5月11日(木)
今朝登る山は、乾徳山(けんとくさん)2031m だ。
乾徳山は、奥秩父主脈の国師ヶ岳2592mから南に分岐した尾根上に、その頭を見せる。
その中腹部では草原がおだやかに広がるが、山頂部はけわしい岩稜からなるといった2面をもつ変化のある山だ。
▲ 最初にきょうの登山コースを、駐車場に有った絵地図を使って確認する。
上り(赤色):駐車場を川沿いにそって登り、登山口から銀晶水、錦晶水を経て国師ヶ原の分岐点の四辻へ。四辻で右側の扇平を通るコースを登り、鎖場、岩場を登攀して頂上へ。
下り(オレンジ色):頂上からは左側の迂回新道を周って再度、四辻の分岐に戻る。分岐からは右側の道萬尾根伝いに下って、道萬山でアップダウウンして駐車場に戻る。
要は、コースが重複しないように8文字を描くように回る予定だ。
ヤマケイ資料では、単純標高差は1200m、累積標高差は1459m。標準タイムは7時間20分、コースグレードは中・上級となっている。
~・~・~・~・
ウム、シーズン最初の登山としては簡単ではないが、残雪が無い山で他に妥当なはもう無い。
朝6時半ごろにバス停兼駐車場を出発。
空を見上げると、雲と青空が半分半分。
尻込みして登らない理由がない(笑)。
▲ 徳和川に沿って上っていくと、土砂を堰きとめる堤防から、川の水が滝のように落ちている。
サクラの名残りがまだあって・・。
少し前は、綺麗だったろうな。
「乾徳山登山口」の看板を右手に見て、登山道に入っていく。
▲ 朝日を浴びて、真っ直ぐに空に向かって林立している杉。
空は雲がなくなり、完全な快晴になったようだ。♪
林道を横切って、更に上昇していくと、2箇所の湧き水の出る所を通る。
▲ 左:銀晶水 そのあとに 右:錦晶水
湧き水に付けられた名前が魅力的だ。
水を飲んでいる人がいた。
今日は気温が高くなるからと、水はいっぱい持ってきたからボクは飲む必要はない。
(え、そういう問題ではないか)
▲ 竹の子?
まさか。
この先にクマザサが群生していたから、笹の子?
そのササを分けた道をゆるやかに登っていくと、前方に・・・
▲ 木立の向こうに見えるのは、あれは乾徳山?!
もう少し進んでみると、
▲ そうだ、目指す乾徳山が現れた!
このあたりは、国師ヶ原と呼ばれる草原。
陽をあびて、のびやかな草原が広がり、歩いていても気持ちが良い。
▲ 国師ヶ原の四辻の分岐点に来た(左)。予定コースは直進して扇平を経由して頂上を目指す。
しかし、左手に折れてちょっと歩くと避難小屋(高原ヒュッテ)がある(右)。
バイオトイレが併設。キレイに整備されていて往復路で利用できて便利だ。
四辻を登ると、尾根上で視界の開けた扇平へ着た。
▲ 振り返ってみると・・ 向こうにポコッと見えるのは、
おお、あれは富士山だ!
▲ フジヤマ!
ラッキー!
草原の中には、ユニークな岩が。
▲ 左: 月見岩~ 岩の上から月見をするのだろうか。
右: 手洗石~ たしかに手洗いをするかのような水が溜まっている。しかし茶色で洗えないね。
これから後にも出てくるが、この山では岩に名前を付けたがるようだ。
このあと尾根上の樹林帯をひと登りすると、いよいよ岩稜帯に入る。
▲ 最初の鎖場に。
しかし、足場もあり傾斜も緩いから、鎖を使わなくとも登れたが。
ボクの先を抜きつ抜かれつ行く人達は二組。
20代とおぼしき男性二人組と、この年齢不問の男女ペア組だった。
▲ 狭い切り口の道を慎重にトラバースするペアさん。
へっぴり腰になる女性を、男性が後ろから励ます。
いい感じだねー。
この切り口を左へトラバースしたあと、
▲ さらに右に回って、岩を登っていくのだ。
▲ 誰も励ましてくれる人のいないボクも、へっぴり腰で、いや慎重に登っていった。
そして岩の上から、腕を伸ばしてなんとか下界の写真を撮るレポ魂。
さらに上を見上げると、
▲ 若者A君が、見下ろしている。
キ、キミー、よくそんなコワイことを・・・
▲ さあ、第一の関門の「カミナリ岩」に来た。
ゴツゴツしているから「カミナリ」と名付けられているのだろうか。
(ここの青い標識はご覧のとおり「カミナリ」だが駐車場の絵地図では「カミソリ岩」になっていた)
▲ どっちの名にしても、手がかり、足がかりをよく確認してよじ登らねばならない。
今登っているのは若者B君。
先に登った若者A君に、上の地形を聞くと広くなっているとの応答。
その答えにホッとして、ボクも登った。
▲ 登り切った処で、恐る恐るまた写真を撮る。
改めて見ると、富士山はもう雲を被っているが、この時はそんなことは問題ではなくて(笑)。
少し前進すると、またまた岩が現れて、
▲ これは何十メートルもある岩壁だ!
「雨乞岩」という標識が有ったが、さすがにこれは登る岩ではなくて右に巻いていった。
他にも奇妙な岩が有って、
▲ 左が「胎内」と名付けられていて切れ口がすごい。包丁でスパッと切ったみたいだ。
右の岩も、パカッと割れていて。自然の奇妙な造形だ。
そして、いよいよここへ来た。
最後の難関。
▲ 「とうとう来たわね。あそこまでね」
▲ 「そう、あそこまで登るんだよ」
鳳岩(おおとりいわ)だ。
乾徳山頂上直下の鎖場で、高さは30m近くある。
▲ ただし、迂回路もある。
この鳳岩を右に巻いて、梯子で登るようだ。
さあ、さあ、Soraクンどうする?
ウムー、ボクには妻子もいるし・・
(アホか)
▲ 女性が登り始めた。
ボクは高所恐怖症でこうゆうのは苦手だが、両サイドが囲まれている場合はあまり怖く感じない。
ので、事前にこの写真を見てきたので登れるだろうと踏んでいる。
▲ ボクのガイドブックには、「縦に走った岩の割れ目に足をねじこむようにして登るのがポイント」と書いてある。
そう、ねじこんで、からだを引き上げて・・ねじこんで・・
彼女は中間点で、「もう登れない・・」と洩らしたが、
彼氏さんに励まされて、登り切った。
▲ 彼氏さんは、余裕で登っていった。
▲ トップ近くの彼氏さんのズームアップ。
直立に近いこの鎖場の臨場感が出る。
さあ、次はオレだ。
このちょっと前で、右脚と左脚のふくらはぎが(想定外で)軽く引きつったのだ。
軽くだけどね。
しかし登攀中に本格的にどちらかでも引きつったら、アウトだ。
よくふくらはぎを揉んで・・
登攀開始。
腕の力は強いほうなので、足場さえ確保すれば一気に体を引き上げていけると内心思っていた。
しかし、中間点で息が切れて小休止せざるを得なかった。
1,2分の小休止だが、想定外。
気を取り直し、張り詰めて、
▲ 登り切った。
上から下のショット。
乗り出すのは怖いので、下がよく判からない写真になったが(笑)。
▲ 前方に目を向けると。
ああ、頂上はあそこだ。
頂上に来たのだ!
▲ 乾徳山頂上 2031m 10:36AM
出発後、ちょうど4時間。コースタイムどおりだ。
よくやった、やった。
頂上は360度のパノラマ。
▲ 富士山の方角(南)。
富士山のトップはもう雲がかかっているが。
しようがない。
▲ 左手の方向(東)。
東京の方角だが、緑が濃くオムスビ型の山が重なる。
▲ 右手の方向(西)。
手前の茶色い山は茅ヶ岳なんかだろう。
ずっと向こうの山並みが南アルプスか。
頂上には、45分ほど留まっていた。
頂上ランチは、昨日買ってきたスーパー弁当だから特筆しない(笑)。
下山開始。
▲ 下山コースは、頂上の北のほうから。
数連の梯子を使って降りたが、ここもそれなりに最初は急な岩場が続いた。
▲ 国師ヶ原の四辻の分岐では、しばらく林道を歩いて(左)、
道満尾根の登山道を下り、道満山を登ってまた下った。
道満山の頂上1314m は、文字が消えかかった標識があるのみだった(右)。
このあたりから下降時に、両膝に少し痛みを感じるようになってきた。
ストックを使い始めたが、1本は故障で役だたず。
誰にも出会わない山道を、あとはなんとかトロトロと下りて来た。
▲ 駐車場に戻った時は3時に。
下山に3時間40分もかかった(標準の30分オーバー)。
総山行時間は8時間半。
はははー、キミもほんと好きだね。よく歩いた。
累積標高差1400mの山を無事こなしたのだから良しとしよう。
しかしなんとはなしに、自分の体力の限界というよりは減退を感じた山行だった。
当然かな。
もう、体力的に無理はすべきではないだろうな。
▲ 笛吹きの湯。
クルマで、コーヒーを淹れてドーナッツを食べて休憩後、すぐ近くのこの温泉へ。
そのあと、もよりの道の駅「はなかげの郷まきおか」で、いつもの車中泊。
すぐに寝た。
自宅へは翌日、奥多摩経由で昼前に無事戻った。
了
今朝登る山は、乾徳山(けんとくさん)2031m だ。
乾徳山は、奥秩父主脈の国師ヶ岳2592mから南に分岐した尾根上に、その頭を見せる。
その中腹部では草原がおだやかに広がるが、山頂部はけわしい岩稜からなるといった2面をもつ変化のある山だ。
▲ 最初にきょうの登山コースを、駐車場に有った絵地図を使って確認する。
上り(赤色):駐車場を川沿いにそって登り、登山口から銀晶水、錦晶水を経て国師ヶ原の分岐点の四辻へ。四辻で右側の扇平を通るコースを登り、鎖場、岩場を登攀して頂上へ。
下り(オレンジ色):頂上からは左側の迂回新道を周って再度、四辻の分岐に戻る。分岐からは右側の道萬尾根伝いに下って、道萬山でアップダウウンして駐車場に戻る。
要は、コースが重複しないように8文字を描くように回る予定だ。
ヤマケイ資料では、単純標高差は1200m、累積標高差は1459m。標準タイムは7時間20分、コースグレードは中・上級となっている。
~・~・~・~・
ウム、シーズン最初の登山としては簡単ではないが、残雪が無い山で他に妥当なはもう無い。
朝6時半ごろにバス停兼駐車場を出発。
空を見上げると、雲と青空が半分半分。
尻込みして登らない理由がない(笑)。
▲ 徳和川に沿って上っていくと、土砂を堰きとめる堤防から、川の水が滝のように落ちている。
サクラの名残りがまだあって・・。
少し前は、綺麗だったろうな。
「乾徳山登山口」の看板を右手に見て、登山道に入っていく。
▲ 朝日を浴びて、真っ直ぐに空に向かって林立している杉。
空は雲がなくなり、完全な快晴になったようだ。♪
林道を横切って、更に上昇していくと、2箇所の湧き水の出る所を通る。
▲ 左:銀晶水 そのあとに 右:錦晶水
湧き水に付けられた名前が魅力的だ。
水を飲んでいる人がいた。
今日は気温が高くなるからと、水はいっぱい持ってきたからボクは飲む必要はない。
(え、そういう問題ではないか)
▲ 竹の子?
まさか。
この先にクマザサが群生していたから、笹の子?
そのササを分けた道をゆるやかに登っていくと、前方に・・・
▲ 木立の向こうに見えるのは、あれは乾徳山?!
もう少し進んでみると、
▲ そうだ、目指す乾徳山が現れた!
このあたりは、国師ヶ原と呼ばれる草原。
陽をあびて、のびやかな草原が広がり、歩いていても気持ちが良い。
▲ 国師ヶ原の四辻の分岐点に来た(左)。予定コースは直進して扇平を経由して頂上を目指す。
しかし、左手に折れてちょっと歩くと避難小屋(高原ヒュッテ)がある(右)。
バイオトイレが併設。キレイに整備されていて往復路で利用できて便利だ。
四辻を登ると、尾根上で視界の開けた扇平へ着た。
▲ 振り返ってみると・・ 向こうにポコッと見えるのは、
おお、あれは富士山だ!
▲ フジヤマ!
ラッキー!
草原の中には、ユニークな岩が。
▲ 左: 月見岩~ 岩の上から月見をするのだろうか。
右: 手洗石~ たしかに手洗いをするかのような水が溜まっている。しかし茶色で洗えないね。
これから後にも出てくるが、この山では岩に名前を付けたがるようだ。
このあと尾根上の樹林帯をひと登りすると、いよいよ岩稜帯に入る。
▲ 最初の鎖場に。
しかし、足場もあり傾斜も緩いから、鎖を使わなくとも登れたが。
ボクの先を抜きつ抜かれつ行く人達は二組。
20代とおぼしき男性二人組と、この年齢不問の男女ペア組だった。
▲ 狭い切り口の道を慎重にトラバースするペアさん。
へっぴり腰になる女性を、男性が後ろから励ます。
いい感じだねー。
この切り口を左へトラバースしたあと、
▲ さらに右に回って、岩を登っていくのだ。
▲ 誰も励ましてくれる人のいないボクも、へっぴり腰で、いや慎重に登っていった。
そして岩の上から、腕を伸ばしてなんとか下界の写真を撮るレポ魂。
さらに上を見上げると、
▲ 若者A君が、見下ろしている。
キ、キミー、よくそんなコワイことを・・・
▲ さあ、第一の関門の「カミナリ岩」に来た。
ゴツゴツしているから「カミナリ」と名付けられているのだろうか。
(ここの青い標識はご覧のとおり「カミナリ」だが駐車場の絵地図では「カミソリ岩」になっていた)
▲ どっちの名にしても、手がかり、足がかりをよく確認してよじ登らねばならない。
今登っているのは若者B君。
先に登った若者A君に、上の地形を聞くと広くなっているとの応答。
その答えにホッとして、ボクも登った。
▲ 登り切った処で、恐る恐るまた写真を撮る。
改めて見ると、富士山はもう雲を被っているが、この時はそんなことは問題ではなくて(笑)。
少し前進すると、またまた岩が現れて、
▲ これは何十メートルもある岩壁だ!
「雨乞岩」という標識が有ったが、さすがにこれは登る岩ではなくて右に巻いていった。
他にも奇妙な岩が有って、
▲ 左が「胎内」と名付けられていて切れ口がすごい。包丁でスパッと切ったみたいだ。
右の岩も、パカッと割れていて。自然の奇妙な造形だ。
そして、いよいよここへ来た。
最後の難関。
▲ 「とうとう来たわね。あそこまでね」
▲ 「そう、あそこまで登るんだよ」
鳳岩(おおとりいわ)だ。
乾徳山頂上直下の鎖場で、高さは30m近くある。
▲ ただし、迂回路もある。
この鳳岩を右に巻いて、梯子で登るようだ。
さあ、さあ、Soraクンどうする?
ウムー、ボクには妻子もいるし・・
(アホか)
▲ 女性が登り始めた。
ボクは高所恐怖症でこうゆうのは苦手だが、両サイドが囲まれている場合はあまり怖く感じない。
ので、事前にこの写真を見てきたので登れるだろうと踏んでいる。
▲ ボクのガイドブックには、「縦に走った岩の割れ目に足をねじこむようにして登るのがポイント」と書いてある。
そう、ねじこんで、からだを引き上げて・・ねじこんで・・
彼女は中間点で、「もう登れない・・」と洩らしたが、
彼氏さんに励まされて、登り切った。
▲ 彼氏さんは、余裕で登っていった。
▲ トップ近くの彼氏さんのズームアップ。
直立に近いこの鎖場の臨場感が出る。
さあ、次はオレだ。
このちょっと前で、右脚と左脚のふくらはぎが(想定外で)軽く引きつったのだ。
軽くだけどね。
しかし登攀中に本格的にどちらかでも引きつったら、アウトだ。
よくふくらはぎを揉んで・・
登攀開始。
腕の力は強いほうなので、足場さえ確保すれば一気に体を引き上げていけると内心思っていた。
しかし、中間点で息が切れて小休止せざるを得なかった。
1,2分の小休止だが、想定外。
気を取り直し、張り詰めて、
▲ 登り切った。
上から下のショット。
乗り出すのは怖いので、下がよく判からない写真になったが(笑)。
▲ 前方に目を向けると。
ああ、頂上はあそこだ。
頂上に来たのだ!
▲ 乾徳山頂上 2031m 10:36AM
出発後、ちょうど4時間。コースタイムどおりだ。
よくやった、やった。
頂上は360度のパノラマ。
▲ 富士山の方角(南)。
富士山のトップはもう雲がかかっているが。
しようがない。
▲ 左手の方向(東)。
東京の方角だが、緑が濃くオムスビ型の山が重なる。
▲ 右手の方向(西)。
手前の茶色い山は茅ヶ岳なんかだろう。
ずっと向こうの山並みが南アルプスか。
頂上には、45分ほど留まっていた。
頂上ランチは、昨日買ってきたスーパー弁当だから特筆しない(笑)。
下山開始。
▲ 下山コースは、頂上の北のほうから。
数連の梯子を使って降りたが、ここもそれなりに最初は急な岩場が続いた。
▲ 国師ヶ原の四辻の分岐では、しばらく林道を歩いて(左)、
道満尾根の登山道を下り、道満山を登ってまた下った。
道満山の頂上1314m は、文字が消えかかった標識があるのみだった(右)。
このあたりから下降時に、両膝に少し痛みを感じるようになってきた。
ストックを使い始めたが、1本は故障で役だたず。
誰にも出会わない山道を、あとはなんとかトロトロと下りて来た。
▲ 駐車場に戻った時は3時に。
下山に3時間40分もかかった(標準の30分オーバー)。
総山行時間は8時間半。
はははー、キミもほんと好きだね。よく歩いた。
累積標高差1400mの山を無事こなしたのだから良しとしよう。
しかしなんとはなしに、自分の体力の限界というよりは減退を感じた山行だった。
当然かな。
もう、体力的に無理はすべきではないだろうな。
▲ 笛吹きの湯。
クルマで、コーヒーを淹れてドーナッツを食べて休憩後、すぐ近くのこの温泉へ。
そのあと、もよりの道の駅「はなかげの郷まきおか」で、いつもの車中泊。
すぐに寝た。
自宅へは翌日、奥多摩経由で昼前に無事戻った。
了