると周囲の星の伸び方が均一な感じではない。。。

この時は全く気にしませんでした。

しかし、これがこの晩の残りの運命を示唆していたのかもしれません。

 

気分を良くして、隣のランニングマンに望遠鏡を向けました。

この巨大ニュートン、被写体を変える場合は、次の被写体に望遠鏡を大まかに手動で向け直して、ステラショット2の「導入補正」機能を使って、被写体を画面の中心に持ってきています。

で、今回もランニングマンに向けるべく、筒のお尻をつかんで少し高度を上げました。

この時、少し主鏡のセルが動いたのを感じたんです。

「あれ?」と思い、主鏡の押しネジを触ると緩んでいる。。。

緩んだ押しネジ2本を軽くねじ込みました。

 

この時に気づけばよかったんです。

主鏡が動いたということは、光軸がずれたということなんですね。。。

 

構図を決めるために撮った、ランニングマンです。

よくみると、10秒露出であるにも関わらず、すでに星が楕円に伸びています。

 

上の写真の中心部を切り取って拡大したのがこの写真。

大きな明るい星は丸く見えますが、小さな星をよくみると、楕円形です。

10秒露出なので、オートガイドをしてなくても星が伸びることはありません。

10秒露出で星が楕円に写っていると言うことは原因がなんであれ、、、どんなにオートガイドの精度を上げても、全ての写真は失敗作になることを意味します。

この写真、構図ぎめだけの目的で撮ったため、星が伸びていることを見落としたんですね。。。

 

この後、当然の帰結として、なかなか星が丸く写らないわけですが、オートガイドの方も思ったほど精度が上がらなかったもので、オートガイドが原因だと勘違いして時間を無駄にしていました。

しかし、今考えると、RMS errorが赤経も赤緯も1”を切っていたわけですから、極端に悪かったわけではないんです。

(もちろん、もっと良くあってほしいですが。。。できればRMS errorが0.5”を切るところを目指しているわけなんですが。。。)

時間と共にシンチレーションが刻々と変化しているので、再度ガイドアシスタントなんて起動してみたりしました。

とりあえず極軸が確実に追い込まれたことが確認できました。

 

ガイドアシスタントに従い、最小移動検知量を設定しましたが、(当然の結果として)星が丸く写りません。

僕は、苦し紛れに赤経のオートガイドのアルゴリズムを変えてみました。

いつも頻用している「ヒステレシス」から「PPEC」に変えてみました。

前回の2022/10/02の時は、PPEC、そんなに良い印象がなかったんです。

むしろヒステレシスの方がよさそうだった。

今回は、、、ガイド精度が上がりました。

しかし、それでも(当たり前ですが)星がまん丸に写らない。

もたもたしているうちにランニングマンが子午線に来てしまい、撮影を諦めることになりました。

 

 

お次に筒を向けたのはオリオン座を追いかけてきたバラ星雲。

これがなぜか、星が丸く写ったんですね。。。

今思えば、ニュートンの主鏡セルをつかんで方向を変えた時に、たまたま光軸が少し改善したんでしょうね。

 

奇しくもこの時、オートガイドがこの夜最高の精度を叩き出しました。

 

とーこーろーが、この後、どんどん星が伸びていきます。

過去最高のオートガイドをしているにも関わらず、星が丸く写りません。

ここに至り、僕もおかしい、と気づきました。

 

ライブビューにするとこんな感じでした。

 

ピントがずれた可能性も考え、ピントを合わせますが、改善しませんでした。

光軸がズレたな、とやっと気づきました。

光軸がズレたことを証明したいと思いました。

時刻はAM4:00。

今更、本格的に光軸をチェックする気になれません。

簡単な方法。

どうせ動くとしたら主鏡。

斜鏡はガチガチに固めてある。

そうだ。

望遠鏡を大きく動かしてみれば写りがまた変化するのではあるまいか。

M81に望遠鏡を向けてみました。

写りが大きく変化しました。。。

これで光軸がズレていること、おそらくは主鏡の固定が甘いことがわかりました。

 

3時間寝て、起床し、急いで朝飯を食べて、光軸調整をしようと思いましたが、主鏡が結露していて、何もできませんでした。

次回は光軸調整からスタートです。

 

人間(いや、僕だけの問題か??)、なかなか学習しないもので、何度も同じ過ちを繰り返しますね。

色々、アホなことをやってますが、今回の成果は大きい。

成果その1・・・・赤道儀の極軸を精度よく追い込んだこと

成果その2・・・・過去最高の精度でオートガイドすることに成功した

 

いい写真こそ撮れませんでしたが、確実に前進しています。

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2022/10/01 山梨 M33 主鏡再コーティングの威力を確認。PHD2のガイドアシスタント、バックラッシュ解析、PPEC

2022-10-08 21:26:00 | 天体観測

今年も週末になかなか晴れません。

シルバーウィークなるものがありましたが、仕事があるから3連休じゃないとかのツッコミはともかく、3連休、2回とも雨でしたね。

雨だと家からすら望遠鏡をのぞくことができません。

フラストレーションがたまりまくり、PHD2の説明書を2回も通読してしまいました。

一回目は日本語で、二回目は英語で最新版を読みました。

日本語訳はどうしてもタイムラグがあるので数バージョン遅れてます。

学問の世界と同じですね。

 

手短にまとめると、
(1) 新しいプロファイルを作るウィザードに沿って、しっかりと初期設定する。ダークライブラリも作る。作成したプロファイルの設定値は、余程のことがない限り動かさない。
(2) キャリブレーションを天の赤道と子午線付近で行う。
(3) これでオートガイドがうまくいかなければ、ツールの中のガイドアシスタント機能で、シンチレーションの解析を行い、推奨されるminimum move値に設定する。(ガイドアシスタント機能を使用する時は必ず天の赤道と子午線付近で行う)
(4) ガイドアシスタントの解析で極軸のズレが数値で示されるので、ズレが大きければ修正する。Drift Alignment Toolを使って修正するとよい。
(5) ガイドアシスタント解析でRAとDecの動きがおかしいと思ったら、ツールの中のマニュアルガイド機能で赤道儀の動作を手動で確認したり、クロススターテストで、赤道儀がちゃんと動作してるか確認する。
(6) Decのバックラッシュが大きすぎるならUni-directional Declination Guiding(南北どちらか一方向のみのガイド)に切り替える

その他、諸々ってところでしょうか

一番大きな収穫は、PHD2が赤道儀の動作を数値で示してくれるという点です。

PHD2が認識できる範囲で、赤道儀の動きに関するデータを与えてくれるので、理論値からのズレがなぜ生じたのかを考えると、解決のヒントになる、という感じです。

 

 

2022/09/30夜、最高に晴れる予報でした。

GPV予報も完璧!!!

ところが、2022/10/01(土)に仕事を頼まれてしまったのです (T_T)

泣く泣く仕事をこなし、午後に出発しました。

 

暗くなってから到着、あわただしく飯を掻き込み、望遠鏡を子午線と天の赤道付近に向け、最初のキャリブレーションを行いました。

初期設定ウィザードでキャリブレーションステップが12になるようにPHD2が設定しているはずですが、赤経ステップも赤緯ステップも8前後で、なぜかうまくいってません。

なぜでしょうか?

いずれにせよ、この結果であれば、十分ガイドに使えそうです。

 

続いて、ガイドアシスタント機能を使ってみました。

極軸はかなりよく追い込まれていると思います。

 

オートガイドをオフアキでやっています。

ガイドカメラはASI 174MM miniです。

巨大ニュートンの焦点距離が2,500mmです。

つまり、ガイド星があまりに大きく拡大されすぎるため、シンチレーションの影響をモロに受けている。

だから、ビニング(隣り合う画像素子2つをまとめて1つの画像素子として認識させることだと思います)して、ガイドカメラの画素数を減らし、シンチレーションの影響を受けにくくしなさいというアドバイスです。

PHD2の説明書を読むまでビニングの存在を知りませんでした。

ビニングの設定は脳みそマークの中のここです。

 

これを2に設定します。

ビニングすると再度ダークを取り直す必要があります。

再度、ガイドアシスタントを行います。

 

シンチレーションの影響を最小限にするための最小移動検知量を計算してくれるので、画面の「適用」ボタンを押すと、その値に設定してくれます。

また、Decのバックラッシュ測定で3000msec未満でしたので、backlash compensation機能の適応になります。

バックラッシュ補正機能は脳みそマークのここに入ってます。

 

バックラッシュ測定結果のグラフはこんな感じでした。

なかなかよいグラフです。

これもベルトドライブ化した効果でしょう。

ベルトドライブ化してなかった頃はバックラッシュがとても大きかったので、その場合は、Uni-directional Declination Guiding(南北どちらか一方向のみのガイド)の適応になっていたかもしれません。

 

キャリブレーションをやり直しました。

大まかには良好な結果なのですが、、、赤経ステップが11に対して、赤緯ステップが6。

これは如何?

本来、キャリブレーションにおける赤経ステップと赤緯ステップは同じ数になるのが理想です。

赤緯ステップの数が赤経ステップを大きく上回る場合は、大きなバックラッシュの存在を示唆します。

PHD2の説明書に、赤緯ステップが赤経ステップより少なくなる場合の原因については記載がありませんでした。

赤経ステップはPHD2の初期設定ウィザードが目指した通り、12付近の値になっていますのでこちらは問題ないはずです。

赤経ステップが赤緯ステップの半分になるのはなぜでしょうか?

現時点の僕には理解できません。

今後の課題です。

しかし、雰囲気的に、オートガイドできそうに思います。

 

季節柄、撮りやすいM31アンドロメダ銀河に望遠鏡を向けました。

ISO 2000、300秒露出

 

PHD2には赤経軸、赤緯軸にそれぞれ複数のガイドアルゴリズムが選択できるように搭載されています。

赤経軸にはhysteresisといって、過去の動作のクセを解析して、それを加味した補正を行うアルゴリズムを使用していました。

今回、試しに、PPEC(predictive periodic error correction)を選択してみました。

predictiveとあるように、過去の赤道儀の動作から、未来の動きを予測して、ガイド星が動き出す前に赤道儀が動作するモードです。

ドイツのマックスプランク研究所からの研究結果を採用した赤道儀の赤経動作アルゴリズムのようです。

PPECによるガイドグラフがこれ。

悪くはない。

が、よくもない。

RMSエラーが0.5秒を切ってくれるのが理想ですが、そこまではなかなか。

 

従来のhysteresisアルゴリズムに戻してみました。

hysteresisの方が、若干、オートガイドの精度がよいので、結局、hysteresisにしました。

 

撮影している最中に、このように赤経方向に2分ごとにブレが検知されることがありました。

2分というのはウォームギアが一周する周期です。

どうもウォームホイールにガタがある箇所があるようです。

なんせ50年近く前のものですし、直径50㎝を超えるような巨大なウォームホイールです。

加工精度に少々の悪いところがあっても仕方がありません。

幸いにして、撮影結果には影響しませんでした。

 

このウォームホイールのガタがある場所を過ぎた後は比較的安定したオートガイドを行うことができました。

一つ、一貫していえることは、赤緯軸よりも赤経軸のガイドの精度が悪いということでした。

 

 

この夜の成果は、赤道儀の動作を解析できたことだけではありません。

キレイな写真を撮ることが最終目標なわけですから、写真が最大の成果となります。

M33 三角座銀河です。

焦点距離2,500mm、F5、カメラはEOS Ra

ISO 6400、360秒露出、4枚コンポジット

過去の写真とは明らかに違います。

星がシャープ!

この夜は、決してよい空ではありませんでした。

うっすらとガスがかかっていて、天の川がきれいには見えませんでした。

にもかかわらず、この写り。

すばらしいです。

曇った主鏡・斜鏡の再コーティングをした成果でしょう。

 

比較のために、主鏡の再コーティング前のM33の写真を添付しておきます。

今までも、ぼやっとした写りだなぁとは思っていました。

しかし、焦点距離2,500mmで強拡大するのですから、シンチレーションの影響をモロに受けるわけで、星がシャープに写らないのはある程度仕方がないことと諦めていました。

ほかの人たちの写真を見ていて、自分の写真よりもシャープなものがほとんどでしたが、それはモノクロ冷却CCDでLRGB撮影しているうえ、画像処理の技量の差が大きいからなのかな、と勝手に思い込んでいました。

もちろん、撮影方法の差、画像処理の技量の差はあるでしょう。

でも、やはり主鏡・斜鏡の曇りの影響で星像が滲んでいた要素は大きかったようです。

これからの撮影が楽しみで仕方がありません(^^)

 

 

今後の課題として、極軸の追い込みを上げたいと思います。

下のグラフは2022/05/04にDec方向のオートガイドをOFFにしたときのものです。

ガイド星が徐々に南方向にズレていくのがわかります。

極軸は2分角未満に追い込んでありますが、あともう少し追い込む余地があるということです。

よりよいオートガイドを目指して、暇を見つけて、極軸をもう少し追い込んでみたいと思います。

 

おまけですが、スバルのメローペ。

1枚撮りです。

ISO 5000、300秒露出

 

この夜は湿気が多く、望遠鏡がグッショリと濡れました。

朝、天日干しして乾かしてから帰りました。

 

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