猫五郎の写真日記

なんか、写真よりも文章がメインになってます。しかも、くどい。要改善。でもなかなかねぇ。

2024/04/12 山梨 夜桜 M90, M109、巨大ニュートンは光軸調整が必要

2024-04-14 17:44:24 | 天体観測
2024/04/06(Sat)の山梨は曇りと雨でした。
友人たち4人(僕を合わせて5人)で観測を予定していましたが、涙を飲みました。

次の土曜日(2024/04/13)は、僕が仕事(呼出当番)です。
代休とかありません。
2024/04/13の朝8時から仕事。

つまり、土曜日の未明までは自由(物は言いよう)

行ってまいりました。

埼玉では桜の満開が過ぎつつある状況。
山梨はどうでしょうか。
標高が高い分だけ開花が遅れるとするなら、今が最盛期ではないかと期待。


まずは巨大ニュートンでの撮影を安定させること。
巨大ニュートンでの自動連続撮影が軌道に乗れば、あとは自由に動けるので、夜桜星景撮影に行けます。

ただ、今の時期は、赤道儀での放置自動撮影するには微妙なんです。

狙うなら今が花の北斗七星周囲の銀河群か、乙女座銀河群
いずれも23時過ぎに子午線にかかってしまいます。
夜空が十分に暗くなった22時過ぎに撮影を開始したら、長時間撮影ができない。

西の空で迎撃するとして、被写体が子午線を超えてくるまで何もしないのは貴重な時間がもったいない。

夜桜星景から始めれば良くね?

早い時間は、もしかしたら桜並木にまだ人がいるかもしれない。
EOS 6D+SAMYANG XP14mm 合計20万円越えの機材を放置プレーして、持って行かれたら泣きます orz
だから、夜の浅い時間に行きたくない。

それに、夜桜星景写真は初めての領域なので、手こずって時間を取られると、巨大ニュートンの撮影が中途半端になってしまう可能性があります。

まずは巨大ニュートンを起動させ、試運転も兼ねて東の空で試し撮りして、本命が西の空に入ったところで自動連続撮影を軌道に乗せ、そこから夜桜撮影という段取りにしました。

東の空にあり、じゃじゃ馬 巨大ニュートンの試運転に向いた被写体。
やはり北斗七星付近が良いでしょう。
比較的大きくて形が良い銀河。
M109にしました。

巨大ニュートンとガイド鏡VIXEN 1200mm F15のピントだけバーティノフマスクで合わせてから、時間が惜しいので、天の赤道付近でのキャリブレーションをせず、当然、夜空解析(ガイドアシスタント)もすっ飛ばし、ぶっつけ本番でM109のオートガイド開始。

それでも星の動きが最も少ない天の北極付近ですので、この通り、この赤道儀にしては最高レベルのオートガイドをしてくれました。
ターゲットグラフの中心にガイド星が集中しているし、この精度の高さならガイドグラフの縦軸を1"にしても良かったくらいです (^_^)

M109
EOS Ra ISO6400, 150sec
4枚コンポジット
右下からの光条がM109を照らしているのがわかるでしょうか?
北斗七星のフェクダの光条です。
これは画像処理の仕様がないかもしれません。

ところで、前々からほんの少し気にしていたことなんですが、下の画像は上の写真の四隅を等倍で切り出した画像です。
星の伸び方が不均一。
光軸がずれている証拠です。


乙女座銀河群が子午線に近づいてきたところで、巨大ニュートンを西の空へ向けました。
時間が惜しいので、ガイドアシスタントによる夜空解析を行うかどうか迷いました。
結局、やりました。
乙女座銀河群は星の動きが大きい天の赤道付近だから、オートガイドによる星の追尾エラーが大きくなりがちです。
大量の失敗作を作っては効率が悪すぎるので、夜空解析をして、最適なパラメーター値をえてから勝負に挑むことにしました。

オートガイド直前のキャリブレーション。
当然、天の赤道、子午線付近で行いました。
赤緯軸のバックラッシュがほとんどない動作をしました。

ガイドアシスタントの結果。
今夜はシンチレーションも悪くない。
DEC backlash compensationが660msec!

backlash resultsは、絶好調!
なぜだ?
この赤道儀が苦手な西の空ではないか。
原因は何だ?



巨大ニュートンにちょっと手を加えました。
それは、小亀のBKP130の向きを変えてみたんです。
今回が右の写真。
今までは左の写真の状態でした。
なぜ上下逆にしたかというと、今までの状態だと、巨大ニュートンを子午線の西側、かつ、南の空に向けると、BKP130がスライディングルーフにかかってしまって、写真撮影ができなかったんです。
上下反転させると、巨大ニュートンで撮影できていれば、BKP130でも撮影できる、という状況ができるんです。
この重心の移動が良いことをしてくれたのではないでしょうか?
となると、次回、気になるのは子午線の東側でのバックラッシュがどう変化するかということです。

ガイドアシスタントは、「安心して撮影しなさい!」と太鼓判を押してくれました。
では、早速撮影。
ガイドアシスタントをしていた位置に近かったM90を選択しました。

まずはオートガイドが安定するのを数分間待ちます。
その結果がこれ。
素晴らしいではないですか。
天の赤道付近でこの精度のオートガイドであれば文句なしです (^_^)
安心して、自動撮影を開始し、夜桜撮影に向かいました。


現場に着くと、無人。
街灯が2本。
邪魔だけど、こればかりはどうにもなりません。
密かに「他人の夜桜星景撮影を邪魔しないか?」というのも杞憂に終わりました。

さて、どう撮影しようか?
心の準備なしで来たので、現場で撮影計画を考えるという・・・。
まずは、普通に星景撮影。
星のくるくる写真(star trail photo)を撮る時の設定では、桜並木が真っ黒いシルエットになってしまって、写す価値がありません。



桜並木に露出を合わせるとこんな感じ。
SAMYANG XP 14mm, F4, ISO 3200, 2min
桜並木であることはわかるけど、ちょっと暗いピンクで、うーむ、いまいち。
もうちょっとピンクが明るく写るまで露出したいけど、そうすると夜空が明るくなりすぎる。

一応、数枚、試し撮りして明合成したのがこれ。
悪くはない。
ので、これで行くことにしました。

ところが、写真の神様がいたずらをしました
絞りをF4にしたはずなのですが、何かの拍子にF10になってしまってしまってたんです。
この設定では、桜が真っ黒なシルエットとしてしか写りません。
2.4時間ほど撮影した結果がどうなったかというと。。。
おぉぉ!
キレイに写ったではないか (^_^)

ISO 3200, 120secでは本来、桜が写らないのですが、時折、自動車が通過したことで、いい具合に桜がライトアップされ、星空もいい具合になったということです。
ちなみに、自動車が通過したカットがこれ。
光が強い箇所は、おそらく自動車を運転していた人が、夜桜を見るために停車したんだと思います。


F値が4から10にどうやって変わったのか、まったく理解できません。
最初に星空に露出を合わせた時は、当然ながら、F値ではなく、露出時間の方を短くして撮影していました。
本当に、写真の神様のいたずらだと思ってます。

この間、自動撮影させ続けていたM90は、こんな感じに写りました。
焦点距離2475mm, F5
EOS Ra, ISO 12800, 130sec, 60枚コンポジット合成
60枚コンポジットなだけあって、非常に高画質?
いや、実は、もう一手間、加えてあります。

これが、C-RAW撮影したM90を素直にコンポジット合成して、いつもの僕の画像処理を行った画像です。
トリミングしてあります。
ものすごくノイジーではないですか。
銀河の淡い腕のグラデーションがノイズで割れている。。。
60枚コンポジットして、この程度の画質にしかなりませんでした。
正直、びっくりでした。
子午線の東西どちらか一方のみで、一晩で撮影できる限界は100枚程度かと思います。
地平線に近づくと、大気が厚くなる分だけ、画像が不鮮明になりますから、子午線付近から撮影を開始しても、使えるのは3時間程度が限界でしょう。
これではEOS RaでRAW撮影する限り、どんなに頑張ってもノイジーな画像にしかならないことを意味します。

そこで、やむなく、Adobe Camera RAWのAI ノイズ低減機能を使用してみました。
その結果を60枚コンポジットしたのがこれ。
グラデーションがスムーズで、ノイズ割れがない。
スムーズすぎて、ちょっと気持ち悪いですが、気になるなら、ノイズ低減の程度を低く設定すれば良いだけのこと。

JPEG画像をコンポジットしたようにも見えるのが気になりますが、きっと、JPEGと異なり、ディテールを維持しつつ、ノイズを低減しているのだと思います。
その根拠は「天下のAdobe様のやることですから、安っぽい処理はしていないだろう」しかありませんが。。。
AI ノイズ低減処理は1枚あたり30秒近くかかります。
ので、60枚に30分弱かかりました。
(少し古くなりましたが、core i7 第10世代です)
これだけ待たされてJPEGと大差なかったら詐欺です
天下のAdobeがそんなことをするはずがない!と信じてます。
僕の目が育つことで、いずれは確認できることだと思います。

で、しつこいですが、M90の写真の四隅の等倍画像がこれ。
60枚コンポジットのおかげで、四隅の星の伸びはM109の時と比較してだいぶ均一に見えます。
が、不均一であることは間違いない。
光軸調整が必要なようです。


原因はわかってます。
これがOCAL electronic collimatorでのぞいた斜鏡の画像。
ほんの、ほんの少しですが、赤い円が、斜鏡の輪郭とズレているのがわかるでしょうか。
これが原因だと思います。
ただ、これ、2時間くらいかけて、ここまで調整したんです。
この時は集中力が切れて、「これ以上の調整は無理!」と諦めたんです。

光軸調整に再挑戦して、改善すればいいですが、最悪の場合、現在よりも悪い結果になる可能性があります。
うーむ、悩ましい。
現状、写野の中心部は十分に許容範囲の画質であると思っています。
光軸調整、やるなら本当に気持ちに余裕がある時でないと、やったことを後悔しそうで怖いです。
でも、余裕がある時に、頑張ってみようと思います。
コメント (2)
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